環境破壊や土砂災害、景観の悪化――全国に乱立するメガソーラー、なぜ中止にならない?
だが、ここへきて社会的な関心が高まっている。大きなきっかけは登山家の野口健さんだ。 今年7月、野口さんがXで釧路湿原国立公園付近でのメガソーラー開発計画に警鐘を鳴らすと、多くの人が反応、タンチョウの生息地近くの環境破壊に関心がもたれた。さらに、野口さんは鴨川市の計画にも言及し、注目が広がった。 冒頭の勝又さんは2018年に市議会で取り上げられたことで、その計画を知った。行政文書を開示請求するなどして情報を集め、市民への周知に取り組んできた。 長い間、住民の関心は低いままだったが、今年10月4日に行った建設計画の「住民説明会」には700人もの市民が駆けつけた。 勝又さんらが「住民説明会」を開いたのは、事業者の住民への説明がなかったためだ。2024年4月には再エネ特措法が改正されて説明が義務化されたが、それ以前に認可された鴨川ではいまだに行われていない。 そもそも各地のメガソーラーの問題で多く共通しているのは、事業者がどういう会社なのか不明瞭だということだ。複数の法人が関与して、設置主体がわかりにくく、説明責任を十分に果たせていない。 鴨川でのケースも事業主体がきわめて複雑でわかりにくい。
同じ人物が複数の法人で関係する複雑な事業主体
鴨川の場合、再エネ特措法の認定事業者は鴨川市に本社を置く合同会社A社だが、その代表社員は東京都中央区に本社を置く合同会社Bである。そのB社の代表社員は東京都千代田区に本社を置く合同会社Cで、そのC社の代表社員は東京都千代田区に本社を置く一般社団法人Dとなっている。入れ子構造になっているが、このA、B、C、Dの4社の職務執行者や理事はすべて同じ人物である。 そして、そのB社の旧所在地は、全国各地で25拠点ほどメガソーラー事業を展開するX社と同じ場所でもある。 法人の複雑な構造を見て、勝又さんは言う。 「事業者の構成を複雑にすることで責任の所在を曖昧にしているのでしょう。住民に対する説明にも真摯な態度が見られず、お金儲けとしか思っていないことは明らかです」 安全面での不安も拭えない。2021年に静岡県熱海市で大雨に伴う盛土の崩落が起きたことを受けて、通称「盛土規制法」がつくられた。土砂崩れなどを防ぐため盛土を規制する法律で、千葉県では2025年5月26日に規制区域を指定して施行された。ところが、鴨川のメガソーラー事業はその規制対象に入っていない。