負け犬の助走
これ書いてる時ずっと頭の中でセシルスが「なんと!これが天剣に至りし者の剣技……!なんともまあ素晴らしいことですね!ただ、どうしてこの僕がこの空間に居ないのですか?花形役者たるこの僕がいれば、盛り上がることは間違いないのに……おや?あの赤髪……なんと!ラインハルトさんまでいらっしゃるとは!余計に理解できませんね、誰か僕と交代してください!……おや?あれは……あの顔と髪色!ボスのご家族では?いやー!会いたいですね!ボスの死に戻りながらも頑張る姿は評価に値すると伝えたいです!……おや、どこへ行かれるんですか?花形役者たるこのセシルス・セグムントを置いてどこに──」ってずっと喋ってきてやばかった。
お前は七章からだから静かにしててくれ。
頭の中にセシルスを飼うと病まなくなりますが、代わりになんかおかしなことになるのでやめた方がいいです。
シルフィを入れようか迷ってます。
「シルフィ入れて!」って言ってくれてた子……「出番少なくてエミュ難しいんだよな……」と思って無視してごめん……
今なら書けそうな気がする!
ということで、追加するなら七か九なのですが、どちらがいいですか?
それとも追加しない方がいいですかね
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『この大階段、実は最初からここにあったのに、みんなが揃って見落としてた、なんてことはないよな?』
『この部屋はなんとなく全員が避けたのよ。無意識のことだったけど、今にして思えば……』
『なんか、認識阻害的な方法で遠ざけられてたんじゃないかって?』
『とはいえ、ペースは悪くないよな。三層の『試験』だって、言っちまえば俺は初回クリアしてるわけだし、塔の攻略は三日で三分の一が終わったといえる』
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「そうよね、あとは……そう、スバルがちょっと大変なことになったけど」
「あれをちょっとで片付けるエミリアの胆力がすごいのよ。ベティーもすぐ戻ったから安心したけれど、生きた心地がしなかったかしら」
「そうかしら……半日くらいで戻ったからよかったけど、あれが一週間くらい続いてたら私もすごーく不安な気持ちになってたかも」
スバルに忘れられたのは、すごく嫌だった。
エミリアはスバルとの初対面の時のことも覚えていないのだから、スバルはもっと嫌だったかもしれない。
「体験しないと分からないことってあるものね。私も、もっとスバルの気持ちをわかってあげたい」
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『四百年以上も進展がなかったことを思えば、とんでもない進捗ペースかしら』
『そう言われると、確かにやべぇな。……いや、でも、俺って案外、何百年も動いてない歴史を動かす男だからな。歴史を動かす男ってパワーワード感がすごい』
『過程省いて功績だけ箇条書きすると、俺って馬鹿みたいだな……って、あれ?どしたの、エミリアたん。急に俺の手なんて握って』
『……ううん。ただ、スバルはもうちょっと、もう少し、自分のことをちゃんといたわってあげた方がいいと思うの』
『俺ぐらい自分にダダ甘な奴ってそうそういないし、エミリアたんとかベア子が優しくしてくれるから、これ以上は贅沢だよ』
『────』
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「──ナツキさん……」
オットーがため息をつくと、ガーフィールがなんだか苦い顔をする。
「どうしました?ガーフィール」
「大将の言い分はわかるんだがッよォ……なんかこう、心臓の辺りに違和感がするッつーかよォ……」
「ああ、なるほど、ナツキさんの言い分にしっくり来なかったんですね」
かくいうオットーも、スバルの言い分には苦々しい気持ちだ。
もう少し自分に甘くしてもいいと思う。
「──優しいご家族に育てられたようですし、お人好しは遺伝ですかねえ……」
「──?」
菜穂子の方をちらりと見て眉を下げて笑えば、菜穂子もそれに意味は分からないがにこりと返す。
やはり親子だ。
似ている。
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『――しゃーねぇ。文字通り、次への階段が真ん前にあるんだ。ここでいかなきゃ男じゃねぇ。さぱっと挑んで、ズバッと攻略してやるぜ』
『モノリスではないな。――剣だ』
『――天剣に至りし愚者、彼の者の許しを得よ』
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「──ラインハルトと似てるネ」
「ああ……恐らく、彼が」
ラインハルトとフェリスがこそこそ話す。
正直、その距離で話すと周りの人には聞こえる声量になるから、意味なんてないのだけれど。
「天剣に至りし愚者……レイド・アストレア……ですか?」
クルシュが訝しげに眉を顰める。
顔を顰めると少しだけ痛いからすぐに止めたが。
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『――天剣に至りし愚者、彼の者の……ゆる、しを……』
