鬼と、光と、林檎の味
今回のキャプションは本編読んでから読んでください。
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パーフェクトレム(記憶は上映範囲準拠)、アベルとセッシー、ハリベルさんが来ました。
セシルスうるせえ!!!!
これはレムもイラつきます。
それでは、アンケートもお願いしますね。
では!
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『わかった。……きっといつか、俺はまたお前と出会う。だから──だから、今はさようなら、シャウラ』
『ちっちゃくても魔獣ちゃんなんだからあ、迂闊に顔に近付けたりしたら、目とか鼻とか食べられちゃっても知らないわよお。──この子は、裸のお姉さんじゃないんだからあ』
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「別れなんて、きっと一瞬よ。──400年に比べたら、ね」
ラムが、静かにそうこぼす。
シャウラという存在は、もういない。
だからこそ、再会を待つべきだ。
と、そんなラムの後方から、ラインハルトが口を開く。
「──スバル……」
スバルは、まだ紅蠍をシャウラと認識している。
それが、ラインハルトには少し、可哀想に思えた。
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『──ラム女史が、ライ・バテンカイトスを討ったということだ』
『──レムを、思い出してくれたのか?』
『……ごめんなさい、スバル。まだ、私はレムのことを思い出せてない』
『その点に関してだが、私の『名前』が戻らない理由の想像はつく。――『暴食』の大罪司教、ロイ・アルファルドは生け捕りにしてある。厳密には、私の『名前』は彼に奪われたモノだ。だから、まだ戻らないのだと思う』
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「──全部解決、とは行かねぇか……」
レムもユリウスも、世界から忘れられたまま、それを取り戻すことは叶っていない。
「全員殺さなきゃならねぇってことか……?」
賢一の押し殺すような声に、ユリウスは切れ長の目を哀しそうに細め、
「──ままならないものだ」
と、低く呟いた。
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『エミリアさん、それにナツキくんらも、ずいぶんと久しぶりやねえ』
『……まさか、アナスタシアさんか?』
『アナスタシアさん! 起きられたの?』
『そうそう。もう、長いこと居眠りしててしもたみたいで、心配かけて悪かったわぁ。この何ヶ月か、どうしてたんかはエキドナに聞かせてもらったわ』
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「お姉さん、やっぱり本物だと立ち振る舞いが違うのねえ。びっくりしちゃうわあ」
「本当、驚いたわ。アナスタシアちゃん、戻れてよかったわねぇ」
メィリィの声に菜穂子が重ねる。
アナスタシアは菜穂子の言葉に苦笑いを浮かべながらも、眉を下げて口元を緩める。
「──ほんま、良かったと思うわ」
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『『暴食』の片割れ……バテンカイトスが死んで、エミリアたんのことはみんなが思い出した。だったら、残りの『記憶』だってこいつが死ねば……』
『戻ってくる確証はない。私が彼を処断しなかったのも、それが最大の理由だ。バテンカイトスをラム女史が討ったことに疑いはない。だが、エミリア様の『名前』が解放されたのは、本当にただ討つだけで成立したことなのか? 早まれば、全てを失う可能性もある』
『だったら……だったら、『死者の書』はどうだ?』
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「それはダメなのよ、スバル。あんな思い、もうベティーはスバルにさせるつもりはないかしら」
「あァ。大将の気持ちはわかるッけどよォ……」
ベアトリスが悲しそうに眉をひそめ、ガーフィールも声を重ねる。
「──スバルの気持ちを優先したいけれど、かしら」
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『ウチもエキドナから聞いた話やし、あちこち抜けがあるかもしれんのやけど……その『死者の書』やっけ? 過信するんは危ないんちゃう?』
『危ないって、どうして』
『どうしても何も、それはナツキくん自身がいっちゃん体感したことやろ? ウチが寝とる間に、ナツキくんも自分がなくなったりしてたって話やないの』
『じゃあ……じゃあ、アナスタシアさんも、こいつを生かしておくのが正しいって、そう言うのか? こいつが今まで、どれだけのことを!』
『正しい正しくないの話をするんなら、ウチやって大罪司教なんて生かしとくんが正しいやなんて思わんよ。でも、ウチにも持論があってな?』
