2026-06-08

オタク辞めるか。流石にもう。

 K-POPアイドルオタクを約3年ほどやっているが、最近こう思うようになってきた。


 こう思いはじめたきっかけは、私が応援しているアイドル達が不祥事を起こした訳でも、彼らに直接的な原因がある訳でも無い。「良い歳した大人なのに、オタクをやっているのってヤバいな、やめなきゃ」という焦燥感から辞めようと思い立った訳ではない。「推し貢ぐお金って無駄自分投資した方が有益」という風に、他のオタク煽りたい訳でも無い。そういう風に考えたことは全く無い。寧ろ、オタクをやり始めてから毎日が楽しくなった。その事実は今も変わらない。同じオタク同士で仲良くなれた人もいる。アイドルに元気を貰い、日々の活力になった。こんなにもやりがいのある趣味は無いと思う。アイドルには感謝しかない。理不尽な叩かれ方をするアイドルを見て悲しくなったり、不誠実な対応をする事務所に怒りを覚えることもあったが、毎回なんとか立ち直れていたし、ライブが楽しみだった。

 でも、何も考えず楽しむには、この趣味は辛いことが多すぎる。辛いこと、というのは、突発的な炎上や、事件だけではなく、いわゆる"推し活"が抱える問題や、仕組みに対する不満だ。それを薄っすらとずっと考えてモヤモヤしていることに、最近耐えられなくなってきた。


 それを考え始めた1番のきっかけは、お金だった。アイドル応援し、十分にコンテンツを楽しむにはお金が掛かりすぎる。私はアルバムを大量に買わないし、握手会サイン会といった対面イベントにも興味が無く、恐らくお金を掛けている人間の百分の一もお金を使っていないが、それにしても出費が痛い。私が地方在住者であり、ライブ会場に行くまでの交通費がかかることが1番のネックだが、それを抜きにしても、毎回かなりの出費になる。今、日本不景気であることを加味しても、ライブチケット代はとても高い。そして、チケット代は毎年少しずつ値上げし続けている。

 アルバムも地味に高い。私の応援しているアイドルアルバムは、1つにつき、安くて2000円前後、高い時は4000円ほどだ。恐らく、これより高額なアルバムを出しているグループも沢山あると思う。こうして見ると、高価な物でも無いが、K-POPアイドルは大体1年に2〜3回カムバック(※新しいアルバム、曲を出すこと)をしている。その度にアルバムを購入しなければならない。これが積み重なっていくと、割とキツい。アルバムの出費自体はそこまで大きくはないが、購入が自然義務化されていくことによるストレスは、感じるようになっていた。

 そして、出費が固定されていると、他のことができなくなる。東京でやっているイベントに行きたい。新しい靴が欲しい。家具を新調したい。でも、アルバムを買わないといけないから余計な出費は抑えたい。いつか必ずあるライブのために、貯金をしておかなければならない。交通費、グッズ、チケット代、それらのために貯金をしなければならない。そう考えると、他のことに使っている余裕は無い。好きでやっていることだから別に良い。別に良いが、正直、そう言い聞かせている側面があった。いくら自分が好きでやっていることだと言っても、ここまで行動が制限されるのは辛い。私の生活もっと余裕があればこのような思いはしなくても良かったのかもしれないが、そういう問題では無い気がして、少しモヤモヤとした気持ちがあった。それが最初だった。

 だが、少しの不満はあれど、これらに対して無駄金、とまで思ったことは無い。アイドルが好きだから自分がやりたくてやっているから。全て必要経費だと割り切っているつもりだった。ライブに行きたいかライブに行っているし、アルバムが欲しくてアルバムを買っているから。でも、ライブに行った月や、アルバム購入後のクレジットカード請求額を見ると、少し苦しくなるのは事実だった。

