九州電力子会社が顧客情報1090万件紛失、九州全域の電気契約者ほぼ全て含む…経済産業省が事実報告など求める
九州電力子会社の九州電力送配電(福岡市)は8日、契約者名や住所など最大1090万件分の顧客情報を保存した外部記憶媒体を紛失したと発表した。九州全域の電気契約者ほぼ全てが含まれるという。現時点で流出や被害は確認されていないが、無断持ち出しの可能性があるとして4日に福岡県警に被害届を提出した。1000万件超の規模で地域在住者のほとんどが該当する紛失事案の発覚は異例。
発表によると、保存していたのは、2016年7月~24年1月に九州電力や新電力会社と契約を結んでいた個人・法人の約944万件と、25年10月~26年4月に引っ越しなどの手続きをした146万件の顧客情報。含まれていたのは、契約者名、住所、電話番号、使用電力量、契約する電気事業者名、転出入の申し込み情報。銀行口座やクレジットカード情報は含まれていない。
通常、顧客情報はサーバーで管理しているが、記憶容量が逼迫(ひっぱく)したため、一時的に持ち運び可能な外付けの記憶媒体「SSD」を使ってデータのバックアップ作業を行っていた。この作業で、委託先の従業員2人が4月27日にSSD1個に顧客情報を保存し、サーバー室のキャビネットに保管したが、5月26日に紛失が判明した。キャビネットは未施錠だった。SSDには暗号化やパスワードの設定はされていない。
サーバー室への入室は、事前申請した関係者に限り、身分証や生体認証で本人確認を行っていた。この間にサーバー室に出入りしたのは複数の委託先の計57人だった。SSDは持ち出さない決まりだったが、退出の際の手荷物検査はしていなかった。
57人以外の第三者の入室の可能性はないとみており、聞き取りや防犯カメラの精査などを行ったが、現時点で発見に至る情報はなかった。SSDは「手のひらサイズ」で、紛失のほか、無断で持ち出された可能性があるとして、調査を継続している。
九電送配電の稲月勝巳副社長は福岡市内で記者会見し、「大切な顧客の情報を保存する記憶媒体を所在不明とし、経営として大変重く受け止めている。おわび申し上げる」と陳謝。「現時点で原因は特定されていないが、記憶媒体の保管・管理に課題があった。管理のあり方を見直すなど再発防止を徹底する」と述べた。