選手はバイトで生活費、資金難でボロボロの設備 強豪私大との“差”も…公立大が狙う下剋上
監督は“ミスター赤ヘル”と同姓同名も「父は巨人ファン」
苦学生が多く、部員のほとんどがアルバイトを行っている。「この時期は学校の近くの居酒屋さん、すし屋さん、餃子屋さんなどで週1~2回、シーズンオフの冬には週3~4回働いている部員が多いです。アルバイト先の多くは歴代の部員で受け継がれていて、お陰様でまかない飯をたくさん食べさせてくれますし、シフトも配慮してくれています」と山本監督。「ですから、ウチが今大会で勝ち過ぎると、アルバイトがいなくて大変みたいです」とジョーク混じりに付け加えた。 OBには投手として中日、ソフトバンク、阪神で活躍しNPB通算100勝(79敗)を挙げた中田賢一氏(ソフトバンク投手コーチ)がいるが、「中田投手の在学当時、部員の多くは夜間部の学生で、昼には野球に打ち込める環境がありましたが、今はその夜間部がありません」と語る通り、環境は異なる。 資金も不足気味で「ネットが破れても、なるべく縫ったり、つぎはぎをして使うようにしています」。強豪私立大の環境をうらやましく思うこともあるが、「それを勝てない言い訳にはしたくない。反骨心は大いにあると思います」と指揮官は力を込めるのだった。 その山本監督自身、スポーツ社会学、パラスポーツを専門にする准教授で、「車椅子ソフトボール日本代表監督」の肩書も持つ。野球部員も在籍するゼミでは、車椅子ソフトボールの選手と交流する機会もあり、「障がいを持ちながらプレーしている方々との交流で、刺激を受けている部員もいます」とうなずく。 山本監督は、かつてプロ野球の広島で通算2339安打、536本塁打を放ち“ミスター赤ヘル”の異名を取った名選手と同姓同名だが、「私の名前の由来は、単に次男だったというだけで、野球とは関係ありません。父は巨人ファンですし……」と笑う。 10日の2回戦では、優勝候補の関大と対戦する北九州市立大。異色の指揮官の下、“公立旋風”を巻き起こすのか──。
宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki