サッカー日本代表の試合はなぜ無料で見られるのか、キーマンが語る「時代逆行」の戦略「自分たちが権利を持つ試合は…」
サッカー日本代表が国内で試合をするとき、ほぼ全ての試合が無料で見ることができていることにお気づきだろうか。野球やボクシングなどが、PPV(ペイパー・ビュー)など有料での配信に舵(かじ)を切る一方で、サッカー日本代表だけは時代を逆行している。しかも、その流れはより強化されているのだ。取材を受けるのは初めてというキーマンが口にする思いとは。(デジタル編集部 古和康行、敬称略) 【一覧】W杯日本戦の「放送予定」
キーマンはビジネスマン
「おっ! 出世祝いの撮影ですか?」
5月15日午前。サッカーW杯の日本代表メンバー発表があった、その日。記者が彼の写真を撮影しようとしていると、その人は民放テレビ局関係者に冷やかされていた。日本サッカー協会(JFA)で情報発信を担うコミュニケーション部。今年4月からトップに就いた窪田俊彦だ。「初めて取材を受ける」と話していた彼は、冷やかしの声に「いやいや……」と苦笑いを浮かべていた。
日本サッカー協会は今年4月、組織改編を行った。主催試合の放映・配信権を管理する「放送映像グループ」をパートナー事業部からコミュニケーション部に配置転換する、というものだ。
パートナー事業部は、サッカー日本代表パートナーシップの契約を締結したり、放送権料の交渉を進めたりという主に「企業向けの営業」する部署。一方、コミュニケーション部は主に情報発信を担ってきた。放送映像グループのリーダーだった窪田は、この組織改編によってコミュニケーション部の部長となった。
記者が取材を申し入れたところ、「事前に質問の提出を」と求められた。質問の事前共有はよくあることだが、書面で回答があったうえで「対面の取材を受ける」というのが珍しいスタイルだ。でも、その回答には四角四面の文言が並ぶ。誠実だが、サプライズのない回答。パリッと着こなすスーツ。なんとも、ビジネスの人、だ。
だがこの人事、サッカー日本代表の今後の放送・配信に関わる重要な組織再編でもあった。そのキーマンが窪田であり、迫る必要があった。