溢れる記憶に目を向けて
個人的には消える時、昴は体が光の欠片に変わるように消え、その光の欠片がスバルの体に入っていくような演出を期待しています。
スバルくんのキャラソン、お願いしますね^^
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『記憶をなくした時点で、死者扱いにされてるか……『タイゲタ』の『死者の書』は、あの記憶の回廊は、俺が死んだ世界のことも観測してる……?』
『そもそも、これが『菜月・昴』の『死者の書』だとして……どこから始まって、どこで終わるんだ?』
『──結局、どうしたいんだよ、弱虫野郎』
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スバルのセリフとともに、スクリーンが暗転する。
そうして、一度目が、映し出されていく。
「──ぁ、」
エミリアの口からか細い声が漏れ、紫紺の瞳が揺れる。
「──スバル、待って……」
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『こ、こは……』
『な、い……ない、ない、傷が、ない。腹、斬られて、ない……っ』
『──腹を斬られて、死んだ、記憶』
『――これは、『菜月・昴』の『死者の書』だ』
『――二冊目』
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その言葉を皮切りに、永遠に死の記憶が流れていく。
──フェルトとクロムウェルの死体の傍で、腹と眼を斬られて死ぬ。
──短刀で刺され、腹の中身が傷ついて死ぬ。
──呪いにより、衰弱死する。
──レムにモーニングスターで撲殺される。
──ラムに喉を削がれ、死ぬ。
──エミリアと仲違いし、混乱と絶望の中で、死ぬ。
「──す、ばる……」
一度見たものだ。スバルがどんな末路を辿るのか、それはもう分かっている。でも、それでも──
「──違うのよ、スバル。そんな風に、自分に落胆したりしないで欲しいかしら。ただ、巡り合わせが、悪かった、だけで……」
届かない。ベアトリスの声も、誰の声も。
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『──これで、八冊』
『──九冊、目』
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読む、沈む。
そうして、記憶が追いつく。
「────」
言葉にならなかった。悲しみと、無力感と絶望の末に、彼の慟哭を聞くことしか許されない自分に、衝動的な感情が湧くのがわかった。
「──何故」
いつもよりも低い声が喉を揺らす。
「────何故」
ぐるぐると、思考が巡って気持ちが悪い。
「──何故、何故……」
ぎり、と唇を噛み、椅子を殴った。
この痛みでさえも、彼を理解するには足りなすぎる。
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『父さん……お母さん……っ』
『違う……違う、違う違う! そうじゃない! こういうことじゃ、ない!』
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「──昴」
口元を押さえて、息を吐く。
「────」
気が、おかしくなりそうだった。だが、強靭な理性がそれを許さない。
「──許す許さないじゃ、ないんだ」
何をしても、どこにいても、昴に傷ついて欲しくないという心は、変わらないのだ。
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『教えてくれ、『ナツキ・スバル』! ――お前がどうして特別なのか! お前だけがどうして、特別でいられるのか! 『何か』が、あるんだろう!? 『何か』が、お前を変えたはずなんだ! 『何か』が、お前をお前じゃない、どうしようもない奴じゃなくしたはずなんだ! 弱くて、情けなくて、ちっぽけでクソの役にも立たない俺を変えてくれ! もう、うんざりなんだよ! みんなが、苦しむところを見るのは、もう嫌なんだよ! 『何か』……『何か』! あるんだろう!? 『何か』がないと、おかしい……『何か』が、あって……だから、お前は……俺と、違う……でなきゃ……お前が、俺と同じで、弱くてちっぽけで、何の力もない奴だって……頼むよ、『ナツキ・スバル』。お願いだ。頼むから、やめてくれ……』
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「スバルは、スバルなだけなの。私にとっては特別な人だけど……」
エミリアがそう悲しそうにつぶやく。
「──思い出してくれるんだよね、スバル」
そう、信じている。
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『わかるだろ、『ナツキ・スバル』……』
『――ああ、わかるよ。わかるよ、ナツキ・スバル。だって、お前は俺なんだから、な』
『――『ナツキ・スバル』』
