【講演会レポート】ワタサバ東大編!? 『ワタシってサバサバしてるから』にみる現代日本の閉塞感と網浜奈美というキャラクターの正体
2026年6/6(土)東京大学・駒場キャンパスで開催された「東大駒場リサーチキャンパス公開2026」「牧原出と河野龍太郎の政治&経済季報 東大先端研キャンパス公開特別版」で、ワタサバ原作者:とらふぐがゲスト講演を行いました!
現代日本の閉塞感の中で「なぜ今、“網浜奈美”というキャラクターが支持されつつあるのか?」というテーマでお話ししました。
※「牧原出と河野龍太郎の政治&経済季報 東大先端研キャンパス公開特別版」公開動画(「牧原出研究室・せんタン・チャンネル」より)👇
https://www.youtube.com/live/2Bbe2HOzwDA?si=ItRMh2V4zk3PVB2Z
※「東大駒場リサーチキャンパス公開」公式ページ👇
https://komaba-oh.jp/
『ワタサバ』という作品について
『ワタシってサバサバしてるから』は連載6年目を迎えた電子コミック。
NHKでドラマ化され、累計ダウンロード数は2億を突破。
さらに近年では、
• マクドナルド様
• 東京都庁様
• 警視庁様
• 自衛隊様
など、官公庁や大手企業とのコラボにも起用されるようになりました。
もともとは、“クセの強い女性キャラクター”を描いた漫画として始まった作品ですが、今では予想以上に広い層へ届く作品になっています。
網浜奈美は、もともと「嫌われキャラ」だった
実は、連載開始当初の網浜奈美は、今ほど好意的に受け入れられていたキャラクターではありません。
空気を読まない。
デリカシーがない。
自己主張が強すぎる。
いわゆる「ヘイトキャラクター」として設計していました。
読者が、「こんな人いるよね……」「痛いなこの人……」
とツッコミながら、最後にスカッとする。そういう構造の漫画でした。
ところが数年経つうちに、読者の反応が少しずつ変化していきました。
昔は、「嫌な女」「痛い女」として見られていた網浜奈美が、
現在では、
「なんだか憎めない」
「実はちょっと羨ましい」
「こういう人の方が幸せそう」
と言われるようになっていったのです。
面白いのは、“網浜奈美自身は変わっていない”ということです。
変わったのは、社会の側でした。
なぜ今、網浜奈美が支持されるのか?
現代は、とにかく「他人の目」が強い時代です。
SNSを開けば、常に誰かと比較される。
他人の成功や充実した生活が流れ込んでくる。
さらに日本社会には、
• 空気を読む文化
• 同調圧力
• 波風を立てない美学
があります。
だから多くの人が、本音を抑えながら生きています。
その結果、「もっと自由に生きたい」「他人を気にせず生きたい」
という欲求が、以前より強くなっているように感じます。
網浜奈美は「嫌われる勇気」を体現している
網浜奈美は、周囲に合わせません。空気も読みません。
もちろん現実にいたら困る部分も多いです(笑)。
ですが彼女は、“他人軸で生きていない”キャラクターでもあります。
嫌われても、自分の価値観で動く。
周囲に忖度しない。
他人の期待に人生を委ねない。
だから読者は、「迷惑だけど、ちょっと羨ましい」
という複雑な感情を抱くのだと思います。
これは、現代人が失いつつある「自己肯定感」や「主体性」への憧れなのかもしれません。
「正しい人」より「強く言い切る人」が支持されるSNS時代
SNS時代になってから、世の中の空気はさらに変わりました。
今は、「正しい人」よりも、
• 迷いがない人
• 強く断言する人
• 空気より信念を優先する人
が支持されやすい傾向があります。
これは政治の世界にも表れていると感じます。
例えば高市総理に対して、
「言うべきことを言ってくれそう」
「空気に流されなさそう」
というイメージを持つ人も多いと思います。
網浜奈美にも、同じ特徴があります。
彼女は常に、周囲に合わせず、強い言葉で断言します。
その姿に、人々は「この閉塞感を壊してくれそう」
という期待感を重ねているのではないでしょうか。
『ワタサバ』で描きたいもの
『ワタサバ』では、あえて“閉塞感の強い世界”を舞台にしています。
例えば、
• 婚活編 → 将来不安
• 高校教師編 → 過労や教育現場の疲弊
• 政界編 → 地方衰退や自治の問題
• 生保レディ編 → 資本主義や業界不正
など。
現代社会が抱える息苦しさを舞台にし、そこへ網浜奈美という“劇薬”を投入する。すると、化学反応が起きる。
それによって、停滞した空気が壊れ、登場人物や読者が「現状打破」を感じられる。そういう作品づくりを意識しています。
もはや『ワタサバ』は「変な女を笑う漫画」ではない!?
『ワタサバ』の根底にあるテーマは、
「閉塞感の強い時代に、どう自己肯定感を守るか」です。
他人軸ではなく、自分軸で生きる。
周囲に飲み込まれず、自分らしく生き抜く。
網浜奈美は、その極端な象徴です。
最後に
これからも『ワタサバ』では、現代社会の息苦しさや矛盾を描きながら、
“現代が生んだ新たなロールモデル”としての網浜奈美を描いていきたいと思っています。
引き続き、網浜奈美に注目いただけたら大変光栄です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


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