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雲隠れする星/Novel by 春風

雲隠れする星

6,088 character(s)12 mins

きたあああああ!!
記憶飛んだ!!!
やったあああああああ!!!

ということで、記憶喪失までです。
今考えたら、追加組は入った瞬間にそれまでの上映が頭に流れてくることにすればよかったな……。
今からでもそういう設定にしていいです?
キャラによって口頭説明と見たキャラがいるのややこしくて……。
まあ、楽しいので書きますけど。

ここら辺の精神的負担ランキングはこうです
1.菜月夫妻(どうなるのか知らないし、多分謝罪のシーンで血を吐く)
2.エミリア、ベアトリス(スバルが酷い目に遭うので)
3.ガーフィール、オットー(スバルが英雄メンタルじゃない状態で傷つくので)
4位から下はまあ全員同じくらいですかね。
ロズワールはそんなに傷つかないです。
「すごいなこれ……」って引くかもしれないけど。

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『──ナツキくん?』
『……夜の散歩にはうってつけの絶景スポットだな』
『そうやね。見晴らしがええのはホントやね。でも、せっかくの見晴らしも、肝心の景色が真っ黒々やなんて残念やわぁ。遠目に、街が見えるだけでも違ったのに』
『これはこれで、夜の海を眺めてるみたいな趣があって悪くないけどな。それに、なんて言っても……空気が冷たくて澄んでるから、星が超よく見える。ロマンティックだろ?』
『星が綺麗なんは事実やし、空気が澄んでるんはうちも同意見やけど……それやと星の見映えより、もっと気になることがあるんと違う?』
『もっと気になること、ってのは』
『星が見えることそのもの。ここまで、砂海で星が見えた夜なんてあった?』

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「そうよね、瘴気で星なんて見えなかったのに……」
エミリアが銀髪を揺らして頷く。
「──アナスタシアはどうしてこんな時間に空なんて見てたんだろう……」
少なくともエミリアは、眠れない夜に空を見上げる経験があまりなかった。
「……やっぱり、記憶を弄られてるから変な感じがするわ」

「──なんなのかしら、この……異常に不安になる雰囲気は……」
スバルとアナスタシアがただ話しているだけなのに、ベアトリスは酷く不安になる。
「全く、スバルは少し目を離したらこれなのよ」
すぐに何かに巻き込まれてしまう。

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『――で、この状況の言い訳は?』
『言い訳?』
『深夜、こっそりと寝室を抜け出して、誰も知らない秘密の通路を抜けて、こんなところで夜風に当たりながら鳥たちと戯れる……怪しすぎるだろ』

『――今、ここにいるのは俺とお前の二人だけなんだ。腹割って話さないか』

『――アナを演じるボクではなく、ボクと言葉を交わしたいと』

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「あらあ?お兄さん、鳥をすごく怖がってるのねえ」
「無理もないと思うの。スバルは……」
不思議そうに首を傾げるメィリィに、エミリアは言い淀む。
大兎に喰われたせいだと、なんとなくエミリアは察している。
メィリィもその周回についてはベアトリスやロズワールから聞いているだろうから知っていると思うけれど、トラウマになっているのだと、メィリィに伝えていいのかどうか。
「──意識して怖くなることもあるって言うし、教育的に良くない、ってスバルなら言いそう……」
「お姉さん?」
「な、なんでもないわ!」

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『君は、この塔の管理者であったシャウラとも顔見知りだった。少なくとも、向こうは完全にそのつもりで君に接している。それを加味し、こんなところで二人きりになった上で告げるのは卑怯だと思うが……――ナツキ・スバル、君は何者なんだ?』
『何者も、なにも……』
『プリステラに赴く以前に話は戻る。一年前、君が白鯨討伐と、『怠惰』の討伐を成し遂げた論功式のあとだ。アナは、君のことを調査したんだよ。君の素性はわからなかった。最低限の情報を調べること自体の難易度も相当だったとアナがぼやいていたよ。それについてはおそらく、君というよりは君の周りの人間が何かしていた結果とは思うが。なんにせよ、辿ることができたのは王選が始まる直前、王都で起きたとされるちょっとした出来事に関わっていたことぐらい。騎士ラインハルトが、候補者の一人であるフェルトを見出したとき、君を見かけたと証言が取れた。だが、それだけだ』

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「知らん世界から来たなんて、流石のうちでも予想出来んわ。まあ、うちの調査が悪いわけやなかったってことやけど」
異世界から転移してきた人間の素性を調べるなど、いくらアナスタシアであっても不可能に近い。
「スバルが何者か……こういう風に映像を見たあとだと、その答えもちょっと分からなくなっちゃうわね」
エミリアにとって、スバルは自分の騎士だ。
そして、いつか好きになる人。
でも、
「──私、スバルのことあんまり知らないのかな」
シャウラに何故好かれているのか、どうして嫉妬の魔女に愛されているのか、エミリアはスバルをあまりに知らない。
「──早く迎えに行って、たくさん話をしましょう」

