×だらけ広告に法的問題は?消費者庁の検討会委員に聞いてみた…UI悪用広告は「ダークパターン」に該当「健全な事業者がシェアを奪われる」
×印だらけの画面や「次へ」のボタンを偽装したような「UI悪用広告」。思わずクリックさせるような広告の仕掛けは「ダークパターン」に該当するという。 【映像】本当の×印はどれ?わかりづらすぎる「UI悪用広告」 ニュース番組『わたしとニュース』では、消費者庁の検討会委員でもあるカライスコス・アントニオス教授を取材。EVeMのチーフインパクトオフィサー・滝川麻衣子氏とともに、その背景や問題解決の難しさを深掘りする。
法的にアウトと言い切れないが…「ダークパターン」に該当
そもそも、「UI悪用広告」は法的には問題はないのだろうか。消費者側としては、誤ったクリックによって時間を奪われ、無駄な通信料がかかってしまうなど、損害が生じているとも考えられる。 消費者法といえば「景品表示法」や「消費者契約法」が思い浮かぶ。しかし、龍谷大学のカライスコス・アントニオス教授によると、UI悪用広告をクリックしただけでは、法的にアウトとは言い切れないという。 ただ、UI悪用広告は、現在消費者庁が検討会で対応を協議している「ダークパターン」に該当するという。 ダークパターンは、ウェブサイトやアプリで、利用者の意図に反した行動をとらせ、不利な条件に誘導するような仕掛けのことだ。定期購入の契約であるにもかかわらず、そのことをあえてわかりづらく表示して購入させることなどがあげられる。 今回のUI悪用広告は、こうしたダークパターンの中でも「インターフェイス干渉」にあたると考えられるという。 ダークパターンが問題なのは、消費者保護の観点からだけではない。放置すると社会全体に悪影響を及ぼすという。 「(ダークパターンを使わない)健全な会社が市場のシェアを奪われていく。そしてダークパターンを使うような会社がどんどんシェアを伸ばして短期的には利益を上げていくというような、望ましくない影響が出てくる」(カライスコス・アントニオス教授、以下同) 「国の政策も動いている真っ最中だ。一般社団法人ダークパターン対策協会では、自主規制としてダークパターンを使わないウェブサイトを認定しロゴマークを付与する活動を行っている。それにより消費者側も心配することなく、ロゴマークを見ればより安心して視聴などができる。こういった環境づくりを、いま目指しているところだ」 この現状を受け、メディア運営に携わった経験もある滝川氏は、UI悪用広告による短期的な利益追求がもたらす懸念点を次のように解説し、警鐘を鳴らす。 「短期的にはクリックを稼げるので広告が回っているように見えるかもしれないが、悪質な広告で溢れているメディア空間に、消費者はだんだんうんざりしてくる。『このメディアには行かないようにしよう』となるだろう」(滝川麻衣子氏、以下同) 「広告で短期的に稼げていたかもしれないが、上質な情報空間自体が壊れていってしまうため、最終的にはユーザーが信頼できるメディアや情報発信媒体が減っていくことが起きてしまう」 ではメディア側が悪質な広告を排除し、適切な広告を選択することはできないのだろうか。滝川氏はウェブマーケティングの世界におけるステークホルダーの複雑さを指摘する。 「メディア側がすべてをコントロールできるわけではない。広告主も枠だけを買い、AIのアルゴリズムがユーザーや表示回数を選んでいる。そこを統合しているルールや市場のモデルが健全に確立されているわけではない」 さらに、滝川氏は、「情報は無料」の意識が、この問題を加速させていると分析する。 「良質な情報が欲しかったら『お金を出してメディアを買ってください』となるだろうが、ほかにも無料のものがたくさん存在している。結局、無料のものを維持しようとすると、ダークパターン広告を使う方が効率的で収益性が上がるというところに陥ってしまう構図だ」 「インターネット空間は無料でいろいろな人に民主的に情報を届ける場ではあったが、無料の代償はやはりある。結局、誰しもが平等に民主的に情報を得られる空間は幻想だったというところに、至りつつあると思う」