『……なんか、微妙に変なニュアンス入ってないか? あと、自分のことをフルネームで呼ぶのも……けど、他になんて呼ぶのが正解なのかわからねぇな。漫画とかだとわりとあるシチュエーションだけど、実際、結構悩むわ』
『『ナツキ・スバル』……!』
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「──昴」
菜穂子が瞳を見開き、スクリーンを食い入るように見る。
「──ふたり、いる」
『暴食』の仕業かと思ったが、感覚が理解する。立っている方の昴は、絶対に昴だ。
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『なんで、お前がここに……そもそも、ここはどこなんだ!? なんで、俺はこんなところにいるんだよ!!』
『──それは、お前が俺に追いついた証拠だよ。お前が『死者の書』を読んで、俺に追いついた。お前が知らなかったこと全部、追体験って形で見てきたはずだ。俺の、異世界生活をな』
『俺が、お前に追いついた?』
『そうだ。もう、俺のことでお前が知らないことなんて一個もない。だから……』
『──ふ、ざけるなぁッ!! 俺が、お前に追いついただと? 冗談じゃない! 嘘をつくな! まだだ! まだ、一番大事なことが、もっと重要なことが、何にもわかっちゃいない!』
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「──もっと、大事な……こと?」
エミリアが怪訝そうな顔をして、薄紅色の唇に手を添える。
「大事なことは、スバルがスバルだってことだけど……スバル、まだそれが分かってないみたい」
号哭する、スバルを見て、エミリアは悲しそうな顔をする。
「──嘘なんかじゃないわ、スバル。全部……」
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『教えろ! お前がここにいるならちょうどいい! 教えろよ! お前が、お前になった理由がどこかにあるはずだ! 俺はそれを見てない。見つけられてない。それを……』
『俺が、俺になる理由?』
『そうだ! お前が、お前になった切っ掛けがあったはずだ。お前が、お前が……』
『──それは、お前も見てきたはずだろ?』
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「──バルスはバルスよ。そもそも、タイミングがいいだけで、ロズワール様のようにお強いわけでもないのだから、そこまで気張っても無駄よ」
ラムが桃色の髪の奥から形の整った瞳をのぞかせ、吐息混じりの声でそう言い切る。
「──言っても、仕方のないことでしょうけどね」
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『お前、ルイか? 『暴食』の大罪司教! またお前なんだろ!? それが真相だろ、『暴食』! ルイ・アルネブ! 姿かたちを変えられるお前なら、俺をこうやって混乱させるくらいわけない! そうやって、俺を食い荒らして今度こそ乗っ取るつもりか? いっぺん振られたのにしつこい奴が……そんなに『死に戻り』したいのかよ!? いい加減、わかれよ! これがそんなにすごい力か? 死んで、やり直せるだけだ。死んでやり直して……それ以上でも以下でもない。使う俺がクソなら、結果だってクソだ! だから……だから、誰も救えなかった。……みんな死なせる。俺が弱いせいで、みんな、悲しませるんだ。今も、誰も救えないみたいに……!』
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「──誰がやっても、変わらねぇよ。未来なんて、誰にも分からねぇんだからなぁ」
スバルの行いが悲劇を呼んでいるわけではない。
いつだって、巡り合わせが悪いのと、世界の悪意が強すぎただけだ。
「──でも、気にするよなぁ、昴は……そういうとこ、不器用だからな」
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『──みんなが、好きなんだよ』
『──みんなが好きなんだ。だから、やめられない。お前の置かれた立場のしんどさは、正直、想像するだけで嫌になるよ。何もかもまっさらな、初期レベルの状態に戻ったってのにステージ6からスタートだ。お前が吐いた泣き言も、全部わかる。それは、俺も何度も味わった傷だから。俺が強ければ、俺が賢ければ、俺がもっと、もっと……悔しいよな』
『わかったような、ことを……! お前に、俺の何が』
『わかるよ。お前も、俺がわかるってことがわかるはずだ。不毛な言い合いだよ、実際。俺にとっても、お前にとっても』
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「────」
なんて、言えばいいんだろう。
なんて言っても、スバルを傷つけてしまうだけな気がして、上手く言葉にならない。
