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責任の取り方/Novel by 春風

責任の取り方

7,694 character(s)15 mins

リゼロ関連書籍を大人買いしました!!
いせかる3期来月だね!!
やったぁああ!!

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『――スバル、目が覚めた?』
『……えみ、りあ?』
『ええ、そうよ。スバル、大丈夫? 起きれる? ちゃんと話せる?』

『だ、大丈夫、スバル? やっぱり、どこか調子が悪いんだわ。倒れてたんだもの』
『ひゃぅっ!』
『ほら、今、ひゃうって!』
『――さっきから、ベティーを蔑ろにして話をするんじゃないかしら。まったく、心配してたのはエミリアだけじゃないのよ』

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「こ、れは……うん、覚えてるわ! この会話は、した気がする!」
「本当!? エミリアちゃん、本当に?」
「はい! 私の記憶が間違ってなかったら……」

 エミリアが安堵したような声をあげれば、後ろから菜穂子が声をかける。エミリアが返事を返せば、菜穂子も安心したように肩の力を抜き、

「良かった……あ、でも、まだたくさんやることがあるわよね? 安心するのには早いかも……」

 そう、少しだけ眉を下げた。

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『もう! スバル、起きてすぐにふざけないの! まだ、なんで倒れてたのかわかってないんだから…… ──スバル?』
『……ぅ、く』
『スバル? スバル、どうしたかしら。ベティーはここにいるのよ。大丈夫、大丈夫かしら。泣かなくていいのよ』
『泣かないで、スバル。焦らなくていいから。ゆっくり、深呼吸して、落ち着いて。ちゃんとベアトリスも、私も、一緒にいるから』

『戻って、きたぜ……』

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「──ぁ、」

 そう、小さく声が漏れた。安堵なのか、驚きなのかは分からない。ただ、エミリアとベアトリスの優しい声が、今までの昴の頑張りを肯定してくれるようで──。

「うん、本当に、昴はよく……頑張りすぎなくらい、頑張ってる」

 菜穂子がそう零すのを聞いてエミリアは、

「──頑張りすぎないで、スバル」
「この部屋から出た時には、絶対にスバルに強制休暇を与えてやるかしら。エミリアとベティーとで、思いっきり甘やかしてやるのよ」
「うん、そうね。そうしましょう」

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『そんなわけで、実は『タイゲタ』の書庫で記憶を落っことしてきたらしいんだ。みんなには色々と、会話が噛み合わなかったりで迷惑をかけるかもしれないんだが、そこのところは了承してほしい』
『みんな、すごーくスバルのことが心配だと思うわ。でも、私たちがしゃんとしててあげないと、一番不安なのはスバルなんだから……』
『……エミリア様はそうおっしゃいますが、ラムには肝心のバルスが一番不安がっているようには見えません。というか、これは何の茶番なの、バルス』
『茶番じゃねぇよ。すげぇ正直に不安と事実を打ち明けてるよ。意固地になって話さないでいて、それで引き起こされる悲劇が目に浮かぶみたいで俺の胸は張り裂けそうだ』

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「──茶番だと言われた方がマシな事実にラムの可愛い顔が歪みそうだわ。事実は小説よりも奇なり、ね」

 スバルがガーフィールに話していたことわざをたどたどしく口に出してみたラムは、その口馴染みの悪さに顔を顰める。そして、

「あの悲劇を見たあとだと、この言い草にもうなずけてしまうのが煩わしいわね、本当に」

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『まさか、俺の記憶が消えてるのって、『死に戻り』の代償じゃねぇだろうな……』
『──ちょっと、聞いているの、バルス』
『ああ、聞いてるよ。驚かせたのはわかる。いきなりの話だし、簡単に信じてもらえないって気持ちはわかるんだが……』
『わかるけど?』
『俺に……』
『スバルに、こんな悪趣味な嘘をつく理由がないのよ。ラムも、スバルの考えにそのぐらいの信用は持っているはずかしら』
『ベアトリス様……』
『エミリアの言葉も、まんざら嘘じゃないのよ。記憶をなくして、一番不安がってるのはスバルかしら。だから、ぽろぽろ子どもみたいに泣いたりもしたのよ』

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 ──「違う」と、瘴気に包まれた魔女が言いたがっているような気がした。が、そんなことはどうでもいい。

 スピーカーから聞こえる言葉を聞いて、ロズワールは苦笑する。

「子どものように泣いたことを暴露するとは……ベアトリスは全く、容赦がないねーぇ」
「ちょっと、その言い方は納得がいかんかしら。ベティーはスバルの味方をしようと援護しただけなのよ」
「それは分かっているとも。その上で、だーぁよ」