『──ぁ?』
『天剣、愚者の……許し、をぉ……あ、ああお、おーおー、あー』
『な、なんだ?なんだなんだ、何が起こる?』
『あ、あ、ああああああ――ッ!!』
『──ッ!』
『あああああ――!!』
『ひやぁぁぁ!お師様お師様お師様助けてぇっ!いやッス!助けてぇ!』
『お、お前、さっきから何を――』
『――るっせえぞ!!二日酔いの頭に響くンだよ!喚くンじゃねえ!』
『あふっ……』
『――いい女、いい女、エロい女、ジャリ、ジャリ、子分、雑魚』
『あー、あー、あぁ?ンだ、オメエ。あれか、オメエ。ふざけてンのか、オメエ』
『……人の面見るなり、失礼か、オメエ』
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「なんッだこいつ……!」
ガーフィールが怒りのままに立ち上がるのをフレデリカが制止する。
「なんだかスバル様に当たりが強いですわね……男性だからでしょうか?」
「分かりませんが……騎士ユリウスにもあまりいい顔はしていませんし、女好きという可能性はありますね」
「この見た目……考えなくても分かりますわね……レイド・アストレア……『初代剣聖』ということですわね」
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『ルグニカ王国、近衛騎士団所属。ユリウス・ユークリウス』
『名乗る名なンざねえよ。――オレは、ただの『棒振り』だ』
『笑わせンな、オメエ。一番いい角度に、一番いい速さで、一番いい感じに、一番うまく振り回せば――箸だろうと、斬れねえもンなんかねえよ』
『ジワルド――!!』
『――オレの剣は光も斬るぜ、オメエ』
『――ッ!ジワルドぉぉぉ――!!』
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圧倒的な強さの前に、アナスタシアは魔法の使いすぎで吐血する。
それほどまでに身を削ってもなお、レイドに大したダメージは与えられていないのだが。
「──何この強さ……有り得ない」
「初代『剣聖』……全盛期のテレシアと並ぶほどの強さです。消耗している二人では少々分が悪い」
万全の状態とは言えない。
体力的な意味ではなく、主にメンタルの方も含めてだ。
アナスタシアは本来の持ち主ではない者が操作しているし、ユリウスは忘れられた傷が未だある。
そんな状態で倒せるほど、『剣聖』は弱くはない。
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『こンなじゃねえだろ、オメエ。なに、一人で戦ってンだ、オメエ。これはオメエの戦い方じゃねえな。――だから、つまンねえな、オメエ』
『私は……』
『女のとこいきたきゃいかせてやンよ。やわっけぇ膝でも借りて、泣いて甘えろ。出来損ないの不細工剣士が』
『寝ろ』
『あなたは、すごーく強そう。それは、見ててわかりました。だけど、私たちは『試験』を乗り越えなきゃいけないの。だから、勝てる方法を用意してください。一歩でも、あなたを動かせたら私たちの勝ち。それで勝負しましょう。……ダメ?』
『激マブな面して、したたかじゃねえか、オメエ』
『やれることを精一杯やるのが、私の騎士様から教わったやり方な、の!』
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「うん、でも、レイドの言葉……よく聞いてたら、ヒントをくれてるように聞こえてきたかも。この時は気づかなかったけど……」
「それは少しエミリアが前向きすぎるだけかしら。あれは言いたいことを言っているだけで、大した意味なんてないのよ」
「だとしたら、レイドの強さはあのめちゃくちゃな考え方とか捉え方が理由ってことなのかもしれないわ」
「……スバルが悲しむから、あいつのようになろうとするのはやめるのよ」
「そ、そんなことしないわよ!?私、今の自分に満足してるもの」
「それはよかったかしら」
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『隙あり』
『な──』
『役得、役得。これしきのことで怒ンじゃ……』
『とりゃ!』
『ごぁっ──!?痛ぇぇぇッ!な、何考えてンだ、オメエ!?普通、あンな真似されたら女は行動が鈍ンだろうが!一瞬も躊躇わなかったぞ、オメエ!?』
『――?体に触られただけでしょう?あなた、隙だらけだったもの』
『ざっけンな!どういう育ち方してンだ!親は何してやがったンだ!』
『……何か、変なこと言った?』
『おい!この激マブ何とかしろ!外歩かせンな!雑魚!オメエ付き人だろうが!オメエ、ちゃンとしろや、しゃンとしろや、痛えな、オメエ、クソ……!』
『お、前に、エミリアのことであれこれ言われる筋合いはねぇよ。それより……』
『あぁン!?』
『一歩どころじゃなく、動いてる』
『あ!ホントね!やった!私の勝ち!』
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「え、エミリア様!?」
「エミリア様ァ!!あいつッ……大将に断りもなく……クソ野郎がァ!!」
「なんとも……これでよくスバルくんは怒らなかったですねーぇ」