「──ううん、違う。スバルの気持ち、分かりきれてないから……言葉にしてあげられないって、そう、感じるのね」
エミリアには、こんな経験はない。
だから、わからない。どこまで行っても、傍観者でしかない。
「──そんなの、嫌」
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『お前の記憶なんか、見るんじゃなかった……』
『勝手に人の日記見といて、そりゃねぇだろ』
『お前の記憶なんか、見るんじゃなかった! 俺は、お前に希望を見てたかった。お前がすげぇ奴で、お前のすごさを支えてる『何か』がわかったら、俺も同じことができるんだって。なのに……』
『──お前を否定して、もっともらしいことを言ってやりたかった。だって、お前の気持ちはわかる。――お前は、俺なんだから』
『ああ、わかってるよ! わかってたよ! お前が……お前が何度も立つのは、何度死んでも諦めないのは、そうできないだけだってことを!!──お前が諦められないのは、お前がただ、みんなが好きなだけだ! クソ野郎! なんで超人じゃねぇんだよ!! なんで、馬鹿なガキのままなんだよ!!』
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「──大将……」
何度でも立つことは、誰にでもできることではない。
ガーフィールは、スバルのそういうところが好きだった。星の光のように、鮮烈ではないが足元を照らすくらいの光をくれる存在。
スバルがどれだけそれを否定しても、ガーフィールはスバルをそう捉える。
だから、
「──かッけェところを見せてくれよ、大将」
期待と信頼を込めて、ガーフィールはそう笑った。
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『そう自分を卑下するなよ。……って言っても難しいか。お前、俺だもんな』
『……『ナツキ・スバル』は弱くて、ちっぽけで、救いようのない大馬鹿だ』
『違いねぇ』
『でも──お前は、すごい奴だよ、『ナツキ・スバル』。弱くて、どうしようもなくて、何にもできなくて、それなのに足掻いて、あいつらのことが大好きなお前を、尊敬する。だから――俺が、お前の『死者の書』を読んだ意味は、そこにあったんだ』
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「──そう、そう、思えたんだねぇ」
菜穂子が、泣きそうな──否、少しだけ嬉しそうな顔で、そう零した。
「良かったね、昴。そう思えたなら、お母さんも良かったと思います」
──自分を必要以上に卑下なんてしないで。あなたはあなたが思うよりもずっと、優しくてすごい子なのだから。
「──そう、伝えてあげたいよ、昴」
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『俺とお前がここで顔を合わせたのは、俺とお前の唯一の接点がここだからだ』
『俺とお前の、接点……』
『塔内で、『記憶』のある俺と、『記憶』のないお前が交差するのは、この周回の『死者の書』だけだ。ここからあとでも、ここより前でも、俺とお前は出会えなかった』
『――。やっぱり、最初の質問に戻るぞ。なんで、お前はここにいるんだ?』
『あいつは記憶の回廊に居座ってるだけで、あそこの支配者ってわけじゃない。あそこの支配者は……たぶん、もっと性格悪い奴だろうと思う。この状況から考えると』
『性格悪い奴ってのはわかる。最有力なのは……』
『『──『賢者』フリューゲル』』
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「──いや、それはマジで……うん、そうだな」
フリューゲルとやらがどんな人間なのか、知らない。
だが、塔や試練の諸々、シャウラに対しての仕打ち、それらを考えてみれば、その評価は残当だ。
「──人格破綻者、か?」
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『──なぁ、記憶の統合って、どうなると思う?』
『まず、メィリィな。あいつ、ちょっと色々爆弾抱え込んでて大変だけど、話せばわかる奴だからちゃんと話してやってくれ。今、俺の中でメィリィ先輩が熱い』
『あぁ、分かった』
『それと、塔の中にでかいサソリがうろついてるんだけど、それの正体はシャウラな。だいぶ危ない感じに仕上がってるんだが……それ、あいつがやりたくてやってるわけじゃないんだ。あいつも、助けてやってくれ』
『あぁ、わかった』
『お、そう言えば言い忘れたけど、ルイと会ったときにレムに背中蹴っ飛ばされたよ。そのとき、俺はレムのこと覚えてなかったから、レムがどんな子なのか思い出したのは本を読んだあとだったけど……うん、さすが、俺のレムだった』
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「レムはラムの妹よ。バルスのものじゃない、間違えないで」
「論点はそこなのだろうか……」
「ラムはレムがすごーく大好きだものね」