 ロズワールが黄色い方の瞳を伏せてウインクすれば、ベアトリスが「納得いかないかしら!」とぷりぷり怒っている。全く愛らしい。

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『正直、記憶がなくなったみたいなデリケートな話を、ここでそんな嘘をつく理由がないって理屈で蹴飛ばすのは乱暴だけど、そこは呑み込んでほしい』
『呑み込めって……』
『その上で、建設的な話をしよう。幸い、今の俺は前向きだ。前進するための話なら大歓迎だし……言いたいことがあれば、それもちゃんと聞くぞ』
『お願い、信じてあげて』

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「まあ、建設的な話し合いができるならそれに超したことはありませんしねえ」
「そうですわね、ラムたちにとっては納得のいかないことも多かったと思いますけれど」

 フレデリカがアンニュイな表情をして笑う。エミリアが「覚えている」と言ってくれたおかげで、不安感がだいぶマシになった。先の見えない暗闇と足元だけでも見えている宵闇とでは、心労が本当に違うのだ。

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『――それにしてもお、お兄さんってばホントに困った人よねえ』
『──っ』
『なあに、その反応。まるで死んじゃった人に会ったみたいな顔して、すごおく失礼じゃなあい?』
『メィリィ……』
『あらあ? わたしの名前は覚えててくれてるのねえ。……っていうか、わたしはお兄さんがいつもとどこが違うのかわからないんだけど、何を忘れちゃったのお?』
『――。ああ、ちょっとややこしいよな。今のとこ会話に支障ないように見えるかもしれないけど、少し深掘りすると結構ぐずぐずだ。いわゆる、エピソード記憶の欠落ってヤツで、物の名前とかはわりと覚えてるんだが、人との思い出はかなり危うい』
『……それって、例えば昨日のこととかもなのお?』
『──そうだ』

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「このあとのことを考えると、もうわたし見るの嫌なんだけどお……」
「だめよ。今までだって、見たくないものはたくさんあったけど……それを見ることしか、今の私たちにはできないんだから」
「分かってるわあ。言ってみただけよお」

 嫌そうに手足を伸ばすメィリィに、エミリアが眉を吊り上げて応じる。その表情すらも美しく絵になるが、メィリィはため息を吐きながら前の座席の背もたれに顔を埋める。

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『――昨日のことを、か。それは、それは、そうだな』
『お師様、また記憶なくしたッスか? あーしのこと何回忘れたら気が済むんスか。あーし、まいっちんぐッスよ~』
『お前の与太を掘り下げるのもおかしな気分だけど、そんなにお前のお師様ってのは記憶がポンポン飛んでるもんなのか?』
『――? 結構、ポンポン飛んでたッスよ。朝起きて、あーしが挨拶したら『お前、誰だっけ? 覚えてねぇなぁ。知らねぇなぁ』ってよく昔の女扱いされたッス』
『うーん、そのレベルだと、悪ふざけなのかどっちなのか判断がつかねぇな……』

​───────​───────​──────

「正直、ナツキくんなら遊び半分で言いそうな言葉ではあるけどねえ。『お師様』がナツキくんってのは正味信じとらんけど」
「それでいいと思うわ。スバルはシャウラを何年も置いてけぼりにしたりしないもの。そんな酷いこと、スバルなら絶対にしない」
「──そうやね、ウチも、ナツキくんはそんな子やないって信じたいわ」
「うん、信じてあげて。お願いね」

​───────​───────​──────

『記憶喪失の一件はわかった。正直、まだ受け入れるには時間のかかる内容と言わざるを得ないが……この塔に、そうした現象を起こす可能性、罠のようなものがあると、そう考えて行動した方がよさそうだね』
『事件現場として一番可能性が高いのは、倒れてる俺をエミリアちゃんたちが見つけてくれた『タイゲタ』の書庫だ。元々、曰くつきみたいな場所だしな』
『ちゃん……』
『──?』

『――みんな、とにかく驚かせてごめん。いきなり受け止めて、それでそのまま話を続けようって言っても無理だと思う。いったん、休憩入れようぜ。俺はその間、ラムと水汲みでもしてくるから。いこうぜ、ラム。――ちょうど、俺を水場に誘いたそうな顔してただろ』
『──いやらしい』