 そこで気づいたが、私とアイドル繋ぎ止めている理由には『アイドルが好きだから』以外の物がない。他の人間のように莫大なお金を掛けていないから諦めきれない気持ちも無く、どうしても対面イベントに行きたい欲も無い。"好き"以外の理由が無い。強い執着心が無い。その為、アイドルが好きではなくなった訳ではないのに、「好きだけど、アイドル応援し、お金を掛けることへの後ろめたさ」に耐えられなくなった瞬間に終わってしまう。そして、最近その気配を感じるようになった。

 終わってしまったら、想い出は残るが、これ以上更新されない。アンコールの終わりに、「ずっと一緒にいてね」と涙ぐむ彼らの表情が目に浮かぶ。それらを想像し、深く悲しむくらいの情はあるのに、辞めたくない、と抵抗する気力は不思議と全く湧かない。


 現代の、"推し活"のシステムが肌に合わないとはずっと思っていた。というか、現代の、アイドル商売としてのシステムや、取り巻く環境に納得している人間なんて、存在しているのだろうか。売り上げ貢献や、対面イベントに行くためのシリアルコード欲しさを抜きにしたら、同じCDを何百枚も買いたい人なんて存在しないと思う。カムバの度に「大量のCDもったいない」という気持ちが過る。


 アイドルに、清く正しく聖人であるよう、それが当たり前のように、無邪気に強要しているオタクは恐ろしい。別に彼女がいようが、彼氏がいようが、恋人がいようが、どうでも良い。恋愛禁止人権侵害だと思う。だって人間なのに。人間から過ちを犯すこともあるだろう。その過ちの大小に限らず、オタク言葉だけではなく、使えるものを全て利用し、ある時は肉体的に、精神的にアイドルを徹底的に叩きのめす。ボコボコにする。そもそもアイドルオタクパワーバランスおかしい。お金を払っていたら何を言っても、何をしても良いのだろうか。

 所属タレントにも、消費者であるオタクにも、不誠実な態度をとり続ける事務所への不信感を抱えたまま、アイドル応援するのはもどかしい。それでもアイドルが好きだからアルバムを買うしライブにも行く。しかし、私の払った対価が、憎たらしい事務所にも吸い取られていることを考えると、やるせなく、悔しい。

 匿名メッセージツールに、出所不明ゴシップ愚痴デマを送る人間と、それを何の責任追及もなしに取り上げることができる人間の不気味さと異常さは、この世で最も醜い物の1つだと思う。反吐が出る。全員捕まって欲しい。

 サバイバルオーディション番組に付随する何もかもが怖い。1番怖いのが、様々な問題が起こっているのにも関わらず、続々と新しい番組が登場していき、皆過去の苦しみを忘れてそれに熱狂していくことだ。

 若く細く美しいアイドル容姿に惹かれ、評価する度、これはルッキズム助長行為だと葛藤する。完璧に近いアイドル容姿を褒めることで、自分自分達の首を絞め、生き辛くしている。

 過酷スケジュールに体調を崩したり、忙しくて辛そうなアイドルを見る度に罪悪感が募る。そこまでして貰えるほど、私は彼らになにもしていないし、して欲しくもない。しかし、私が望む彼らのパフォーマンスは、それらの苦しみによって生み出されているのだろうと思うと、何も言えなくなる。

 ボランティアであること以上の仕事量を求められる、ファンダムに対する申し訳なさと、素人故の危うさから感じる緊張感。ファンダム同士の衝突やトラブルが起こり、それによるオタク同士の確執誕生するのを、たった3年間で数えきれないほど見てきた。

 オタク善意不安心、競争心を煽る音楽番組の仕組みも面倒すぎる。ライブや曲、アイドル人達のことだけを考えてオタクをやりたい。カムバック中だって、他のアイドルの曲を聴きたい。でも音源の点数に貢献してしまうから聴けない。成績とか、音楽番組で1位を取れたとか、CDを何枚売り上げたとか、本当は全く興味が無い。私が楽しめるならそれで良い。でも、そうはいかない。そして、投票しない理由も、好成績を喜ばない理由も無い。アイドルが喜ぶから。喜んでいるから。好きなアイドルが喜んでいる姿を見て、嬉しい気持ちにならない訳がない。成績を残す度に、アイドルとして活動できる時間が少しずつ伸びていく。それの繰り返し。オタク課金をして1位を取れたからなんなのだろう。そのお金はどこに行き、何になるんだろう。これはいつまで続くんだ。終わりはいつ来るんだ。誰かが倒れるまで?恐らく、誰が倒れようが、死のうが、続いていくのだろう。現に続いているのだろう。誰かがボロボロに傷付いても、一時のセンセーショナルニュースとして取り上げられ、その内コンテンツとして処理され、美化され、忘れられていく。それはまだマシな方だろう。そもそも、そんな苦しみも、怒りも、悲しみも、無かったことのように処理されることが殆どなのだろう。