『持論……?』
『命のあるなし、取り合い奪い合いは最後の手段。――人を簡単に死なせる人間は、碌な結末を迎えない。ホーシン語録やなしに、ウチの言葉』
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「私もそう思うわ、スバル。レムのことやユリウスのことが大切だから、そう思ってるってわかってるけど」
エミリアが、豊満な胸の前で細く白い指を絡め、美しい顔を切なそうな色に染める。
「人を簡単に死なせようとするのはダメ。それは、私もそうだと思うの」
「そこに関しては、わたくしも賛成ですわ。エミリア様。命は大切に、ですもの」
「ええ、そうよね」
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『大勢を不幸にして、今だってみんなを苦しめてる。……そんな奴でも、アナスタシアさんは殺すなって言うのか』
『殺さなならんときは殺すよ。そう決断するし、いざとなったら手も汚す。でも、衝動に任せるんは違う。――ナツキくんも、こっち側の人間やと思う』
『そんな、ことは……』
『せやから、いなくなった誰かのために涙も流せる。……ウチは、血も涙もない非情なナツキくんより、そっちの方が末永いお付き合いがしたい思うわ』
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「そうね、私もそう思う。殺さないといけない人はいるもの。……大勢の人を苦しめても、なんとも思えないような人が。でも、衝動的に殺すなんてダメだわ。スバルも、心の底ではきっとそう思ってるわよ」
エミリアが笑い、瞳を伏せる。
「──スバル様は、人一倍情が深いですもの。レムへの気持ちが先行しやすいんですわ」
「そこはスバルのいいところだけど、落ち着く時は落ち着かないと。ねっ」
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『あれ……』
『スバル! ああもう、やっぱり無茶しすぎたのよ! あんな気持ち悪いのずっと抱えてて、こうなって当然かしら!』
『──ぁ、俺』
『スバル、平気、大丈夫だから。今は、少しだけでいいから休んで? また、起きたらちゃんとお話ししましょう。私も、話したいことたくさんあるから』
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「──昴!」
昴が意識を落とし、エミリアがそれを受け止める。
瞬間、スクリーンが暗転し、パトラッシュに起こされる瞬間まで飛ぶ。
「──そりゃ、疲れるよなぁ。あんなに、ずっと……」
昴の気持ちを思えば、なんとも複雑な気持ちになる。
◇◇◇
「──きちんと眠った方がいい、スバル。疲れて当然だからね。あんなにずっと動いていては……」
ラインハルトが、心配そうな顔で、そう呟く。
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『──レムは、起きてないか』
『生憎と、ね。憎たらしい無礼者の首はねじ切っておいたわ。それで、エミリア様のことは戻ってきたみたいだけど……』
『ユリウスのことも、レムのことも戻ってきてない。……何かが足りないのか』
『自分の無力の腹いせに、シャウラを使うのはやめなさい。シャウラのことは聞いたわ。うるさくて品がなくて、バルスを慕うなんて目が完全に腐り切ってしまっていたけれど……消えなくちゃならないほどではなかった。惜しむなら、怒りではなく、泣きなさい。バルスの八つ当たりの理由にされるより、寂しいと泣かれた方がシャウラは喜ぶわ。――ラムもそうだから』
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「──ラムちゃん……」
怒りで急いで結論を出す昴の頬を叩き、ラムは厳しくも優しく諭す。
ラムの論は正しく、菜穂子も瞬きひとつの後に薄く笑う。
「──そうねぇ。寂しいって言ってあげた方が、素敵よね」
◇◇◇
「────」
ロズワールが、ラムの言葉に苦く笑う。
ロズワールは、寂しいと泣くことはないだろうが、スバルはそれを全身でしそうなタイプだ。
「──感情が豊かだからねーぇ。彼は」
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『大体、もしも一層にフリューゲルがいたら、バルスが何かする前に、ラムやエミリア様が半殺しにしてたわ』
『くだらないことに思い悩む暇があるなら、体も頭も休めた方がずっと利口よ。――この塔で最適解を選べなかったのは、バルスだけじゃないわ』
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「物騒ねえ、ラムお姉さん。フリューゲルさんがどんな人か知らないけどお、魔獣に噛ませるくらいで我慢してあげましょうよお」
「──それは、温情、なのか……?」
メィリィの言葉に、ユリウスが首を捻る。
