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残骸は夢を見る/Novel by 春風

残骸は夢を見る

4,254 character(s)8 mins

まじ興奮するここ
ここが書きたくて両親追加したんだこちとらなぁ!!
この地の文をゆっけ氏に読ませるかどうかでリアニへの評価が決まる。
読ませてくれなかったら妄想で補完するけど。
両親の口数が多いことから、春風の興奮具合が窺えるかと思います。
ヴィルヘルムさんたちが全然喋ってないのは、「彼が何をしたと言うのだ……」「もうちょっと優しくしてあげよ……」「あまりにひどい……」みたいな感じで絶句してます。
クルシュさんはグロすぎて気絶した。(痛みに耐えながら鑑賞してるから精神耐久が原作より弱い)
メィリィは罪悪感から口が開けません。
ロズワールは「こ、ここまでしろとは言ってない……」みたいな感じですかね。
「覚悟決まってる、いいねスバルくん」▶︎「グロ……やば、こいつ……」になってるかも
ロズワールはスバルくんより人間らしい感性をお持ちですから。

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『――うああああああああああああああああッッッ!!』

『落ち着いた?』
『スバ……』
『うああああああああああ――ッ!!』

『ベアトリス!』

​───────​───────​─────

「──ぁ、」
スバルがこちらを見る瞳には、拭いきれない恐怖があった。
初めて、スバルがエミリアを信用できないと言いたげに見た。
それが、エミリアには悲しくて。
「パトラッシュちゃんのことも……ベアトリスのことも、信じてあげられない?」
ベアトリスを突き飛ばして走るスバルを見て、エミリアの心には、収まらない漣が荒立つ。
仕方ない。
こんなことをされて信用出来ないのは、仕方がないことだ。
そう、だけれど。
「いやだよ……スバル」
そんな目で、エミリアを見ないで欲しい。

​───────​───────​─────

『――オメエ、こンな朝っぱらから何しにきやがったンだ、オイ。一人かよ、オメエ。オメエ、稚魚が一人って、お話になンねえだろ。稚魚じゃ、一人じゃなく一匹か。一匹でもお話になンねえよ。昨日の子分と、いい女共連れて出直せよ、オメエ。オメエ、聞いてンのかよ、コラ。オメエ、オイ、オメエよ』
『オメエ、聞いてンのか?』
『ひ』
『──ッ!』
『おうコラ、無視ぶっこいてンじゃねえぞ、オメエ』
『は、ぁ、え?』

​───────​───────​─────

「だめ、だめかしら!スバル、そいつのところにいったら……!」
ベアトリスが表情を一変させ、拳を握りしめる。
がんがんと頭が痛み、心臓がバクバクと音を立てる。
「あぁっ……!!どうして……!どうしてベティーは……いつも!」
床に膝から崩れ落ち、やり場のない怒りを収めるように床を殴り付ける。
じんじんと痛む拳に治癒魔法がかかり、痛みが引いていくのを感じる。
「──痛みに逃げることさえ許してくれないというの……?」
歯をギリっと噛み、ベアトリスは泣きそうな顔でスクリーンを睨みつける。
「どうして……スバルばかりが……」

​───────​───────​─────

『あ、あ、あああ……』
『おいおい、オメエ、まさか泣いてンのかよ。なンだってピーピー泣き始めてンだ、オメエ。下で連れとケンカでもしたのかよ、オメエ。言い負かされて泣いてンのか、オメエ』
『ぐ、ひ、うう、うぅぅぅ!』
『ったく、仕方のねえ野郎だな、オイ。オラ、何があったか話してみろや。聞いてほしいンなら聞いてやる』
『……う、ぁ?』
『こンなとこまで逃げ込ンでくンだ。よっぽどのこったろーが、オメエ』
『――なンて言うわけねえだろうが、馬鹿が』
『ぎ、が、ぁぁあああああ!?』
『何、逃げてきてンだ、オメエ。おまけに、逃げた先がオレのとこってのはそれこそ何のつもりだ、オメエ。オレはオメエの保護者でもダチでも何でもねえぞ、オメエ。群れる相手はオメエで選ンでンだろーが、オメエ。死にてえのか』