「?多分怒ってはいたわ。レイドのことすごく嫌がってたし」
「……なるほどーぉ、分かりました」
「エミリア様、もう少し危機感を持ちましょう?スバル様も不安になりますわよ」
「そうなの……?」
「エミリア様も、スバル様が女の人に抱きつかれていたら嫌じゃありませんの?」
「──それは……いや、かも。分かった、気をつけるわ」
「お姉さん……私が言うのもなんだけどお、悪い人には気をつけてねえ?」
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『あー、仕方ねえ。言ったことは言ったことだ。スケベ心に足すくわれるなンざ笑い話にしかなンねえが、仕方あンめえよ』
『み、認めるのか……!?』
『現時点で、株なんか下がりようがないぐらい最低の負け方してるぞ……』
『るせえよ、雑魚が!雑魚っつーか、稚魚が!稚魚が喚くな、オメエ。とにかくその激マブの勝ちだ。通してやるよ。それが条件だ。しゃああンめえ――で、次は稚魚がやンのか?それとも、ジャリ二人のどっちかかよ』
『――誰か一人でもクリアすればいいって条件じゃねぇのか!?』
『あぁン?誰がンなこと言ったよ、勝手抜かすな、オメエ。なンで一人がいけたら残りも全部いけることになンだよ。常識で考えろ、常識で!頭の中身も稚魚か、オメエ』
『せ、世界で一番、常識なんて言われたくない奴に正論を……!』
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「それくらい認めろやァ!エミリア様にセクハラしといてよォ!」
「が、ガーフィールがエミリア様過激派に……シルフィさんみたいですね……」
脳裏に最近ミロードに雇われたというメイドの姿が過ぎる。
「これは空間に邪魔されてないんですね……条件が分からないな……」
空間の守り人が「これは思い出しちゃダメ」「これはいい」とかやっているのだろうか。
正直、見ているだけでしんどいのだからそこは勘弁して欲しいが。
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『――待った、なのよ。お前の言い分には決定的な誤りがあるかしら』
『――エミリアはお前に、一歩でも動いたら『私たち』の勝ちと言ったかしら。つまり、エミリアの勝利はベティーたち全員の勝利なのよ!』
『そう、そういえば、私言ってた!私たちって言ったわ!どう?それなら、私たちは全員であなたの『試験』を乗り越えたことにならない?』
『そりゃ言い方の問題だろうよ、オメエ。ならねえよ』
『そう……わかったわ。スバル、ベアトリス、ごめんね。ダメだって……』
『引き下がるのが早すぎるかしら!!』
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「──出来ることなら、その理屈を通せればよかったのですが」
「やっぱり、レイドはずるがしこいから無理だったの、ラム。ラムならもう少し言いくるめられたかもしれないけど……」
「──いえ、ラムなら勝つことも少し難しかったです。それに、エミリア様は殺意がなかったので攻撃が通ったようですが、ラムはいやでも殺意を込めてしまいますから」
「そう?ラムならできる気がするけど」
「エミリア様、ラムの強さと可愛さに魅了されるのは分かりますが……」
「そこまでは褒めてないのよ」
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『まぁ、そのジャリの言い分もわからなくはねえよ。最初はどうも、何人掛かりでもいいンでオレを抜いてみろって話だったみてえだしよ。――言いなりになンのはつまンねえから、無理くり起きてやったけどな』
『無理くり起きたって……最初のあれは、システム破りってことか!』
『知らねえよ、オメエ。オレにわかる言葉使えよ、オメエ。若白髪みてえなことばっか言ってンじゃねえぞ、オメエ』
『本当は、全員で協力して条件を満たせばいいだけの『試験』が、お前が『起きた』のが理由で、一人ずつ条件を満たさなきゃいけなくなった?』
『――ちょっと、いいかしらあ?……こんなこと言いたくないけどお、引き返すべきだと思うわあ。なんで、お兄さんがその人と普通に話せるのかがわからないわあ。……騎士のお兄さんも、襟巻きのお姉さんもやられて、裸のお姉さんだって』
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「若白髪……?そういう悪口?」
「若白髪が悪口になるかどうかは置いておいても……本当に機嫌が定まらないやつかしら。一緒にいて疲れるのよ」
「それにしてもお、無理やり起きるなんて本当にできるのお?そんなめちゃくちゃなこと」
「見ていたらわかる通り、あれは限りなく化け物に近い人間かしら。良心が強い分まだラインハルトの方が幾分か人間的と言えるのよ」
「幾分か、なのねえ」
「スバルきゅんってば初代『剣聖』の剣気に当てられちゃってるー」
「彼の剣気を目の前で浴びれば無理もないんじゃないかな」
「そうかにゃあ……それにしても、こんにゃの倒しようがなくにゃい?ラインハルトがいたら別だろうけどー」
「──いや、僕じゃない方がいいと思うな。彼の性格を見る限り」
