本件は例えば https://www.fnn.jp/articles/-/879069?display=full の記事にあるように被害者が8月14日に予約していた渋谷の歯科医院については来訪していなかったと云う情報しか従来はなかったわけだが(そしてその出所は件の記事にもあるように歯科医からの回答に基づくものであった)、何と被害者は歯科医院にて診察を受けていたとのこと。おいおいおい・・・と云う話なのである。前提が根本的に変わってくると云うものだ。8月13日に被害者は両親と共に町田から愛知へと帰省する予定だった。だが前夜に被害者は歯医者へ行くから同行は出来ないと突然言い出す。帰省先で歯医者にかかればいいじゃないかとの両親からの説得にも折れずに渋谷の歯医者へ行くのだと云う主張を押し通したものである。13日、同居家族は全員不在となった中、被害者は成瀬駅近くのレンタルビデオ店へ行く。また成瀬から電車で一駅の町田駅からさほど遠くない場所にあるプールへ行った可能性がある。従来は成瀬か町田駅周辺で何かあったんだろう、13日に失踪したんだろうと云う線が濃かったわけだ。私は犯人との遭遇は13日だろうと思っていたがこの時はまだ普通の状態であって14日に一旦帰宅した可能性、そして「事件化」したのは14日夕方辺りからではなかったかとは思っていたが渋谷とはね・・・と云うのが率直な感想である。そして何より最初に感じたことは「まさかの室蘭かよ!?」と云うものであった。
室蘭女子高生失踪事件はその筋では余りにも有名なバイト先のパン屋に於ける「コーヒーの淹れ方講習会」に参加すると云う話からの失踪劇だったわけである。普段はパン屋の支店に勤務していた被害者がわざわざ本店にいるオーナーの下でコーヒーの淹れ方を学ぶと云う「破格の待遇」を得ていたものであった。だが被害者は来訪しなかったと件のオーナーは証言したものである。まあそれが本件では歯科医だったものだが歯科医を怪しむ向きは皆無であった。被害者はモデル活動もしていたのでその事務所関係を訝しむ声は散見されていたが。
ところがこの佐藤証言によって俄然歯科医が怪しさMAX的存在となり、室蘭のパン屋オーナーと同等の位置に立ったものだが、その証言からはもう一つ重要な点がある。それは事務所社長がこの歯科医を被害者に紹介した点である。これによって分かったのは、被害者が帰省への同行を拒絶するために「渋谷の歯医者」を用いたと云うことだ。帰省前日になってどうにも歯が痛いことが気になった・・・であるなら親に相談するのが自然だろう。親子関係が断絶していた等の状態にはなかったわけだから。いわゆる毒親と云う風でもない。何故親に言わなかったのか。それは「気になるなら帰省先で診て貰えば?」と言われるからである。現に渋谷の歯医者へ行くから帰省しないと主張した際にも親から同じように言われている。したがって仮病とまでは言わないがそこまで痛いわけではなかったのだと見る。単純に歯科医側の都合によるものだった線はあるが、翌13日ではなく14日に診察を受けていることからもそのことは窺える。家族の前では歯痛をアピールしていたかもしれないがその痛さの程度が本当だったのかは経緯を鑑みるに甚だ疑問だ。
お盆の最中、本来閉めている医院に被害者と歯科医二人きり・・・仮に室蘭の被害者がパン屋オーナーと予定通りに会っていたなら同じ状況である。事務所社長からの紹介なら被害者は微塵もこの歯科医を疑わない・・・と云うよりも全幅の信頼を無邪気に寄せていたことであろう。100%、この歯科医に被害者は身の上話的なことをしている。帰省したくなくて・・・と云う話をしている。これは疑いようがない。何故なら無理して医院を開けてくれているわけだからそのことに対して誠意で返さなければならないと被害者は考える。したがって歯が痛いのは嘘ではないけれども、帰省したくなかったのだとその理由も添えて歯科医に対して告白しているはずだ。診察後に会食の誘いを彼はしただろう。そして被害者も何らリスクに思うことなく彼のクルマに乗り込んだはずだ。歯科医と云うステータス・・・それも渋谷と云う東京を代表する繁華街で営んでいる、そして何よりも事務所社長からの紹介。一点の疑念も浮かぶまい。まさに無防備、彼に悪意があればやりたい放題となろう。会食に連れ出し、夜中にドライブで連れ回し・・・それ位、普通にやることになるだろう。帰省よりも思い出に残る夏休みに俺がしてあげるよ、と。