「温情よお。塔での大変なことは、ほとんどフリューゲルさんのせいだものお」
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『ラム? どうした?』
『……何か、妙な空気を感じるのよ。これは』
『……女の子?』
『──ルイ・アルネブ』
『パトラッシュ! ラムを――!』
『バルス、この馬鹿……!』
『──バルス! しっかりなさい! レムが泣くわよ!!』
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「スバル──!」
ベアトリスが、小さな手を懸命に伸ばす。
『魔女』の影に飲まれていくスバルに、一生懸命に。
「スバル……スバル!」
◇◇◇
「──嘘、魔女……?」
フェリスが顔を顰め、隣のクルシュの肩を握る手のひらに力を込める。
「──クルシュ様」
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『――愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる』
『悪いが、それには答えられねぇよ。……今は、その言葉は俺に地雷なんだ。そう言ってくれた相手の手を、掴み損ねたばっかなんでな』
『――愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる』
『……聞く耳持たないのはお互い様か。なら、とっとと飲み干してくれ。戻ったら、最悪の状況が待ってるかもしれない。頭をすっきり切り替えたルイが、今度こそ『死に戻り』を奪おうとするかもだ』
『――愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる』
『けど、負けねぇよ。俺は、負けない。何度でも、戦う。何度でも何度だって、戦う。今度こそ、約束を守る』
『――愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる』
『──明日の明日のために、何度だって戦ってやるよ』
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「バルス! しっかりしなさ──」
そう、ラムが怒鳴った瞬間、
「──っ!? 何!」
空間が、強く揺れた。
ラムの細い体が浮き、エミリアとベアトリスの悲鳴が高く響く。
見知った感覚に、ラムは戦慄し──
「エミリア様! ロズワール様! ガーフ! 近くの者と手をつないで! また、変なことが起きるかもしれな──」
叫び、暗転した空間の中でバランスをとる。
ラムの天性の体幹と鬼族の身体能力で、転ぶことのないまま立ち続け、そして──
「──レム?」
姉は、妹の名を呼んだ。
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『う……』
『あーぅ?』
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スクリーンが光り、ラムは、後ろを振り返る。
そして、
「──レム、なの?」
後方、誰もいなかったはずのところに、人影が見える。
それが動き、
「──ぅ、」
小さく呻いた。
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『──レム』
『──あなたは、だれ、ですか?』
『──俺の名前はナツキ・スバル。今はまだ、思い出せないかもしれねぇ。でも、俺は……』
『あなた、は……』
『俺は、お前の英雄だ。――レム、会いたかった』
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「なんと! 不思議な空間に来てしまいましたね! 閣下! 閣下ー!」
「喧しい! 耳元で騒ぐな!」
「──姉様!」
青き雷光と、皇帝と、青鬼が、立ち上がって叫ぶ。
「──セシルス、さん? と、アベル?」
エミリアが、朧気な記憶から呼び戻す。
「──レム!」
ラムが、レムに駆け寄る。
「姉様!」
「レム、記憶が……?」
「──はい。あの人のことも、──スバルくんのことも、覚えています」
「おや? あなたはバッスーの……雰囲気が変わりましたか? 僕はお淑やかな、やまとなでしこ的な女の子がタイプなんですが、今のあなたはそれに近……いえ、これを言うとバッスーに怒られますね! まあ、僕はいつもバッスーを怒らせてる気もしますが! ……いや、閣下の方が怒ってますね! バッスーは怒るというよりそういうノリでやって」
「セシルスさん、少しお静かにお願いできますか? 今、姉様との再会を噛み締めていますので」
「その言い方、バッスーにそっくりですね! 愉快!」
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レムが、舌を鳴らす。
そして、それを──
「──これ、僕、口出しても平気そうやろか?」
礼賛者が、苦笑いで眺めていた。