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悪い癖/Novel by 春風

悪い癖

2,075 character(s)4 mins

息子が記憶喪失になって殺人鬼に仕立てあげられた挙句、自傷行為が癖になっていることが発覚した菜月夫妻の気持ちを五文字以内で述べよ。
正解は 絶望 でした。
ということで、次回からが個人的な全編込みで一番の鬱回である『出来損ないのアナタへ』ですね。
スバルくん可哀想。
ここら辺はアニメで見たい気持ちと、スバルくんが叩かれるのが嫌で見たくない気持ちで揺れてる。

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『……スバル、やっぱり調子が悪そうなのよ。ここにいるのが落ち着かないなら、場所を変えて休んだ方がいいかしら』

『顔色が悪いかしら。やっぱり、場所を変えるのよ。その前に……』
『──あ』
『元の位置に戻しておくだけかしら。今はベティーまで朦朧とするわけにいかんのよ。位置的には、わかりやすくて覚えやすいかしら。ただ、この書庫の本は勝手に移動する可能性があるから……』
『安全策とは言えない、か。……それは、うん、そうだな』
『持ち出しも、かなり危ないって考えるべきなのよ。床に投げ出しておくのも、シャウラが気にしてたからやめておくのが無難かしら』
『一期一会の図書館、って感じだな』

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「死者の書……スバル……」

エミリアが不安げな顔で眉を顰める。
この空間ではスバルの考えがスピーカーを通じて筒抜けになるから、スバルがベアトリスの殺し方を考えていることも、エミリアたちには分かっている。

「こんな状況、不安にならないわけないもの。ちょっと間違えた考えになってるだけだって、分かってる」

それでも、スバルに不信を宿した瞳で見られ、殺意を抱かれている自分を見れば、心にささやかなざわめきが起こるのは仕方のないことだ。

「今回で、終わりにして……」

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『信頼できるか、疑った方がいいのか、見極めたいから殺そうだなんてえ、お兄さんったらすごおく歪んでるわあ』

『スバル、ひとまず本はあれで良しとするのよ。ここは離れて……いったん、精霊の部屋にでもいくかしら。あそこなら落ち着けるはずなのよ』

『本当に?お兄さんが、ホントは『ナツキ・スバル』じゃないって知っても、あの子はおんなじことをしてくれるのかしらあ?結局、お兄さんの味方なんて、だあれもいないんじゃないのお?』

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スバルの思考が、静かにエミリアたちの殺し方を考える。
それを助長するのは、スバルの頭の中で悪意にまみれた笑い声を木霊させる少女の声に違いなかったが。

「スバル……」

パトラッシュを唯一の味方として考えるスバルの思考でさえも、その声は打ち砕く。
それにベアトリスは顔を顰め、しかし、言っても仕方の無いことだと唇を噤む。

「──ベティーは」

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『ほら、スバル、手を貸すかしら』
『あ、ああ……』
『引っ掻き傷があるのよ。それも、こんなに……』
『どうするのお?もお、始めちゃうのかしらあ?』
『――また、自分の腕を引っ掻いたみたいなのよ。悪い、癖かしら』
『……ぁ?』
『この位置は、良くないのよ。エミリアに見つかったら、なんて心配されるかわかったものじゃないかしら。ベティーも、あまり酷いようだと目こぼしできないのよ』

​───────​───────​─────

「癖……?」

エミリアが目を見開き、オットーが説明を求めるようにベアトリスに視線を向けるのがわかる。

「ベアトリス、どういうことなの?癖って……スバルは……スバルを操ってる何かが、メィリィを殺して、その時についた傷なんじゃないの?」

「──ベティーからは、何も言えないのよ。何を言っても、スバルを傷つけることになるかしら」

「そんな、ベアトリス──」

エミリアは何かを言おうとしたが食い下がり、眉を顰めて悔しそうに瞳を伏せる。

「──ナツキさん……」

オットーは頭を抑え、瞳を見開く。
ガーフィールはそれが自傷行為だとは気づいておらず、癖という言葉の意味を理解しようと咀嚼している。

「スバルきゅん……ほんとに、そんな癖……ああ、もう!」

フェリスが怒りを込めた声を吐き出す。
ラインハルトは帰り道を失った子供のような顔でスクリーンを見つめ、痛ましく顔を歪ませる。

「──スバル……気づけなかったとは……私は何を見ていたのだろうね」

ユリウスが苦々しく瞳を伏せ、その美しい顔に激烈な感情を強く滲ませるのがわかる。
ヴィルヘルムは全てを理解したように押し黙り、ただただ、彼の心の傷を慮る。

「スバル殿……どうか、ご自愛なされよ」

空間に衝撃と悲哀が波紋し、菜穂子と賢一は、瞳を痛々しく見開いたまま、心臓を引っ掻かれるような気分の悪さに、眉を顰める。

「──どうして……いや、違うわね。理由はわかるわ、でも……」

自傷行為をしなければ、昴の心は壊れるほどまでに追いやられている。
その事実が辛くて、吐きそうになる。

「──昴……」

全員が一様に衝撃に頭を悩ませる。
そんな中、スクリーンには、

​───────​───────​─────

『つまんないのお』
『さあ、いくかしら、スバル。みんなには、ベティーがあとで言っておくのよ』
『――わかった。面倒かけて悪い、ベアトリス』
『それは言わない約束かしら』

と、地獄への歩き道が、丁寧に舗装されていくのが、描かれていた。

Comments

  • レイラ
    Apr 3rd
  • kawe

    ここはびっくりだったな、順調に成長してたスバルに自傷癖があったとは しにもどりに匹敵するくらい鑑賞側にも衝撃あるだろうな…

    July 22, 2025
  • でんじねずみ

    ここら辺をアニメで見て、スバルをクズだとか叩いてる奴は確実に人の心無い

    July 21, 2025
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