Zapierからn8nへ乗り換えた
以前、
という記事を書きましたが、当時使っていたワークフロービルダーをZapierからn8nに乗り換えたので、その理由と乗り換えて良かった点、イマイチだった点をまとめたいと思います。n8nのバージョンは現状の最新v2.4.8となりますので、以降のアップデートで改善されている箇所があるかも知れないです。
どちらかのサービスを推す意図はなく、当社で使った所感です。
機能面でのここが違うみたいな比較よりももう少し細かい使用感の違いを中心にまとめていきます。
なお、n8nはセルフホストもできますが、当社ではシステム運用の負荷を下げたいのと、n8nを継続支援したいのでクラウド版のProプランを使用しています。
なぜZapierから乗り換えようとしたのか
- Zapierはプランにより月の実行回数が決まっているが、ノードの実行回数でカウントされてしまうので、どのワークフローがどれくらい使うのか予測しにくい(ワークフローの実行回数のほうがいい)
- n8nでは「ワークフローを100回動かす → 100実行カウント消費」となるが、Zapierでは「10ノードのZapを100回動かす → 1000実行カウント消費」となる
- これが原因で社員に自由に使ってもらいづらくなっている
- 1ノードの実行時間が30秒以内という厳格な制限があるため使いにくい
- AI系のサービス(ChatBot,Agents,Table)が追加課金となってしまいコストが余分にかかってしまう
上記の理由とAIを使った自動化熱の高まりから今後はZapierではつらいと判断しました。
そもそもn8nでよいのか?
- n8nもAI全盛期以前に作成されたサービス(2019年リリース)なので今後はわからない
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makeはどうなのか?
- GUIベースでの変換機能は強力だが、コード(JavaScript/Python)で解決する手段がn8nやZapierほど柔軟ではないため、エンジニア中心の当社には不向きだった
- 最近出てきたGoogle Workspace StudioやOpenAI Agent Builderはどうなのか?
- 汎用的なワークフロービルダーとして使うには機能が限定的すぎた
当社では少なくとも最低3年程度使用でき、その後よい代替サービスがでていたらその際にまた乗り換えるという戦略を取ることにしました。なので、現状一番勢いのあるn8nに乗り換える結論になりました。
n8nの良かった点
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ifやloopが使いやすい
- Zapierではifでの分岐が最後にしか使えない、loop処理ができないなどの制約で実装が複雑になることがあった
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AIサービスとの連携がしやすい
- Zapierのノードごとに30秒以内の厳格なタイムアウトがあって実行時間のかかるAIタスクは非同期で回す必要がありめんどくさかった。n8nはノードごとのタイムアウトはなく、ワークフローごとも設定可能だった
- AI機能やDB機能(Table)が標準プラン内で利用できる (Zapierではこれらが追加課金オプションだったため、コストを気にせず試せるようになった)
- AIを組み込んだテストのやり方が確立されていた
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ワークフロー実行回数で課金が発生するので月の使用感を見積もりやすい
- Zapierだとノードを実行した回数だったので、どのくらい使用するか予測しにくかった
- エラーが発生した際の通知をワークフローとして実装できる
- Zapierだとカスタマイズできなかったので、よく発生するエラーをフィルタリングしたりできなかった
- すべての入力欄でJavaScriptの式が使えるので簡単な変換などが楽だった(Zapierだと一回変換するノードを挟む必要があった)
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OSSなのでフォーラムやIssueから開発状況や問題の詳細が追いやすい
- 特にフォーラムでどう作ればいいかの実際の例をテンプレートにして載せてくれている人もいるのでコピペして問題を解決しやすい
- 1つのワークフローに複数のトリガーが持てるため、入口が複数あるワークフローをSub-Zapsにする必要がなかった
n8nのイマイチだった点
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クラウドサービスなのにバージョンアップが手動
- アップデートは週に1回程度と高頻度
- ワークフロービルダー系はクレデンシャルも多く保有しているので、セキュリティの観点からもマメに更新する必要ある
- アップデートを放置しておくと自動アップデートされるが、勝手に実行した後に通知されるので、使っている時間帯にいきなりアップデートされる可能性がある
- バージョンアップのたびに1分程度のダウンタイムが発生する
- 大きなCVEが定期的に発生している