​───────​───────​──────

「ちゃん、ですか……」

 オットーが少し瞳を伏せる。ガーフィールも違和感に顔を顰めていた。

「がお……違和感が、こうッ……むずッがゆいぜ……!」
「分かりますわ、ガーフ。スバル様はもっとこう……」

 一言で言えば、解釈違い。それを皆が一様に感じていた。

「わたし、エミリアたんって呼ばれるの嫌いじゃないから、ちょっと……寂しい、かも」

 エミリアがそうしょんぼりとした顔で零したのが、空間の総意であった。

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『それで、さっきの茶番はどういうつもりだったの? こうしてラムを連れ出した以上、それを話すつもりがあるということでしょう? エミリア様とベアトリス様に、あまり大役を任せるのはやめなさい。ベアトリス様はともかく、エミリア様にはまだ荷が重いわ。だから、ここでラムを巻き込もうと考えたことは評価してあげる。詳しい話を……』
『――ラム、俺の記憶がないのは本当だ。嘘でも、ペテンでも、作戦でもない。記憶がなくなった。塔の中の、みんなの名前と関係性ぐらいは把握してるけど、それ以外のことはあちこちがおぼつかない。これも本当だ』
『やめなさい』
『エミリアとベアトリスには、先に話しただけで、同じことしか伝えてない。伝えられることがそれ以上ないんだ。今、俺の手の中は空っぽだ』
『やめなさい、バルス。それ以上……』
『この塔に、奪われたたくさんのものを取り戻しにきたってことは知ってる。『試験』の真っ最中ってことも。でも、それだけだ。俺の、動機は……』
『バルス、それ以上は』
『──レムのことも、俺は』
『バルス――!!』

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「たったひとりしか覚えていない。つまりそれは、そのひとりが忘れてしまえば、どうにもならなくなるということだ。その恐ろしさは、身に染みる」

 ユリウスが小さく零す。ユリウスの場合は、弟であるヨシュアも眠り、自分を象るものがどんどん世界から色を失っていくのだ。ラムとはまたベクトルの違う苦しみを抱いていたものだろう。

「──スバルひとりに背負わせるには、あまりに重い荷物だ。申し訳ないと思っているとも」

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『何のつもりなの? こんな……こんな、くだらない嘘を!』
『嘘じゃ、ねぇよ……お前には、俺が、そんな嘘を……』
『ついていないとでも? じゃあ、どうしろっていうの? ラムに、信じろとでも? バルスがレムを、忘れた……そんな、そんな馬鹿な話!』
『ラム……』

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「──馬鹿な話、か……」

 フェリスが瞳を伏せ、隣に座るクルシュに目を向ける。もし、もし、あそこに立っている人間がラムでなく、フェリスだったなら。眠ったのがレムではなく、クルシュだったなら。そんな、考えても意味の無い『たられば』が、今のフェリスには酷く辛い。

「──そうだネ。ほんと、ばかみたい」

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『──レムは、必ず取り戻すよ』
『どの口で……取り戻すも何も、忘れたんでしょう、バルスは、レムを!』
『それでも、取り戻す。レムのことも、記憶のことも、この塔にきた目的も、全部、一切合切やり遂げて、全員で帰る。――そのぐらいの報酬、あって当然だ』
『──バルス?』
『あって、当然なんだ……この塔で、起きたことを思えば』
『──いやらしい。離しなさい』
『ラム。俺は記憶も、レムも、取り戻してみせる。そのために、力を貸してくれ。全員の力がいるんだ。お前たちの知ってる、昨日までの『ナツキ・スバル』なら、こんな情けないこと言い出さなかったかもしれねぇ。けど、今の俺には』

​───────​───────​──────

「──ナツキさんは、元からそんなにかっこよくないです。情けないし、弱いし、変わらないですよ」
「言いたいことはわかりますけれど、本当に言葉をお選びになりませんわね……」

 オットーが苛立ったように口に出したのをわかっているから、フレデリカは少し呆れたように声を出した。全く、仕方の無い人たちだ。

「スバル殿──あなたは何も変わってなどいない。変わるのは、視点と考え方だけですとも」

 ヴィルヘルムがそう小さく呟く。ヴィルヘルムにとって、スバルの根本は変わったように見えていない。余裕がなくなったり、人を信じれなくなったとしても、得のない人助けをしてしまうその根本だけは、全く変わっていない。