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『例えばだが、君はシャウラと本当はどういう関係なんだい?』
『シャウラとは、ここで会ったのが初めてだ。何も知らない』
『三層の『試験』、あれほど早く君が解き明かせたのは偶然かな?』
『……偶然だ』
『それなら、君がこうして、一見してわからないように偽装された隠し通路を抜け、たまたまボクしかいない状況で、声をかけてきたことは?』
『──逆の立場になってみろ、か……』
『それでも、ボクは様々な要因から君を敵対的な存在である可能性は低いと見積もっている。こうして胸の内を明かしたのは、それを示すための誠意と思ってほしい』

​───────​───────​─────

「──逆の立場、ね」
ラムが静かに呟く。
スバルがどれほどレムを大切に思っているのか、絶対本人には言ってやらないが、ラムはそれをきちんと分かっている。
だから、ラムは今更スバルを魔女教の関係者などと疑ったりしない。
しないが──、
「敵と言うにはあまりにラムたちにとって都合が良すぎる男だし、味方と言うにはあまりに素性が分からないものね」
だとするなら、敵では無いと思うアナスタシア──エキドナの考えは正しい。
スバルすら知らないスバルの過去が、あるのかもしれないけれど。

​───────​───────​─────

『あんまりちゃんと確かめてこなかったけど、アナスタシアさんはどうなんだ?』
『……依然変わりなく、だ。アナは今も、この体の奥底で眠り続けている。これほど長く体に宿ったことはないから、ボクも焦りを抱いていないと言えば嘘になるな』

『ボクとの契約を維持するためには、彼女はオドを費やしていくしかない』

『アナに代わり、こうしている状態はボクが顕現し続けているに等しい。それは加速度的にアナのオドを食い潰す行いだ。今も刻々と、アナのオドは削れていっている』

『アナはボクと契約することの危険性を承知の上で、ボクの手を取った。そのときから、いずれは終わりがくることは想定されていたが……今は、より早い』

​───────​───────​─────

「──アナスタシア……」
エミリアが、アナスタシアの方を酷く悲しそうな顔で振り向く。
「嫌やわあ、エミリアさん。そんな顔せんといてや。エキドナの言うことは間違ってないけど、少なくともここにおるうちは終わりには──そんなことにはなってないんやから」
「そっ、か……そうよね。でも、しんどかったらいつでも言ってね?魔法も使えないここじゃ私に出来ることは少ないけど……子守唄とか歌うから」
「──それは、遠慮しとくな」
「そう?」

​───────​───────​─────

『――今の話は、どういう、ことなんだ?』

『ユリウス、どこから聞いてた?』
『……アナスタシア様のお体のことから』

『何故、スバルだけはその情報の共有を?』
『彼が大罪司教の権能の影響も受けず、最も状況の混乱の外にいた人物だった。それに人工精霊であるボクと、そのルーツを同じくするベアトリスと契約を交わした精霊術師でもある。もっとも、ボクも打ち明けようと最初から考えていたわけじゃない。ただ……』
『――。ただ?』
『ただ……彼に、ボクがアナを演じていることを見抜かれたから、話さざるを得なかったんだ』

​───────​───────​─────

「──これは、なかなかに」
オットーが顔を顰める。
別にユリウスの肩を持つ訳では無いが、ユリウスの立場は、あまりに苦しいものだ。
自分の心の一番とも言える人が異常事態に陥っているというのに、それに気づくことも出来ず、果てに、部外者とも言える他人がそれに気づいていたのだ。
声を荒らげていないのは、当人の騎士らしさ故、とも言えるだろう。

「全てが最悪な方へ行っていますわね」
「大将ッ……大丈夫ッなのか……?」
「分かりませんわ。ただ、まず一度部屋へ戻った方が良いのではないでしょうか」

​───────​───────​─────

『関係の薄い、外部の人間にも気付けるはずのことを、一の騎士を自任する男が気付けずにいたということか……』
『待て、馬鹿!お前、そんな言い方はねぇだろ!状況が……状況が悪かったんだよ!あんな大事件があって、お前はお前で切羽詰まってた!お前だけじゃねぇ、リカードとか、ミミたちだってそうだろ?俺が気付いたのは……なんか、とにかく、たまたまなんだよ!』
『その、偶然を常に確かなものに昇華することが、一の騎士の務めだ』
『――ッ!何が、一の騎士……だったらそんな面倒な肩書き……』
『捨ててしまえ、などと言わないでいてくれ。私は……今の私は、私から何か一つ、取りこぼすことさえ恐ろしい』

『奇妙な行き違いから君を巻き込んだようですまない。だが、これはあくまで、アナスタシア様の陣営である私たちの問題だ。君が心を痛めることではない』

​───────​───────​─────

「──これはまた……奇妙な事態になっているようだ」
ロズワールは思う。
恐らく、この事態でさえも、スバルを高みに誘う踏み台となる。
「とは言っても、こればかりは心の行き違いだ。スバルくんが解決すべき事案とも言えないがね」
ユリウスの方へ目線を向ける。
ユリウスは優雅な顔立ちに少しの暗澹を映したままスクリーンを見つめていた。