- セキュリティ向上のため強制的に2FAにする設定やSSOを使用する設定を使いたい場合、さらに上位プラン(Enterprise)に入る必要がある
- Proプランでも2FAは有効にできるがユーザーに強制させられないので適宜チェックが必要
- Google Sheetsからのトリガーが安定しない
- よく"Service unavailable"や"Internal error encountered"になる https://community.n8n.io/t/google-sheet-trigger-stopped-working-503-error/36112/9
- デプロイしたはずなのに以前のワークフローに実行キューが溜まってそちらで実行されてしまうことがある
- 一度Unpublishして再度Publishすると解決する可能性が高い
- トリガーするノードによってはデバッグが行いにくい
- SlackからのトリガーはPublishしていると実行できないので別のトリガーを用意してそこからデータを入力するしかない
- Zapierではノード単体のデバッグは楽だった
- トリガー時点でフィルターしないと実行カウントされる
- Zapierではトリガーしたあとすぐにフィルターすればそれは実行カウント対象にならなかったがn8nではトリガー時点でフィルターできるかが鍵となる
- トリガーによってはフィルターできる条件が限られていてあまり柔軟にフィルターできなかった(後段でifノードでフィルターすることになるが、実行数にはカウントされてしまう)
- Zapierのような「変更があった時だけ」という挙動を期待するとコストがかさむ場合があるのでトリガー条件の見直しは必須
- Zapierもそうだが、サーキットブレーカーがないのでワークフローが暴走した際や、1つのワークフローが使いすぎたときに止めるすべがない。
- Zapierは月の上限をオーバーして実行してしまったら追加課金だがn8nの場合は停止してしまうためリスクが高い
- Tableという簡単なデータを置く場所は用意されているが、RAG用のナレッジベース(ベクトルDB的な置き場)を置ける場所はなかった(外部サービスを使う必要がある)
- 接続するサービスによってはZapierでは対応していたVerified Appになっておらず、認証の設定が複雑になることがある
- Google Driveの場合はGoogleCloudのプロジェクトを作成してOAuthの設定をする必要があるhttps://docs.n8n.io/integrations/builtin/credentials/google/oauth-single-service/
n8nで困るかと思っていたけどそうでもなかった点
- 乗り換えコスト
- テンプレートとjsonでのインポートがあったおかげでそこまで大変ではなかった。
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n8n AI Assistantというサービスもあるがあまり使わず、普通のAI(ChatGPTやClaudeやGemini)にこういうサービスをn8nで作りたいからjsonを書いて欲しいといえば十分だった
- ZapierのZapをエクスポートしてAIを使ってn8nに移行する方法もあったがZapierの実装に引きずられてn8nっぽくない実装になる可能性もあったので1から要件を伝えるようにした
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n8n AI Assistantというサービスもあるがあまり使わず、普通のAI(ChatGPTやClaudeやGemini)にこういうサービスをn8nで作りたいからjsonを書いて欲しいといえば十分だった
- テンプレートとjsonでのインポートがあったおかげでそこまで大変ではなかった。
- 公式インテグレーションが少ない
- 基本的にHTTP RequestとWebhookがあればなんとかなった
さいごに
5年間お世話になったZapierからn8nへの乗り換えは思っていたよりもスムーズに完了しました。
n8nにもクセがあり、手動バージョンアップの手間やトリガー時点でのフィルタリング制約など、運用していく中で気になる点もあります。しかし、ワークフロー実行回数ベースの課金体系やAIサービスとの柔軟な連携、ifやloopの扱いやすさなど、当社のユースケースにはn8nのほうがフィットしていました。
特に「社員に自由に使ってもらいやすくなった」という点は大きいです。Zapierのノード単位課金では使用量の予測が難しく、気軽にワークフローを作ってもらうことにためらいがありましたが、n8nに変えてからはその心理的ハードルが下がりました。
ワークフロービルダーの世界は今まさに変革期にあり、AIネイティブなサービスも続々と登場しています。3年後にはまた別のサービスに乗り換えている可能性もありますが、それはそれで良いと思っています。
今後も「今一番勢いのあるものを使って、状況が変わればまた柔軟に乗り換える」くらいのスタンスで、自動化基盤を整えていきたいと思います。
同じようにZapierの運用で悩んでいる方や、n8nが気になっている方の参考になれば嬉しいです。
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