BMWのボクサーエンジンの話。
先日のこの記事を書くのにBMWのネット記事を見ていたら、色々とおかしい記述があったので
長文を書くリハビリがてらにBMWのボクサーエンジンについてつらつらと書いていく。
BMWのボクサーエンジンは航空エンジン由来ではなさそう。
色々な記事でBMWのボクサーエンジンは航空エンジン由来の技術が〜と書かれているが、自分が調べた限りでは、BMWのボクサーエンジンとBMWが作った航空エンジンとは直接的には技術的なつながりはない気がしている。
まず、BMWがバイクのエンジンを作るようになった経緯は以下の通りだ。
元々BMWは第一次世界大戦の時に軍用機用の航空エンジンを製造するために拡大していったエンジン専門の企業だったのだが、ドイツの敗戦でベルサイユ条約が締結され、ドイツでの航空機開発が禁止されてしまう。
当然航空エンジンしか作っていなかったBMWは主要製品が製造できなくなったため、業種転換が模索され、その中で第一次世界大戦で普及が進み戦後復興で需要が大きかったバイク製造を始めるというのが大まかな流れだ。
これを受けてBMWのボクサーエンジンは航空機由来の技術でーと書かれているようなのだがここに至るまでにはいくつか省略されているエピソードがある。
まず当時のBMWが作っていた航空エンジンはBMWのエンジニアだったマックス・フリッツが設計したBMW Ⅲとその派生種で、そのエンジンレイアウトは直6の水冷SOHCエンジンでバイク用のボクサーエンジンとの構造上の共通項は、ほぼない。
さて、BMW最初のバイク用のエンジンがどういうものだったか見ていくと1920年に発売された汎用エンジンBMW M2B15にたどり着くことが出来る。
元々はバイクに限定せずに汎用エンジンとして企画されたそうだが、このエンジンをニュルンベルクのバイクメーカー、ヴィクトリアが自社のバイクKR1に採用し販売。
これがBMWエンジンを搭載した最初のバイクで、M2B15はヘリオス・モーターサイクルのバイクにも採用され、BMWはこのヘリオスを吸収し、自社ブランドのバイク製造に着手。
そして1923年にM2B15を改良したM2B33を開発これを搭載したBMW R32が現在に続くBMWのボクサーバイクの始祖となる。
さて、ビクトリアやKR1を見て違和感を覚えた人もいるかもしれないが、最初のBMWのバイクエンジンは縦置きではなく横置きの水平対向エンジンで、今のBMWのバイクとはかなり異なる構造をしている。
これにはちゃんと理由があって、BMW初のバイク用エンジンのM2B15はリバースエンジニアリングによって生まれたエンジンだからだ。
BMWのM2B15のコピー元になったのはイギリスのダグラスというメーカーで、現在では消滅してしまったが
1900年代からバイクを製造しているバイク黎明期を代表するメーカーで、第一次世界大戦ではイギリス軍の軍用バイクの中核をなし7万台ものバイクを製造。
BMWが航空エンジンメーカーからの転換を迫られた1920年ごろ、大型バイクで最も成功したメーカーと言って良いだろう。
そんなBMWがダグラスの横置きから縦置きレイアウトを採用することになったのは、ヘリオスを吸収後、自社ブランドのバイクを販売するにあたり、ダグラスのレイアウトでは後部シリンダーの冷却が難しいと先述のマックス・フリッツが指摘して、左右で均等に冷却できる縦置きに設計変更したのがルーツだそうだ。
また、このM2B33は当時としては珍しいウェットサンプ方式で(当時のバイク用エンジンは全損式潤滑が多くエンジンオイルは再利用されずに一緒に燃やされたりする使い捨てエンジンが多かったそうだ)
もし航空エンジンの技術がBMWのバイクエンジンに使われていたとしたら、こういうエンジンの基礎設計の部分ではないかと思っている。
某有名バイク雑誌のウェブ版の記事とか見ていると、航空エンジンとしてメジャーな水平対向2気筒エンジンをオートバイメーカーに供給しようとしてーとか書いてあったりするけど
航空機で2気筒エンジンが使われるのは稀でホビー用の小型機にほぼ限定されるし、先述の通りBMWが航空機用の2気筒エンジンを作ってたなんて聞いたことがない。
日本語の記事だとこの辺をわざと書いてないか、プロでも知ったかで適当に書いてる記事が多かったんで、自分の調べた範囲で書いてみました。
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飛行機とか好きな人

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