 いつか来るであろう終わりが予想されていても、この業界システム限界第三者に指摘されていても、生きる為に、膨大な数の人間を満足させる為に、続けていくしか無いのだろう。


 全てが少しずつストレスになっている。アイドルオタクも、全員が全速力で走り続けなければならないやり方は息が詰まる。


 アイドルという商売特にK-POPアイドルの売り方が持つネガティブな側面について目を向けないようにしていたが、嫌でも直視しなければならない瞬間が来てしまった。物事俯瞰で観察している自分に酔っている、と思われるかもしれない。現にそうかもしれないが、部屋の片隅に大きく積まれているアルバム収納に頭を悩ませる時間は、本当に必要時間なのだろうか。集票や投票のために、大量の広告を視聴している時に感じる虚しさは誤魔化せない。我々は何度白熊を狩り、ネジを抜いて、ジュースを大きくしていけば良いのか。


 「そんなことは分かった上で楽しんでいる」という意見はごもっともだと思う。自分もそうだ。楽しんでいる最中こんな文章を目にしたら「うるさい、嫌ならさっさと辞めろよ」としか思わないだろう。でも今はもう楽しめない。アイドル消費者犠牲の上に成り立っている物が楽しめなくなっている。趣味生産性を求めるのはあまり好ましくないが、それにしたって何も生み出さない。一瞬の感動を得る為に、多くの人間が、それぞれの何かを犠牲にしているにしては、あまりにも虚無だ。限界を感じる。


 個人的な話だが、自分の、アイドルに対する距離感にも問題がある。個人的な話になるが、自分はかなり外的要因からの影響を受けやすく、共感やすい。その為、アイドルを「赤の他人から」と割り切れない。彼らが理不尽攻撃を受ければ、腹が立ち、眠れなくなる。彼らが過ちを犯せば、大きなショックを受け、1日中それについて考えている。アイドルの全てを追いかける必要はないのに、それができない。0か100しかない。この性質は、現代オタクをやる上でとても厄介だと感じる。


 私がオタクを辞めたからといって、今の現状に歯止めをかけることはできないし、何かが変わる訳でも無いと思う。事務所利益がほんの少し減る可能性と、私の日常ルーティンが1つ減ることが確かだ。


 私は、これからオタクを続けるのだろうか。自分でも分からない。今でもアイドルのことは好きだ。好きだと思う。楽しい想い出も沢山ある。元気を貰ったことも確かだ。でも好きである以上に、この終わりのない連鎖に加担している事実が耐えられない。別に、ある日突然現在環境になった訳でもなく、今までずっとそうだったし、私がオタクになる前から続いていたことだと思う。それに耐えられなくなった、というだけである。もしかしたら、数ヶ月後にはまた元気にアイドル応援している自分いるかもしれない。今、確かなのは自身が苦しんでいることを整理し、言語化しなければならないほど疲弊しているということだけだ。


 同じアイドル応援している友人達に水を差す訳にもいかず、かと言って自分1人で抱えるには辛かった為、ここで開示した。


 少しでも、今のアイドル業界が、"推し活"が抱えている問題点が改善してくれれば良いと祈っている。


 疲弊しながら誰かを応援し、傷付きながら応援されるようなことが、少しでも無くなって欲しい。

記事への反応(ブックマークコメント)

    ログイン ユーザー登録
    ようこそ ゲスト さん