​───────​───────​─────

「──スバル!」
ユリウスが声を張り上げ、立ち上がる。
その瞳は動揺を灯したまま揺らぎ、絶望とはまた違う、言葉にし難い感情を胸に抱いていた。
「──なんて、ことだ」
悲劇などというお誂え向きな言葉で片付けるつもりなどないが、これをそう形容せずしてなんと言えというのか。
「──早く、終わらせてくれ……こんなもの、見ていられない」
その端正な顔を苦痛に歪ませ、痛みを耐えるように眉を顰める。
「何をしても、過去は取り戻せないというのに」

​───────​───────​─────

『お話し合いで仲良く片付く関係かよ、オメエ。それで済むなら、端からオレがこンなとこ呼ばれるわけねえだろ。殺す気でこいよ。オレは遊ンでやンよ。それでようやくだ』
『失せろ、稚魚』
『が』
『い、やだぁぁぁ……ッ!』

​───────​───────​─────

「また、階段……」
ラムの表情が珍しくわかりやすい形になる。
瞳は細められたまま伏せられ、頬は何かを耐えるように硬くなる。
「──酷い話ね。……誰も覚えていない……知らないのだから、余計に酷い話よ」
痛みも苦しみも、スバル以外の人間は知らない。
だから、スバルの痛みを理解することは出来ない。
「──嫌になるわね」
辛そうな顔で、そう呟く。

​───────​───────​─────

『痛い……痛い、痛い、痛いよぉ……』
『なん、で……』
『予知……夢……』

​───────​───────​─────

波打つような音を連れて、スピーカーから音が流れる。
それは、スバルの心情だ。
「──昴?」
菜穂子が震えた声で名を呼ぶ。
そして、それに押収するかのように、客席側に置かれたスピーカーから、声が流れる。
言葉に出されることのなかった、スバルの心の声が。

​───────​───────​─────

『ほんの、数時間前まで、自分はぬくぬくとした、倦怠の日々の中にいた。何の危険もなく、せいぜいが心配事といえば先のない自分の未来ぐらいのもので、誰かに脅かされることもなく、真剣に取り合うようなこともなく。』
『――父と母の視線に、ただ顔を伏せていればいいだけの、そんな場所にいた。』
『それが、悪かったのだろうか。父と母に、迷惑をかけ続けた。失望させ続けた。いい子で、あれなかった。だから、死ぬほどの苦痛を味わって、それでもなお、死ねぬほどの状況に追いやられ、爪が剥がれて痛かったり、知らない男に拷問されたり、階段で一人、泣いているのか。』
『こんな思いをするぐらいなら、いっそ、もっと、ちゃんと。』

スピーカーから音が消えて、スクリーンの横のスピーカーから、口に出された声が響く。

『……いってきますって、言えばよかった』

​───────​───────​─────

それは、昴の心から流れ出す感情が、心の内で留まりきれないと限界を迎えたような言葉だった。
「──悪い、なんて」
迷惑だなんて思ったことは無かった。
昴が未来で前を向けるなら、今立ち止まることを悪いなんて思うわけが無い。
「そんなこと、思うわけないでしょう……?」
失望なんてしてない。
あなたはあなたのまま、暖かい風の吹く陽だまりの下で笑っていてくれたら、それで、それだけでよかった。
「ちがう、違うわ、昴……!わたしは、私たちは……そんなこと、思ってない……!」
「──昴」
菜穂子が頭を抱えて瞳を揺らすのを、賢一は言葉にできない表情で見つめる。
「──特別な何かになろうとしなくたって、よかったんだ……幸せに生きてさえくれれば、それ以上……何も、」
言葉にできない。
二人の気持ちを形容する言葉はこの世界には無い。
二人の心の内にだけ、罅割れるような痛みと吐きそうなほどの後悔があった。
だが、現実はいつも無情だ。
『────』
「──ぁ、」
小さな音と共に、聞きたかった声で、聞きたくない現実が、鼓膜を揺らす。

