第67話

夜食🐰
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2025/12/07 16:42 更新
??「……最悪、これゆで卵だし」

時計の針がもう数回転で日を跨ごうとしている頃。
キッチンのほうで、なにやらそんな呟きが聞こえた。
お腹を空かせた弟がいるのだろうか。
自分はこんなにも眠たいというのに元気な奴だと呆れていれば、なにかが焦げるような嫌なにおいがして、気付けば部屋を出ていた。
こんなことをする人物には、思い当たる節がある。

??「わ、まずい!火加減間違えた!どうしよう……」

慌てふためくその焦った声を聞きながら、僕は背後から冷静に火を止める。
案の定、しゅんと項垂れた顔のペンギンがいる。
🐰「……なにしてんの」
🐧「リノヒョン、違う、これは……」

俎板の上では、ネギやきのこが、不格好だが丁寧に切られている。
コンロの上の鍋を覗くと、微塵切りの玉ねぎが入っている。
水が少なかったのか、濃い飴玉色になってしまっていた。


🐰「危な、少し焦がしすぎじゃん。僕が火を止めてなかったら火事になるところだったよ」
🐧「それは……ありがとう」
🐰「……夜ごはん食べなかったの?」
🐧「食べようとしたけど、いろいろタイミングが合わなくて。食べられなかったというか……」
🐰「責めてるわけじゃないんだから、食べてないなら素直にそう言っていいんだよ。ハナが心配してたの知ってるんだし」
そういえば、こいつは月に何度か食事を取らないことがある。
そんなときは、よくチャニヒョンがチャンビナやハナに声を掛けるし、スンミナもちらちらと様子を窺っている。
だから僕は無理に食べさせるのは自分の役目ではないとわかっていたし、敢えて口を挟んでこなかった。
しかし、よくよく思い起こせば、こういう日のあなたの下の名前は、決まってどこか寂しそうな、不安そうな眼をしている。
🐧「食べてない……けど、明日はかなり動くし、流石にと思って」
🐰「仕方ないな、今日だけ特別に僕が作ってあげる」
🐧「いいの!?」
🐰「このまま放っておくと、あなたの下の名前大失敗しそうだし」

ちらりと包丁やガラス製の食器に目を向けると、あなたの下の名前は不満そうに頬を膨らました。

🐧「失礼な!僕の料理の腕は上達したんだから」
🐰「じゃあ一人で作る?」
🐧「いや……ヒョンが作ったものを食べたい」
🐰「はいはい」
今度は正直な奴だと笑いながら、あなたの下の名前の準備した食材を火にかける。
そうして、野菜とわかめのスープと、卵を使ったお粥を作り上げ、お皿によそってあげた。

🐧「いただきます。ヒョンも食べる?」
🐰「いいよ、お前が食べな。僕は眠たいし」
🐧「クレ?僕のためにわざわざありがとう。……わ、美味しい!おっと、熱っ!」
🐰「ゆっくり食べなよ」
この子は見た目も所作も上品で綺麗だ。
きっと育ちがよいのだろう。
それは経済的な裕福さだけではなくて、周囲からの愛を受け取りつつも、幼い頃からたくさんの困難を乗り越えてきた結果なのだと思う。

🐧「ごちそうさまでした。ああ、ほんとに美味しかった。ありがとう、ほんとに」
🐰「よかったよ」
🐧「そうだ、リノヒョン。このことチャニヒョンには内緒にしてよ。ね?」

そう言って再びキッチンへ行き、使ったお皿や鍋を丁寧に洗い始める彼に、思わず苦笑する。
多分、それは無駄な抵抗だと思ったけれど、言わないことにした。

🐰「確信犯あなたの下の名前」
🐧「いいんだよ、それでも。自分で使ったから洗わないと」
🐰「それを証拠隠滅って言うんじゃないの?」
🐧「まあね。でも、ヒョンの料理を食べられたから十分満足だよ。共犯にはしないから」
こういうところはまだまだ可愛い。
なんとなく、たまにはこういう夜があってもいいと思いながら、洗い物を手伝って部屋に戻った。

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