《弁当200個無断キャンセル》被害に遭った女性店主になぜ批判の声?「対策をするべき」「刑事告訴すべき」無遠慮かつ得意げに振りかざされる被害者叩きの「正論」
「大量注文の対策としては前払い制にするとか、身元確認で免許証などの提示とかの対策をするべき」「同じ被害を出さないためにも、警察に威力業務妨害で刑事告訴すべき」「地元密着型のお店だからこそ(事前に集金に行くなどして)最初に汗をかくべき」 【写真】お弁当200個無断キャンセル…破棄された大量のお弁当。他、営業中に盗まれたシンボルのテーブルクロスなども
先日、新潟の小さなお弁当屋さんの女性店主が、X(旧・Twitter)に「大量注文(100個)の無断キャンセルがあった。電話をしても繋がらず、最後は着信拒否された」(要約)と、手の込んだおいしそうなお弁当の写真を添えて投稿をしました。じつに気の毒な話です。 ほかの投稿によると、じつは同じ日に別の人からの大量注文(100個)もあり、そちらも無断キャンセルされたとか。キャンセルだと確信したのは21時頃で、知り合いに配ったりしたものの、70個近くは廃棄することになったそうです。 この"事件"は地元のテレビやネットニュースなどでも大きく取り上げられました。ネットニュースのコメント欄にも、元になったご本人のXの投稿に対しても、いろんな人からさまざまな「ご意見」が寄せられています。 この件で店主が、金銭的にも精神的にも計り知れないダメージを負ったであろうことは想像に難くありません。多くの人が店主にねぎらいや励ましの言葉をかけ、無断キャンセルした人物に対する怒りを表明しました。いっぽうで、それらに負けず劣らず多かったのが、被害者である店主を批判したり責めたりする言葉です。 冒頭で紹介したのは、ほんの一例(まだソフトなほうです)。書いた人は、店主を心配しているつもりなのでしょう。しかし、知り合いでもなければ専門家でもない「やじ馬」が、打ちのめされている人に対して「あなたに落ち度があったから、そんな目に遭うのだ」「ちゃんと対応しないのは怠慢だ」とお説教を垂れる光景は、じつにトホホです。
得意気に「正論」を振りかざす人たちを見て感じる恥ずかしさ
今回の件だけでなく、誰かがひどい目に遭ったというニュースに対して、この手の「被害者批判」を見ないことはありません。性犯罪の被害者に対しても、必ず「あなたにも落ち度があった」という残酷な声が向けられます。昔から面と向かって言う人もいましたが、ネットやSNSによって「人はいかに被害者批判が好きか」が可視化されました。 なぜネット上では、被害者の落ち度を探して批判を投げつける人が湧いてくるのか。ひどい目に遭わせた側よりも、ひどい目に遭った側を責める声が目立つのか。自分もうっかり同じことをしてしまわないために、その原因を考えてみましょう。 無断キャンセルを防ぐための対策をしたほうがいいというのも、警察に相談したほうがいいというのも、たしかに「正論」です。ごもっともな「正論」というのは厄介な代物で、言われた側はそんなことは百も承知でも、そうできない何らかの理由や事情があっても、「はい、おっしゃるとおりです」とありがたがって拝聴しないわけにはいきません。 いっぽうで言う側は、「相手を助けるために親身になれる自分」や「有益な対処法を助言してあげられる賢い自分」に酔うことができます。どれも「当たり前のこと」ばかりだし、結局は被害者を責める図式になっているわけですが、「正しい論」を披露している自信があるので、そこに気づくことはありません。気づけるぐらいなら、被害者の気持ちを無視して、無遠慮に「正論」を振りかざすといった恥ずかしい真似はできないでしょう。 とくに、日頃から自分の話を誰にも聞いてもらえない人や、自分は周囲から軽んじられていると感じている人にとって、ひどい目に遭った被害者は「絶好のカモ」です。ネットやSNSという便利なツールを通じて、堂々と「正しいことを言える自分」を示すチャンスに飛びつかずにいられません。 なかには「炎上商法に違いない」と言っている人もいます。百歩譲って自分がそう思うのは勝手だとしても、何が嬉しくてわざわざSNSに書くのでしょうか。本人は「どうだ、俺の鋭さを見よ」とか何とか思っていそうですけど、何の根拠も覚悟のかけらもなく他人を叩く姿にはもの悲しさが漂うばかりです。
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