​───────​───────​─────

『後悔ばかりの、人生だった。失敗ばかりで、うまくいかないことだらけで、振り返ればやり直したいことなどそれこそ両手両足の指でも足りないけれど、いの一番に、それが浮かんだ。』
『家を出るとき、いってらっしゃいと母に声をかけられた。自分は、それに答えなかった。何故か。』
『――台所の、水につけたコップを、洗っていなかったからだ。』
『コップを、洗わなかった。ココアを飲んで、こびりついた茶色い汚れを、洗うのが面倒だった。』
『母の声に答えて、会話が生まれてしまったら、コップを洗えと言われるかもしれなかった。だから、母の声に答えなかった。コップを、洗いたくなかったからだ。』
『コップを洗いたくなかったから、自分は母の言葉を無視した。何も言わなかった。何も言わないまま家を出て、コンビニに向かって、自分で稼いだわけでもない金を使って、そのまま、気付けばこんな場所にいた。』
『母にも、父にも何も言わずに、コップを洗わないで、こんな場所にいた。』
『コップの一つも洗わずに、優しい母に何も言わずに、こんな場所で、死にそうだ。迷惑をかけて、何一つ返せないまま、コップも洗わないで、死ぬのだ。』

​───────​───────​─────

長い長い、独白。
それは確かに心の叫びであった。
当人でさえも気付いてはならない、目を向けてはいけないと思っていた本音。
そんな、浅ましく救いようのない本音を前に、菜穂子は──
「────」
ただただ、泣き伏せていた。
「そんな、こと」
そう。
そんなことだ。
怒るほどのことでもなく、気にするほどのことでもなく。
当たり前のように来る、平等な明日が二人の元に訪れさえしていれば、気にするようなことではなかった。
でも、
「──来なかった」
明日は来なかった。
あの日、あの夜、時間は永遠に閉ざされた。
「来なかったのよ、昴」
コップのことなんて、菜穂子は気にしたことなどなかった。
ずっと、昴は誰かに攫われたのかとか、嫌なことがあったのかとか、自殺してしまったのかとか、そういうことは考えても、コップのことなんて、脳裏に過りさえしなかった。
「──優しい子ね、昴」
涙が、長く、長く。

「──スバル」
空間に響く涙声を聴きながら、エミリアは何も言えなかった。
だって、
「知らなかった」
スバルが弱い人だと知っていた。
でも、家族の話はあまりしてくれたことがなかったから。
「私の隣で笑ってる時も、本当は辛かったのかな」
その言葉がどれだけ最低な言葉かに気付いて、エミリアは、
「──ごめん、ごめんね」
どうしようもなく、泣いた。

​───────​───────​─────

『俺は、お前には殺されない。俺は死ぬ。確かに、俺は死ぬ!俺は死ぬ!死んだ!死んだんだ!死んで、ここに戻って、だけど、俺はお前には――』

『──愛してる』

​───────​───────​─────

星空に見捨てられた少年を、禍々しい女は見捨てない。
異様な執着が、彼の心臓を愛撫する。
「──ナツキ、さん」
空間に、絶望という名の病が伝染する。
そして、その果てに、
「──あなたは」
何も分からないことだけが分かった。
そして、分かってあげられない悲しさと、焦燥だけが胸を掻き乱した。

Comments

  • レイラ
    Apr 2nd
  • あかざかみー

    次が見てえよ〜

    June 22, 2025
  • ロイド

    そ〜いやこれ終わったらツギハギみるんだよな?……んんん〜楽しみだ

    June 18, 2025
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