「──追い詰められ、切羽詰まった自分を見るというのは、あまりいいものではないね。特に、この時のことは」
スバルに放つ言葉は、全て本心だった。
が、その殆どは不甲斐ない自分へ苛立ち、八つ当たり紛いのことを言ってしまったのだが。
「──スバルを責めてもどうにもならないというのに」

​───────​───────​─────

『俺が、何をどう受け止めようと俺の勝手だろうが!』
『そして君が受け止め、私に私の問題は受け止めさせまいと?……アナスタシア様とエキドナのことを、語らずにいたように』
『──っ』
『すまない。言葉が過ぎた。……だが、事実だ』

『わかっている。君が何を考え、私に事実を隠していたのかはわかっている。悪意があるはずもない。あるのは配慮と、心遣いだけだ。君の懸念にも同意見だ。仮に逆の立場であっても、やはり私は君に黙っていただろう。──だが、それでも、私はアナスタシア様にも、君にも、騎士足り得ぬなどと思われたくなかった』

​───────​───────​─────

「ユリウス……」
エミリアが、悔しそうに唇を噛む。
誰も悪くない。
誰も悪くないのに、誰も救われない状況になってしまった。
「──この後、スバルは……」
思い出すだけで、なんだかお腹の奥がずきずきと痛むような思いだ。
「──だめよね。私は未来を知ってるんだから、ちゃんと……信じなきゃ」
スバルは、半日で記憶を取り戻した。
そうだった。
それ以外──何も、
「ない、わよね。スバル」
頭の奥で、少しづつ記憶が足されていく。
「──信じてる」

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『緑部屋には……戻れない、よな』

『残念だけど、寝込みを襲うのは無理ね。階段の途中で引き返したわ。そのぐらい、あれは規格外の化け物よ。ガーフが可愛く見えるわね』
『懐いたあとのガーフィールは、わりあいいつでも可愛げあるけど……』
『振る舞いじゃなく、危険度の話よ』

『ただ寝るだけなら、適当な部屋でいいんだが……二層の攻略、レイドの攻略について考える。──そうだ。これがうまくはまれば……』

​───────​───────​─────

「可愛げ……!?大将ッ!!」
ガーフィールが顔を赤くして憤慨する。
可愛いよりかっこいいの方が嬉しかったのだろうか。
「安心しなさい、ガーフ。バルスは割と誰にでもあんな風に適当なことを言うから」
「そうッいう問題じゃァねェ!」
「そう。それは大変ね」
ラムとガーフィールがコントをしている中、エミリアとベアトリスの顔色は晴れない。
「──エミリア様?」
「──静かになさい。ガーフ。あと、理由はあれを見ればわかるわ」
ラムがすっとスクリーンを指差す。
ガーフィールと騒いでいたのは、この衝撃を少し和らげたかったからだろうか。
優しい子だ。

​───────​───────​─────

『――スバル!ねえ、スバルってば、大丈夫なの?』
『って、うおわぁ!?んぎゃぁ!』
『きゃっ!スバル、平気!?なんでそんなにいきなり転がったの!?』
『い、いや、俺も別にいきなり転がろうと自主的に判断したわけじゃ……』
『ん、どこか強く打ったりはしてないみたい。ホントによかった。でも、すごーく心配したんだから、あんまり驚かせないでね』
『エミリア、そんな言い方だとスバルは反省しないかしら。もっときつく言ってやらないと、ベティーたちの心配ぶりがスバルには伝わらんのよ』
『そうよね。ほら、ベアトリスもこう言ってるでしょ?スバルが見当たらないって大慌てで、倒れてるところを見つけて泣きそうだったんだから……』
『言わなくていいことまで言わなくてもいいかしら!』
『つまり、これはあれだな』
『──スバル?』



『異世界召喚ってヤツ――ぅ!?』

​───────​───────​─────

スピーカーから、スバルの声が響く。
エミリアやベアトリスは暗い顔のまま、ラムは疎ましそうに顔を顰めて。
ロズワールは衝撃に少し目を見開き、オットーとガーフィールは互いに顔を見合わせ、衝撃を飲み込もうとしていた。
「──嘘でしょ?」
フェリスは、瞳を見開いて、声を震わせていた。
「スバル、様……」
クルシュも、瞳を開き、動揺を隠してもいられない。
「──これは、スバル殿」
「スバル……どうして、何が……?」
「そうだったわねえ。お兄さん、大変だったものお」
「──ナツキくん」
各々が、動揺や狼狽を口に出す。
そして、
「────、」
そして、そんな段階を飛び越え、二人は──、ただただ、絶望していた。
「──昴」
あの子が、何をしたと、言うのか。
どうして、こんなことになるのだ。
「──昴」
手を強く握り締め、鋭い痛みが走った。
手のひらが切れたのだと分かり手のひらを見つめれば、瞬時に治癒魔法がかけられる。
痛みに逃げることも許されない空間に、菜穂子は──
「──すばる、」
泣き伏せることしか出来なかった。

Comments

  • レイラ
    Apr 2nd
  • kawe

    嬉しい!不謹慎だが、見れて嬉しい!もう心にきて泣ける

    June 3, 2025
  • 最っ高です!!!是非心情バシバシ流して欲しい……残骸くんは最高すぎる

    June 3, 2025
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