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『レムを忘れた俺を、お前が信じられないし、許せないのもわかる。だけど、その怒りは今は後回しにしてくれ。その代わり、約束する』
『約束……?』
『必ず、やり遂げる。何度でも、食らいつく。もし、この約束を破ったら、お前の前で俺が諦めたら、そのときは煮るなり焼くなり好きにしろ。それが、俺の覚悟だ』
『……どうしてそこまでするの。バルスが本当にレムのことを忘れたなら、そうまで取り戻したいなんて思えないはずよ。忘れたら、空なのよ。ぽっかりと、そこには空白があって、そこにあったものへの想いは失われてしまう。消えてしまう。愛も憎しみも、温もりも寂しさも、全部』
『実際、そうだな。記憶は空で、昨日までの俺がレムをどう思ってたのか、それは指の隙間からこぼれ落ちていったあとだけど……』
『なら、どうして?』
『でも、お前がレムを大切にしてて、取り戻したいって必死に願ってるのは知ってる。今、俺がレムを取り戻したいのは、『ナツキ・スバル』と、お前のためだ。だから、俺が諦めたとき、どうするかはお前に任せる。それが、自分の都合で頭の中身を落っことしてきて、お前を泣かせた俺の罪滅ぼしだ』

​───────​───────​──────

「──及第点ね。バルスにしては、言葉選びが上手いからラムが乗っかってあげただけよ。ここまで言われて手を振り払えば、ラムが意地悪な女だと思われてしまうでしょう。そうなっては叶わないわ」

 ラムが満足気に笑う。そこには、怒りも軽蔑もなく──、

「ラムは優しいもの」

 整った顔立ちが鮮明に、美しい感情を映し出していた。

「──スバルは記憶をなくしても、変わらないね」

 ラインハルトが眉を下げて笑う。根本にある共感能力と善性が変わらない。それが、ラインハルトには嬉しかった。

​───────​───────​──────

『バルス。――本当に、レムを忘れたのね?』
『……ああ』
『バルス。――本当に、レムを思い出すのね?』
『ああ、思い出す。レムだけじゃなく、他の全部も』
『他の全部が抜けてても最悪気にしないわ。レムのことだけは思い出しなさい』
『無茶言うなよ。全部取り戻させてくれよ……』
『繰り返すわ。レムのことだけは、死んでも思い出しなさい』
『ああ、それは誓える。――死んでも、全部、思い出すよ』
『……いいわ。この場は、見逃してあげる』

​───────​───────​──────

「良かった、やっぱりラムは優しい子ね……!」
「エミリア様、勘違いしないでください。ラムはあくまでレムを取り戻すと豪語したバルスの気概に免じて見逃しただけです」
「やっぱりいい子ね!」
「エミリア、もう少し双子の姉の話を聞いてやるのよ」
「えっ、聞いてるわよ?」
「────」

 ラムが瞳を細め、ぽやぽやした顔で笑っているエミリアを見据える。

「──早く、外に出てレムに会わないと」

​───────​───────​──────

『立ちなさい、バルス。諦めることも、膝を折ることも、ラムは許さない』

『……エミリア様とベアトリス様にも、同じことを言ったの?』
『あの二人は……俺が諦めるなんて、まるで考えてない風だったからな』
『それもそうね。――悪いバルスがうつったんだわ』
『だから、あの二人には頼めない。ユリウスとエキドナにも、心情的にな』

​───────​───────​──────

「悪いスバル……?」
「ベティーにとってそれは褒め言葉なのよ。双子の姉」
「そうでしょうか。ラムにとっては最大限の悪口ですよ」
「そこは捉え方の違いかしら。ベティーにとっては褒め言葉だから良いのよ」

 ベアトリスが満足気に笑うから、ラムは珍しく驚いたように瞳を開いたあと、すぐにそれを奥に隠す。

「わ、私も、褒め言葉だと思う!」
「じゃあエミリアとベティーはお揃いかしら。良かったのよ」

​───────​───────​──────

『俺は……『ナツキ・スバル』は、確かにここにいたんだよな?』
『──馬鹿ね。今はほんのひと時、見えなくなっているだけよ。多くのものが積み重なって、その奥底に隠れているからなくしたように感じるだけ。それは冷たい雪に埋もれた花のように、雪解けの季節が訪れれば姿を見せる。――きっと、ただそれだけの話なのよ』

​───────​───────​──────

「ラムちゃん……! やっぱりすごく優しいわね」
「いえ、ラムは……」
「良かった、本当に……」
「──エミリア様が二人に増えた……」

 菜穂子が朗らかにラムに話しかけ、ラムは反応に困る。不可抗力とはいえラムはスバルを殺めた周回がある。菜穂子の方はそれを引きずっている素振りすら見せず、逆にラムの方が反応に苦労する。

「──さすが、家族ね」

 笑った顔が、そっくりだった。

Comments

  • mixday

    両親と異世界組が会話しているの最高だな。二次創作の醍醐味だわ

    Apr 6th
  • 今からツギハグが楽しみになっちゃうな!

    October 5, 2025
  • kawe

    雪解けフェイズ、最高すぎる…

    October 5, 2025
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