在留資格「経営・管理」の「厳格化」の政治的背景
日本外国特派員協会で記者会見しました
6月8日、日本外国特派員協会にお招きいただき、在留資格「経営・管理」に関する省令改正について記者会見に臨みました。
湯田一輝行政書士と一緒で、湯田行政書士からは現場の状況を、私は政治的背景等をお話しいたしました。
私が当日質疑に先立ってお話しした内容は、以下の通りです。
本日は、在留資格「経営・管理」の要件が省令改正された経過とともに、この改正が外国人住民や地域社会へ深刻な打撃を与えるものであることをお話しいたします。
曖昧で不正確な説明
自民党政権が「ルールを守らない外国人に厳格対応」などと分断を煽ることに疑問を感じますが、それにしても今回の省令改正は、「ルールを守ってきた」外国人に達成困難なルールを課すものであり、あまりに乱暴です。
私が4月14日の参議院法務委員会でこの点を追及した際、入管庁は「許可基準が諸外国と比べて緩く、移住目的で悪用されているとの指摘があるほか、事業実態がない事案も認められていた」と答弁しました。
しかし資本金要件を設けていない国も少なくなく、誤導です。
鈴木法務大臣(当時)の指示を受けた省令改正作業が始まっていた2025年8月の出入国管理政策懇談会資料にも、先ほどの入管庁の説明と同様の記述があります。しかし、誰からどのような指摘があったのか、説明はありません。
さらに、入管庁は「実態調査のうち9割くらいが不許可」という数字を強調してきました。東京入管庁が行なった調査しかありませんが、今年5月に入管庁が私を含む参議院法務委員会理事らに提出したものが資料1です(仁比聡平議員の指摘により理事会協議事項になったもの)。
調査対象となった327件は、経営実態に疑問があるとして抽出されたものです。同時期に東京入管局が受理した在留資格「経営・管理」等の申請総数は25,987件であり、そのうち不許可処分となったのは303件、全体のわずか1%強にすぎません。
こうした前提を隠し、「9割不許可」という数字だけを強調するのは、誤解を招きます。
政治主導で進められた要件厳格化
入管庁のいう「指摘」とは誰がしたのでしょうか。
国会審議を振り返ると、2017年頃から自民党議員による「規制強化」の質疑が現れ、2024年には「高額療養費の悪用」につながると問題視されました。ただし厚労省が明確に否定しています。
2025年には、「外国人のスクラップヤード運営」や「中国人富裕層が医療サービスを享受するため移住」することを問題視する質問が自民党や参政党から相次ぎ、5月の参議院決算委員会で当時の鈴木法務大臣が突如、自民党議員の質問の際に、省令見直しを示唆しました。以降、改正作業は一気に加速しました。
「外国人との秩序ある共生社会に関する特命委員会」の「違法外国人ゼロを目指して」と題する自民党の第一次提言には、在留資格「経営・管理」の資本金額等の要件見直しが明記されていました。
厳格化が極めて政治的な判断であったことは明白です。
形骸的なプロセス
昨年8月の第6回出入国在留管理政策懇談会で本件見直しが審議されましたが、委員から「地域に根付いた小さな事業主が軒並み廃業し、日本にいられなくなるようなことが起きない考慮が必要」「基準を変えることでペーパーカンパニーを締め出せるのかは懐疑的」と疑問が相次ぎました。12月の報告書は両論併記となりました。
しかし、会合の6日後にはパブリックコメントが開始された上、寄せられた702件の中には危惧もあったものの、一切反映されませんでした。
公正な行政であるべき
資本金の額と経営実態の有無は別問題です。入管庁は「経済社会の活性化やイノベーションへの貢献を期待する在留資格だ」と弁明しますが、従来の要件のもとで地域に根ざしてきた人々は、地域経済へ貢献してきました。
資料2のように在留資格「経営・管理」を持つ方のうち、新基準となる「資本金3,000万円」をクリアできるのはわずか4%です。
しかも、資料3の通り、該当する方々の半数以上は日本での在留期間が6年を超えています。
排外主義的な思惑に沿って行われた不合理な省令改正であって、行政の公正さに反します。
省令改正に反対するオンライン署名「#推しエスニックといつまでも」には67,000筆以上の賛同が集まっており励まされます。
多様性が尊重される社会を目指して頑張ります。
以上の報告のあとは質問をお受けしました。20部用意した資料がなくなりコピーしていただくほどでした。
プレゼンの後の質疑も活発でした。
日本が多文化共生ではなく排外主義的な方向に進んでしまうのではないか。危惧をひしひしと感じました。
日本が「選ばれない」国になりはてては、国益にも反します。
引き続き、誰もが尊重される、共生社会を目指して頑張ります。


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