日常に潜む“固定観念”を覆す─「マイクロフェミニズム」を実践する女性たち
現代のフェミニストの「リアルな姿」
マイクロフェミニズムという言葉は、人種や性別、性的指向、障がいなどに基づく日常的な偏見を指す「マイクロアグレッション」を彷彿とさせる。黒人の客が万引きをすると思い込んで後ろをついて回る店長や、カミングアウトした子供に「それは一過性のものだ」と言う親などがその例だ。 米バージニア大学の社会学教授であるアンドレア・プレスは、マイクロフェミニズムは「性別ごとに期待される役割」を覆すことで、「日常的な男尊女卑」に抵抗する手段だと指摘する。 「女性は『当たり前』とされている差別的な前提に常に晒されていますが、私たちはそれをどこか受け入れてしまっています。たとえば、夕食は女性が作るものだという思い込みや、男性は常に働いている前提なのに、女性にだけ『お仕事はされていますか?』と尋ねることがそれに当たります。 マイクロフェミニズムは、現代社会において女性たちの意識が確実に高まってきている証拠です。社会の『常識』や『普通の生活の一部』として見過ごされてきた日常的な差別に、彼女たちはしっかりと目を向けているのです」 アンチフェミニズムの色が濃い現在の米政権下で、女性たちは中絶の権利をはじめとする、女性の諸権利が根底から脅かされる事態に直面している。さらに、「男らしさ」を信奉するネット上の右派コミュニティ「マノスフィア」が主導する、深刻なミソジニー(女性嫌悪)の広がりも背景にある。 こうした逆風のなかで、マイクロフェミニズムは「現代において、フェミニストであることのリアルな姿を映し出す、興味深い現象になっています」とダンラップは言う。「このささやかな行動は、私たちが自らの手で公平性と平等を手繰り寄せるための手段なのです」
「男性への差別」の声に「その通り!」
ジョーダン・パレルモ(24)は、性別による「男だから」「女だから」といった前提のない環境で育った。彼女の家庭では、母親が働き、父親が家事や育児の大部分をこなしていた。しかし、大人になって接客の仕事に就いたとき、彼女は「多くの人が無自覚のうちに、日々の生活のなかで性別に基づいた役割を演じている」ことに気がついた。 パレルモは、見過ごされがちな男性からのマイクロアグレッションを女性が指摘することは重要だと考えている。なぜなら、そうした日常の些細な言動が、平等や自律性に関する、より大きな問題につながっているからだ。 彼女自身も、歩道で男性に道を譲るのを拒むというマイクロフェミニズムを実践している。男性たちはしばしば彼女が避けるものと思い込んでおり、時にはそのまま衝突してくることもあるという。「公共の場でも、女性が男性と同じように堂々と場所を使ってもいいはずだ、ということなんです」と彼女は語る。 セラピストでありコンテンツクリエイター、そして5人の子供の母親でもあるブリアナ・ウッド(34)も、子供たちを連れていたり、ベビーカーを押して歩いていたりするときでさえ、男性たちが避けてくれずに衝突されそうになるという経験をしてきた。「私は道を譲らないようにしていますが、特に自分が小柄な場合、それを貫くのは本当に難しいです」 ウッドはマイクロフェミニズムに関するTikTokの動画を投稿しており、それらは100万回以上再生されている。彼女によると、このコンテンツは「ある特定のタイプの男性を非常に苛立たせる」という。 ネット空間は女性に対して攻撃的になりがちで、フェミニストを攻撃するためにミソジニーを剥き出しにする男性も少なくない。「男性こそが、多様性やジェンダー平等の『真の被害者』だ」という、右派男性インフルエンサーの主張を鵜呑みにした匿名のフォロワーたちが、ウッドのコメント欄にも押し寄せたのだ。 彼らのコメントに対して、「『本当にその通り!』と思っています」とウッド。「立場を逆にすれば、男性にとっても非常に差別的に感じられることなのです。だから、もしあなたが女性に対してそれをやっているなら、同様に差別的である、ということですね」
Alaina Demopoulos