3歳から11歳くらいの子どもにしか性的関心を持てないという男性は、「合法的に性欲を満たすことができないので、小児性愛者の執念はすごい」と語る。
違法なコンテンツを共有する「仲間」を作るため、彼はあるツールを独自に開発した。詳細を公にしないことを条件に、記者が試しに使わせてもらったところ、異様なまでのこだわりが垣間見えた。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
<*注意*この記事には、不快を覚える可能性のある記述がありますが、テーマの性質上、当事者の言葉をありのまま伝えることが重要と考え、掲載しています>
●「児童ポルノの世界は広い」人とのつながりを求めて
子どもの裸の写真や動画などを所持・製造することは、「児童買春・児童ポルノ禁止法」に違反する犯罪だ。
小児性愛障害と診断されたという冒頭の男性によると、性的対象が子どもに向いている人たちにとって、違法コンテンツを入手するうえで「仲間」とのつながりが重要になるという。
「児童ポルノの世界は広いですよ」
男性はそう切り出した。
「本当に自分が興奮させられるような児童ポルノがまだどこかにあるかもしれない。それを手に入れるためには、やっぱり人との付き合いは避けられない。交換してもらうには、自分もたくさんの児童ポルノをそろえなきゃいけません。
わらしべ長者じゃないですけど、どんなにいらないと思う児童ポルノだとしても、それをたどれば素晴らしいものに出合えるかもしれない、たどり着くかもしれないじゃないですか。だから、とにかく量を集めなければいけないんです。そして、数を集めるためには人とつながらないといけない」
「仲間」の間で価値があるとされるのは動画だという。写真は動画から切り出して枚数を増やすことができるため、価値が低く見られるようだ。
●児童ポルノは「コピーできるお金」
男性は、子どもへの性加害で有罪判決を受ける前、ネット上で多くの小児性愛者とつながり、自身が撮影した性的な動画などを共有していたという。
「『どうして他の人に見せようとするのかわからない』と言われますが、児童ポルノは『コピーできるお金』なんです。カードゲームとかと違って、いくら相手に送っても減るもんじゃないし、かつ対価を得られる。児童ポルノはやっぱりそれが大きいですね。コピーできるお金を持っているのに、使わない馬鹿がどこにいるんだって話です」
さらに、こう続けた。
「私が自分で撮った動画を共有する理由は、『この子かわいい』という気持ちを分かち合いたいからです。お礼や賞賛はいりません。気持ちを分かち合ったうえで、妄想を共有してくれるのが私にとってのリターンなんです」
男性が独自に作成した、小児性愛者を見分けるためのチェックシート(エクセルの画面を弁護士ドットコムニュースが加工)
●「仲間かどうか」を見極める独自のチェックテスト
ただし、男性がしてきた行為はれっきとした犯罪だ。人とつながるほど、犯行が発覚するリスクは高まる。
その危険性を最も理解しているのは、男性自身だった。小児性愛者を装う密告者などを排除するため、独自のツールを作ったという。
詳細を公にしないことを条件に、実物を見せてもらった。
パソコンで「チェックテスト」と題されたエクセルファイルを開くと、Q1からQ12まで計12問の質問が並んでいた。それぞれに2〜6個の選択肢があり、すべて回答すると、シート最下部に「判定」「ペドフィリア(小児性愛)の度合い」「コメント」が自動表示される仕組みだ。
●記者がテストを受けてみた結果…
記者も試しに受けてみた。
最初の質問は「あなたにとって、子どもと大人の境目はどれが一番しっくりくる?」だ。11問目では「闇の研究者から、3つの秘薬のうち1つをプレゼントすると言われた。どれを選ぶ?」とあり、次のような選択肢が用意されていた。
(1)子どもに飲ませると、その子の知能と心は成長するが、体の成長を完全に止めてしまう薬 (2)子どもに飲ませると、その子の体は成長するが、知能や心の成長を完全に止めてしまう薬 (3)成人にしか効果はないが、人に飲ませると、自分のことを好きになってくれる薬
