残業を押し付けたり、辞めたいという学生を不当につなぎ留めたりする“ブラックバイト”。労働法を知らないことでアルバイト先から不当な扱いを受けないようにと、相模女子大学(相模原市南区文京)の学生たちが対処のためのブックレットを作った。3日の学園祭で過労死をテーマにした模擬裁判も上演するなど、学生たちの素直な目線で理不尽な職場の改善を促す試みが広がっている。
冊子は学内向けで48ページ。1部は「ブラックバイトなんかに負けない」として最低賃金や求人情報の落とし穴、パワーハラスメントやシフト強制、残業問題を扱うことで、学業とのバランスを保つ知識を収録。2部の「社会人になる前に、知っておきたいコト」は、産休や育児休暇など、長い人生で必要な労働知識がまとまっている。
同大社会マネジメント学科で労働法を教える奥貫妃文准教授のゼミ生のうち4年生6人が表紙のデザインや執筆を分担した。学内の助成金を受けているため、当面は1年生に配布していくが、いずれは学外の学生にも広げたい構えだ。
奥貫准教授によると、他学部の学生からの労働相談は増加傾向で、残業代やシフトの強制、最近では「辞めさせてくれない」という相談が目立つという。また、「レジの残高が合わない場合、ポケットマネーから出して(店側から)と言われた」というゼミ生も存在し、実例を中心に対応策を盛り込んだ。
4年生の学生(22)=横浜市戸塚区=は「学生だけではなく、事業主も労働法を知ってほしい」と切望。別の学生(22)=小田原市=は「学園祭を訪れ、最低賃金以下で働いていることを初めて知った中年女性もいた。学生のうちから知識を身に付けることが必要」だと感じたという。
3日の学園祭では若い女性医師が働き始めて8カ月目にくも膜下出血で過労死したと想定した模擬裁判を上演。ストーリーやキャストはゼミの3、4年の学生10人が手分けして担当し、労働問題に詳しい弁護士が特別出演した。電通事件など、「学生には身近な問題。人ごととは思えない」と今年初めて取り組んだ。
奥貫准教授は「ブックレットはすべての働く学生にとって働きやすい職場になってほしい、という願いが込められている。模擬裁判も、女性の働き方を見直すきっかけになれば」と願っている。