なぜ英語の動詞の三単現には s が付くのか──答えは「音」だった
皆さん、こんにちは。
今回は、英語の三単現のsについて書いてみました。
英語を学ぶ中で、多くの人が一度は
「三人称単数現在形には s をつける」のはなぜかと思うでしょう。
三人称に何かマーカーをつけるにしても、
なぜ s が選ばれたのか。他のアルファベットではダメなのか。
こういった疑問は、意味の観点から考えると、どうにも腑に落ちません。
しかし、この s を音声の観点から見ると、
非常に合理的な理由があることを知りました。
今回は、三単現にsが使われる理由を主に音声の面から考えてみます。
英語は「聞きながら理解する」言語
英語は、書き言葉よりも話し言葉として進化してきた言語です。
当たり前の事を言っていますが、英語の学習で読むことを多くやっていると意外と忘れがちです。
実際の会話では、文を最後まで聞いてから意味を考える余裕はありません。
なので、聞き手は音を聞きながら、
リアルタイムで文の意味を理解することになります。
そのため英語では、文の意味をとりつつ、文法については即座に識別できる音の手がかりが重視されます。
語尾に集まる文法情報
英語では、多くの文法情報が語末に置かれます。
例えば、過去形の -ed、複数形の -s、そして三単現の -sなど。
語末は注意が集まりやすく、文の性質を判断するのに適した位置です。
三単現の s も、この「語尾マーカー」の一つとして機能しています。
なぜ s なのかー音声的に最適な選択ー
s はヒス音と呼ばれる高周波の音で、
雑音の中でも聞き取りやすい特徴があります。
また無声子音なので、動詞の意味やリズムを壊さず、
どんな語にも自然に付け足すことができます。
つまり s は、意味を足さずに、識別力だけを上げられる音なのです。
なぜ三人称単数だけなのか
一人称のI や二人称の you は会話の中心にあり、
聞き手が常に意識している対象になります。
一方で he / she / it は文脈に依存しやすく、主語として弱くなりがちです。
その弱さを補うため、英語では動詞側に音声マーカーを置くという戦略が取られたと思います。
三単現の s は、弱い主語を音で支える補助輪のような役割を果たしているとも言えます。
短縮される形、されない形
is や has はHe'sやShe'sのように短縮されるのに、
was が短縮されないのはなぜか。
それは文法の問題ではなく、音の問題かもしれません。
仮にHe wasを省略するとHe'sとなり、He isやHe hasと全く同じになってしまいます。
さらに、短縮とは音節を削る行為とも言えますが、wasはすでに一音節なので、これ以上削ると識別できなくなります。
つまり、短縮とは意味を削る行為ではなく、聞き取れる限界まで音節を減らす行為なのです。
三単現の s の正体
最後にまとめると、
三単現の s は「三人称単数現在」という意味を強調するためだけではありません。
それは、文を聞き取りやすく、安定させるための音声信号でもあります。
文法は論理の体系ではなく、人間の耳と脳に最適化された結果です。
三単現の s は、そのことを最もわかりやすく示す例だと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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