公式の半額で横行する「ディズニー闇VIPツアー」。中国SNSで堂々販売も、オリエンタルランドは“意外な回答”
公式ツアーの約半額で中国人観光客のニーズに完全に応えるパッケージを提供
業者のSNSプロフィールを確認すると、いずれも中国国内に拠点を置く旅行会社だった。記者が実際に接触した。 内モンゴル自治区の業者Aは「東京ディズニーVIP8時間」プランを販売していた。「大人2名・子供1名で合計12,388人民元(約30万円)。ホテル送迎、パークチケット、ベテラン専属ガイド、アトラクション優先入場、パレード鑑賞、食事付きショーレストランS席込みの完全フルパッケージです。公式ツアーより大幅にお安くなっています」。公式に存在しないホテル送迎まで組み込み、さらに価格まで下回るという内容だ。業者はその後、詳細をウィーチャット(中国版LINE)へと誘導してきた。 深圳市の業者BはVIPツアーに加え、「VP(バケーションパッケージ)」も扱っていた。「1泊2日で公式ホテルに宿泊しながら、1日はランド、もう1日はシーを楽しめます。大人2人子供1人で16,500元〜29,000元(約38万〜67万円)。追加オプションとして1日1,900元(約4万4,000円)の通訳ガイドも付けられます」。記念撮影や子守りにも対応可能だという。TDL公式が44万円からのVIPツアーで提供しているサービスを、ほぼ半額以下のコストで代替するのである。 まさに家族連れが抱えるあらゆる不安を、ひとつひとつ潰すように設計されていた。 こうした闇ツアーが需要を掴んでいる背景には、中国政府による日本への団体旅行自粛要請がある。団体ツアーが組めないため、家族連れの個人旅行が増加した結果、言語の壁やパーク内の複雑な導線に不安を感じる旅行者が、中国語対応のガイドサービスへ流れるのはある意味で自然の帰結とも言える。皮肉なことに、政府の規制が闇ビジネスを育てている構図になってしまっている。 ある業者の宣伝文句は、このように書かれている。 「ピーク時の混雑を避け、1日に10以上のアトラクションを体験可能。あてもなく歩き回るより5時間以上長く楽しめます。子守りや緊急対応も、中国語で迅速に対処します」 特に子守りサービスへの反響は大きいようで、親が休んでいる間に子供とアトラクションに並ぶ、ベビーカーを押して食事をさせるといった対応が重宝されているという。公式ツアーには存在しない「痒いところ」を、ピンポイントで突いている形だ。 そして、皮肉なことにその痒いところを生み出しているのも、外国語対応が追いついていないテーマパーク運営の現実といえる。