「そういう話でもない気がしますがねーぇ」
「いいんですわよ。エミリア様はそういう方ですもの」
「? うん、そうよ!」
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『ラムが言ってたな。雪解けの季節になったら、見えなくなったものがちゃんと見えて、顔を出すはずだからって。……さすがだ』
『ああ、そうだな』
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「当たり前よ、ラムはいつでも素晴らしいことを言うもの。最も、それをどう捉えるかは聞く側によるけれどね」
最後にそれをつけ加えるあたり、やはり、ラムはラムだ。
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『ユリウスの奴については……まぁ、別に言わなくても大丈夫だろ。俺とかお前が何か言わなきゃいけないほど、頼りない奴じゃないんだから』
『ああ、同感』
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「──私に言葉はない、か。少し残念な気もするがね」
それが、スバルなりの信頼の形なのだと、ユリウスは信じている。
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『父さんと、お母さんに謝ってくれて、ありがとう』
『ああ、うん』
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「──うん」
菜穂子が瞳を閉じて、聞く。
「──昴」
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『オットーと、ガーフィールを助けてくれて、ありがとう』
『ああ』
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「本当に、何人救えば気が済むんですかねえ……国ごとだなんて、前代未聞ですよ」
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『ペトラもフレデリカも、アーラム村のみんなも、助けてくれて、ありがとう』
『ああ』
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「──助けられましたわ、スバル様。ですが、トラブルも多かったですわね」
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『ベアトリスを、連れ出してくれて、あの子と手を繋いでくれて、ありがとう。エミリアを……エミリアを、好きになってくれて、ありがとう。俺も、あの子が好きだ。大好きだ』
『……ああ、わかってる』
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「──! ベティーも、スバルとエミリアが好きなのよ!」
「──私も。直接聞きたくなっちゃった」
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『──ナツキ・スバル。お前はすごい奴だって、俺はちゃんとわかってるから、お前ならきっと大丈夫だから』
『ああ。うん。……そうだな。ああ。──俺たちなら、大丈夫だ』
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「──スバル、君なら大丈夫だよ。何でかなんて……答えられないけど」
理由のない信頼が、ラインハルトの胸を占める。
「──大丈夫だと、分かるんだ。何でかな」
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『大丈夫、か』
『そうだよな。大丈夫だよな』
『ちゃんと、お前がすごいって、わかってるから』
『……ああ、でも、うん。これは、言わなきゃだ』
『────』
『──俺の夏休み、終わっちゃった、な』
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「──ぁ、」
神秘的といえば神秘的、予想通りといえば予想通りな消え方をして、ナツキ・スバルと菜月昴はひとつに戻る。
そうして、
「──うん。すごい、すごく、すごいわ。それから……」
己の頬を伝うものを拭い、
「──昴、愛してる」
そう、口にしていた。
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『お前も、十分以上にやべぇ橋渡ってるじゃねぇか……!』
『どうだ。お前が見たがってたものは見られたかよ。――ルイ・アルネブ』
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「──ルイ・アルネブ」
そう、誰が口にしたのかも分からない音が、空間を揺らして──、
『────』
スピーカーは、ノイズの向こうで黙っていた。