マァこう見ると如何にも歯科医が犯人であるようにも思えるが、しかし即断は禁物である。それは彼が突撃してきた親に対しては診察を受けには来ていないと言いつつ、カルテを残している点にある。勿論、ボロを出さないために・・・親に根掘り葉掘り訊かれるのを避けるために「来ていない」と彼は言った線は当然有力ではあるが、本当に来訪していなかった線も実は十分に考えられる。それはカルテをそのまま残している、それも2回分残しているからだ。つまりそれは、14日と17日に被害者が生存していないと困る人物がいたと云うことを意味し得るわけである。その人物が歯科医本人である可能性もあるわけだが、その間のアリバイがはっきりしない人間が知人であるこの歯科医に依頼してカルテを作成してもらった可能性があると云うことだ。例えば14日に関しては診察したのかもしれない。診察後に犯人となる人物を歯科医が被害者に紹介して意気投合し、歯科医は帰宅、被害者と犯人が二人きりでドライブ等をする、そう云った展開が考えられる。以前の記事でも指摘したようにこの時の被害者は、親を退けて居残りを果たせたことで、通常時では考えられないほどの高揚感・開放感に満たされていたはずなのである。季節は夏だから更に、余計にそう云った気分に支配されよう。したがって初対面の相手であっても、二人きりで行動する、その心理的ハードルは恐ろしく低かったはずだ。ましてや犯人とは全くの初対面でも、事務所社長の紹介した人の紹介であるから自動的に信頼を寄せることになるわけだ。したがってこの歯科医が犯人である可能性は、室蘭のパン屋オーナーが犯人である可能性と比較して低いように私には見えるものである。
・・・とは言いつつも、である。警視庁が渋谷歯医者情報を出さなかったのは恐らくこの情報に接したならば渋谷で決まり!となって成瀬・町田を筆頭とする他地域での目撃証言が出なくなるからだろう。残された食事量から14日朝まで在宅していたと割り出したものだが、本人が高揚感から2食分食べてしまったとか、誰かが家に上がって食べたとか(本人一緒のケースと不在のケースの両方あり得る)、そう云った要素も考えられるわけである。被害者がしばらくの間一人きりで家にいること、渋谷の歯医者の予約を取っていること等をどこまで関係者に知られていたのか、これによって成瀬や町田で13日に消えた線というところも残ることになるわけである。或いは途中に外食が続けば冷蔵庫の中のおかずを食べる回数はその分減るわけだから成瀬に居ながら、15日以降に消えた線だってあるわけである(生存していたからと云って電話に出るとは限らない。「出られる状況」「出たいと思う状況」でないのであれば)。だから結局のところ分からないことにはなるのだがマァしかし、渋谷の歯医者やその周辺が最も怪しいと云うことにはなるだろう。
被害者生存の線については無くは無いと見る。監禁された場合は生存していないと見る。だが蒸発の線はあり得る。つまりこの人は別に悪いことをしたわけではないのだから堂々と生活することは出来る。宮川大輔似の指名手配犯だって堂々と生活していたわけだが彼以上に隠れずに生活することが出来る。この人からはアイデンティティの揺らぎと云うものも感じられるから、今までの世界を抜けて「犯人」と一緒に新生活を送る流れに落ち着く線も無くは無い。そこは「犯人」次第だ。「犯人」が性的関係を性急に求めなければ蒸発のち新生活の可能性は開ける。家族がこんなにも血眼になって探しているのに出てこないことなどあり得るのか・・・今更出るタイミングを逸すると云うマインドも考えられるが記憶から消し去っているのかもしれない。もう全くの別人の意識で、井出真代ではない誰かになって生きているのだろうなと、自分のポスターを見ても無反応で通り過ぎる群衆の一人となって生きているのだろうなと思うところである。肉体は滅んでも魂は滅びないと云われるが、肉体は生きているが精神は一旦死に、新たなものへと生まれ変わっていると云うことなのかもしれない。