普段考えたことがないような質問の内容に戸惑いながらも12問すべてに回答を終えると、「あなたは小児性愛とはほぼ無縁の人です」「ペド度合い 0%」という結果が出てきた。
コメント欄には「子どもに欲情することがないあなたは非常に幸運です」と記されていた。
記者が試しに「チェックテスト」に答えたところ、こんな結果が出た
●仲間として受け入れる基準「少なくとも60%以上」
男性によると、このツールは3日ほどで自作したという。関数が使われており、回答の組み合わせによって「ペド度合い」が上下するよう設計されている。
自身が回答した場合は「100%」になるように調整してあり、小児性愛者の仲間として認める基準は「少なくとも60%は超えてほしい」という。
それを聞いた記者は再度、「ペド度合い」が上がるように回答を変えてみたが、50%を少し上回るレベルにしか到達しなかった。思考を意図的になぞることは難しいようだ。
●今年12月スタートの日本版DBS「意味ないでしょうね」
日本では今年12月、性犯罪歴のある人が子どもと関わる仕事に就くことを制限する「日本版DBS(Disclosure and Barring Service)」が始まる。
この制度は、性犯罪の再犯者を排除することで子どもの安全を確保することが狙いとされるが、初犯を見抜くことはほぼ不可能で、どれほどの費用対効果があるのかは未知数だ。
その点、「純粋型」の小児性愛者を自認する男性の知見や自作のチェックツールは、DBSを導入しようとしている今の日本において、政策上の参考になることが多いのではないか。
記者がそう質問を向けると、男性は「日本版DBSは意味ないでしょうね。国が自己満足でやっているだけです。これに関して私が意見を言うと、自分たちの首を絞めることになるんで…」と述べるにとどめた。
●治療に限界、通院中止「バレないように法を犯すしかない」
逮捕後、男性は専門のクリニックで認知行動療法などのプログラムを受けていた。しかし、「お金がなくなるだけで、意味がない」として通院をやめたという。
「私のように子どもにしか興味がない『純粋型』は、全体の小児性愛者のうちの1割もいないらしいんです。でも、クリニックの治療プログラムは、大人にも興味がある『混合型』の人向けになっていました。
子どもではなく大人に興味を向けさせようとするような治療は、女性好きの男性に『今日から男を好きになれ』と言っているようなもので、無理筋なんですよ。法律が自分に合っていない以上、法を守ることはできない。バレないように法を犯すしかないんです」
自身を「純粋型」の小児性愛者だと説明する男性(2026年1月、東京都内で、弁護士ドットコムニュース撮影)
●小児性愛者への報酬制「私と同じ生活をしてみてほしい」
男性の話に耳を傾けていると、即効性のある解決策を見いだすことが難しくなっていく感じがした。そう伝えると、男性は「例え話」として「小児性愛者への報酬制度」を口にした。
「純粋型の小児性愛者が法を守るのは当たり前のことじゃなくて、むしろめちゃめちゃすごいことじゃないですか。普通の人からすると、AVを一切見ずに風俗にも行かず、恋愛や結婚、性行為をしないまま何十年も生活していくということなんです。
だから、そういうすごいことをしている人たちに対して、国は何かしらの金銭的な報酬を与えないといけないと思います。子どもを守るために、小児性愛者に自分の人生を犠牲にしてもらっているということなんです。
犯罪を犯さない限り、月に数万円を支給し続ける。もし事件を起こしたら、打ち切りにしたり、それまで支給した額をすべて返金させたりすればいい。そしたらもっと我慢できる期間が長くなると思うんですよね。
だって、どうせ犯罪をしたら税金がかかる。処罰にお金をかけるなら予防にお金をかけたほうがいいと思います。『そんな仕組みは不平等だ』と世間が言うんだったら、『私と同じような生活をしてみて』といいたくなります」