環境破壊や土砂災害、景観の悪化――全国に乱立するメガソーラー、なぜ中止にならない?
だが、法的な規制は非常に緩かった。高い価格でFIT認定を受けた事業者は、発電すれば確実な利益が見込める。そのため、大型案件は数年かけてでも建設が進められてきた。 そうして全国各地に乱立する中で、さまざまな問題が表面化してきた。 福島県福島市の先達山では、山肌が削られ、60haの敷地に約9万6000枚ものパネルが敷き詰められた。それによって、景観の悪化に加え、パネルの反射光で周辺一帯がまぶしすぎて、生活に支障をきたす光害問題が出ている。 奈良県平群町では約30haの森林が伐採されて工事が行われた。すると、今年5月には1時間最大20ミリの降雨により土砂流出事故が発生。同様の事故は昨年も発生していた。 長崎県佐世保市の宇久島では、島の面積の10分の1に当たる280haに太陽光パネルを設置する計画が2026年度中の完成を目指して進行中だ。水害の発生や生態系への影響が懸念されている。 環境破壊、日常生活への影響、災害の懸念などさまざまな問題点が指摘されているものの、法的な規制が緩いため事業は進められてきた。
環境にやさしいどころか、大きな環境負荷
環境にやさしいどころか、メガソーラー事業はむしろ大きな環境負荷を与えている。そう指摘するのはキヤノングローバル戦略研究所の研究主幹、杉山大志氏だ。 「メガソーラーは広い土地を使います。そのため、農地や森林がその代償で失われ、景観は悪化する。施工が悪ければ台風などで破損し、土砂災害を起こして危険になるというリスクもあります」 そうした懸念により地域住民が反対運動を起こしたとしても、実際に設置が中止に至る事例は少ない。そこにメガソーラーの問題があると杉山氏は言う。 国会でメガソーラーの問題点を繰り返し指摘してきた立憲民主党の田嶋要衆議院議員は、メガソーラーは当初、環境アセスメント(開発事業前の環境影響評価)の対象ではなかったと語る。 「メガソーラーに環境アセスメントが導入されたのは2020年4月からで、再エネ特措法から8年も経っていた。ただし、アセスメントは事業をやめさせるためのものではなく、アセスメントによって計画を中止させた事例はほとんどありません。再エネ特措法では、森林法違反などがあった場合、(基準不適格などの対応を後から行う)規制の遡及適用はしないとなっている。その制度設計の問題もあります」