ANAのサービスに、「席すら選べなくなったのか」 新料金体系が物議をかもしてしまった、納得のワケ
「ベーシックエコノミー化」する会社が増えている?
ANAの新料金体系は「ベーシックエコノミー」に沿った考え方だと筆者は考えている。ベーシックエコノミーとは、従来通りの座席を備えつつ、サービス水準を下げたランクの事だ。標準的なサービスを受けるには、追加料金が必要なLCCの台頭に伴い、欧米のフルサービスキャリアを中心に導入が進んだ概念である。例えば「座席指定ができない」「受託手荷物を有料とする」などの施策がある。 ベーシックエコノミーは一見すると料金が安く見えるが、従来通りのサービスを受けたい客が追加料金を支払うため、客単価は上昇する。一部報道によると、デルタ航空はベーシックエコノミーの導入により、四半期で数十億円規模の収益改善が見られたという。 国内線の状況は各社とも芳しくない。国土交通省が5月に公表した資料によると、国内線の旅客数は2023年度にコロナ禍以前の水準まで回復したが、比較的高単価のビジネス利用は回復していない。高単価客の減少に伴い、主要6社の国内線事業の収益は2024年度に赤字化している。この間に燃料費や人件費も上昇した。ANAによる今回の新料金体系も収益改善が狙いとみられる。 ANAの料金改定によって一時的に国内線の収益は改善するかもしれないが、導入により体系が分かりにくくなり、フルサービスキャリアらしさが失われることになる。一定数がJALに流れ、客数は減少するかもしれない。
著者プロフィール:山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。
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