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『――仮の話、引き下がって出直しってなったら、それは認めてくれんのか?』
『やーめーだ!やめだやめだやめだやめだやめやめやめ!萎えた!』
『元々、ここの裁量はオレに任されてンだぞ、オメエ。そのオレがやらねえつったらやらねえンだよ。それに、だ。――やる気がねえときのオレは遊ばねえぞ。オメエ、やれンのか?』
『せいぜい、頭ひねって勝ち筋探せよ、オメエ。激マブと同じ手は通用しねえぞ。寝てるエロ女ぐれえでもねえ限りな。失せろよ、オレは寝る』
『早く、戻りましょお』
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「──本当にめちゃくちゃなやつね。子供じみた、というより、それが許されるだけの強さが理由なのでしょうけど……いずれにしても、ラムはこういう奴は好かないわ。食指がまるで動かないもの」
「そうねっ、私も、レイドの言い方は少し意地悪だと思うもの!」
「……エミリア様とラムでは見えている世界が幾ばくか違うようです」
「えっ!?」
びっくり仰天しているエミリアを横目に、ラムは白々しく足を組む。
「俺様ァこいつが気に食わねェぜ……!」
「安心してくださいガーフィール、僕もです」
「わたくしもですわ」
満場一致で嫌われるレイドに、メィリィは笑いを堪えるのに精一杯だった。
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『――なるほど。それが二つ目の『試験』からすごすご逃げ帰った理由なわけね』
『アナスタシア……エキドナの、あの必死さはいったい……』
『あの娘の衰弱は、ちょっとした魔法の使いすぎとは深刻さが違っているかしら』
『あれが、あの娘の体を借用してるのは事実だけど……ここまで付き合ってきて、わかったかしら。あの娘、オド以外に使える魔力がないのよ』
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「なんや、うちが寝とる間に随分知られてしもうてるんやね」
「でも、最初に気づいたのはスバルだけみたいなの、アナスタシア。だから……」
「別に怒ってへんよ?ナツキくんが人にべらべら秘密を喋るタイプじゃないのは分かっとるし」
「……!そう……!わかってくれてて良かった」
「ただ、これを知った時のエミリアさんの驚く顔が見れんかったんは商人としては残念やねえ」
「えっ!?」
「冗談やよ」
「なるほど、冗談ね……!」
アナスタシアに上手く転がされるエミリアを見てラムがため息をつく。
「──レム……」
座席からは、温もりが消えている。
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『なんであいつはそうまでして、ユリウスを助けようとしたんだ?』
『バルスとエミリア様の言葉を信じるとすると、騎士ラインハルトと同格の敵……地上最強と並び立つなんて言われてるのは、今の世界じゃせいぜい各国一人ずつよ』
『ラインハルトが王国最強で、他の三国にもそれぞれ最強がいるってことか』
『ヴォラキア帝国一将『青き雷光』セシルス・セグムント、グステコ聖王国の『狂皇子』、それからカララギ都市国家の『礼賛者』ハリベル。でも、どれも特徴が違うわね』
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「セシルスとハリベルは知ってるわ!ええと……」
記憶の靄をたどるように思い出そうとする。
すると、ハリベルの方はやはり邪魔されてぼんやりとしか思い出せないが、セシルスの方は割と思い出せた。
「あの、すごーく元気で……うん、たくさん喋る子よね」
エミリアを持ってしても、このような評価になるセシルスは、本物の変わり者だ。
「なんでセシルスのことはおっけーだったのかしら……?」
「あんなやつ忘れる方が難しいかしら」
実際のところ、空間の守り人が「この子は思い出しても支障なさそう」と判断した可能性がある。
その場合、とんだ判断ミスだ。
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『あ、お兄さんたちちょっといい?裸のお姉さん、そろそろ起きるみたいよお?』
『な、な、な、なんであいつがここにいるッスか!お師様たちが死んだって言ってくれてたのに!生きてたッス!やっぱり殺しても死なない奴だったッス!』
『はあ!?お前、何を……』
『『棒振り』!『棒振り』レイドッス!あの鬼畜!悪魔!またあーしの胸ズバズバ揉むために生きて帰ってきたんスよーーー!』
『――あの、馬鹿野郎』
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「馬鹿野郎、とは……なかなかの評価だね」
スクリーンに映し出されるのは、顔を顰めるスバルが、緑部屋を飛び出してそのまま階段へ向かう姿。
それが映し出される間に何があったかは、ユリウスしか知らないことだ。
そして、これまでとこれからを見れば全員が想像のつくこと。
「──なんとも、看過しがたいことだ」
悲しいけれど。