「合法化」によって性産業がメジャー化…「ヨーロッパの売春宿」と呼ばれるドイツが抱える“闇”
世界の国々で行われている性売買の規制について考える風俗ジャーナリスト・生駒明氏の連載『世界の性売買と国家』。「合法化モデル」について取り上げる第2回、後編ではドイツの事例について紹介する。「ヨーロッパの売春宿」とも呼ばれるその実態とは。 【写真】合法化は違法店も増加させる…昔の西川口で起きた“現象” 性売買が可視化されている 性売買を合法化している国の中で、オランダよりも国家の介入度が高いのがドイツである。法律や条例によって細かな規制を敷くことから、「規制主義モデル」とも呼ばれる。 性売買を「必要悪」と捉え、「どうせ無くならないのなら管理したほうがいい」という発想に基づいて、国家による管理・規制の下に置く。各自治体が売春の可能な区域を定め(ゾーニング)、違法営業には罰則を科すことで売春の管理を徹底している。ほとんどの都市では営業地域と時間が規制されている。 セックスワーカーは登録上の労働者とみなされる。収入には課税され、健康診断の受診などの義務が発生する。定期的に性病検査を受け、健康診断証明書を持ち歩かなければならない。 利点としては、セックスワーカーを公的な管理下に置くことで、彼女たちが社会保障や法的保護の枠内に入り、健康や安全を守れるなどがある。 ’17年には、セックスワーカーの権利をさらに保護する『売春者保護法』が施行された。性売買業者に対しては「官庁への経営計画書の提出」「妊婦との性行為を宣伝する広告の禁止」などを、セックスワーカーと買春客に対しては「コンドームの使用」が求められるようになった。 ドイツの性産業は比較的”見えやすい”存在だ。売春サービスの広告も合法であり、ウェブサイトやメディアでの宣伝、広告が認められている。街には性売買の広告があふれ、ケルンでは駅を出ると大手性風俗店の広告を貼りつけたタクシーが目に飛び込んでくるという。ベルリンでは性風俗店の広告がデカデカと提示されたバスやトラックのほか、大手性風俗店が巨大広告を貼りつけた道路橋もあった。 またドイツには、ポルノや性売買を宣伝するテレビ番組が多い。性売買を肯定的に捉える番組であり、セックスワーカーたちが「自分たちのしていることがどれほど好きか、刺激的か」を語っている。性風俗店のオーナーは、「クリーンな事業」でお金を稼ぐ「成功したビジネスマン」としてメディアに登場し、俳優、歌手、スポーツ選手でも恥じることなく性風俗店を訪れるという。