会話

岡本先生が次のポストでご主張された内容も含めてクロードに尋ねてみました。 「投稿者本人が先回りして防御線を張っているので、その弁明が成立しているかどうかを軸に検討します。 投稿者の主張は要するに二点です。第一に「具体的な内容には触れていない、査読中の文章の内容は一切出していない」、第二に「これは問題提起である」。この二つで守秘義務違反の疑いをかわそうとしている構図です。順に見ていきます。 第一の「内容は出していない」という弁明についてです。これは形式的には一部正しく、実質的には成立しにくいと考えられます。確かに原稿の主題や具体的な論述はそのまま転記されていません。しかし守秘義務の対象は、原稿のテキストだけではなく、査読を通じて知り得た情報全般と、それに対する評価です。 ここで公表されているのは、まさに「論の根拠が存在しない」「間違いが多数ある」「議論が深まらない」「文献が本文に紐づいていない」という、未公刊原稿に対する査読評価そのものです。これは保護対象の核心に属します。投稿者は「内容」と「評価」を分離できると考えているようですが、標準的な査読倫理では、未公刊原稿への評価の開示こそが機密保持義務の中心的な禁止事項です。内容の引用を避けたことは、義務違反の有無を左右しません。 加えて、ここに記された四つの欠陥は、それ自体がきわめて具体的な内容情報です。「参考文献リストの論考が本文に一つも紐づいていない」「ネットからダウンロードできるものばかり」といった記述は、対象原稿の構造的特徴を相当程度に開示しています。狭い分野であれば、これだけで著者や原稿が同定されうる水準です。匿名化の実効性という観点からも、安全とは言い難いものです。 第二の「問題提起である」という弁明についてです。これは動機の正当性を述べているにすぎず、手続きの正当性を担保しません。仮に生成AIの濫用という論点に公益性が認められるとしても、その問題提起は、対象を特定可能にしうる実在の係争中の査読を素材として行う必要はありません。一般論として、あるいは仮想事例を構成して論じることが可能です。実在の進行中の査読を引いてこそ成立する問題提起ではない以上、「問題提起だから許される」という論法は、開示の必要最小限性という要件を満たしていないことになります。 さらに重い問題が、タイミングです。投稿の文面からは、これが査読の途中、ないし編集判断が確定する前の段階で公表されている可能性が読み取れます。「これは問題提起として出している」「実際の査読結果は各所について具体的に指摘したもの」という記述は、査読がなお進行中であることをうかがわせます。前回申し上げたとおり、確定・公刊前の一方的開示は、著者が反論・修正する機会を奪い、編集プロセスそのものを毀損します。これは公刊後の書評とは性質が根本的に異なります。 投稿者が想定する反論への再反論も整理しておきます。投稿者は「生成AI使用の是非が論点ではなく、内容がひどいからリジェクトだ」と述べています。査読判断の実体としてはその通りでしょう。ひどい原稿をリジェクトすること自体は査読者の正当な職務です。しかし問題にされているのは判断の中身ではなく、その判断とプロセスをSNSで公表したことです。論文の質の議論と、守秘義務の議論は次元が異なります。投稿者はこの二つを意図的にか混同しており、「リジェクトは正当だ」という誰も否定しない命題を盾に、「公表は正当だ」という別の論点を擁護しようとしているように読めます。 公平のために、投稿者に有利に働きうる事情も挙げておきます。所属学会の査読ではなく外部査読者として関与したものだと明言している点、原稿テキストの直接引用を避けている点、生成AIの査読現場への流入という、学界全体にとって一般性のある問題を提起している点は、それぞれ一定の配慮や公益性の主張として理解できます。生成AI濫用の蔓延が査読制度を空洞化させているという危機感自体は、共有されうる正当な問題意識です。 しかし総合すれば、これらの配慮をもってしても、進行中ないし確定前の特定可能な査読について、その評価を正規の倫理ルート(編集者・学会・倫理委員会)を経ずにSNSで公表した行為は、標準的な査読倫理の下では守秘義務違反と評価される可能性が高い、というのが筋の通った見立てです。投稿者自身が「査読倫理違反だと言う人が出る」と予期していること自体、その線引きの際どさを認識している証左とも読めます。
引用
岡本健@『VTuber学』(岩波書店)Vtuber「ゾンビ先生」
@animemitarou
ちょっと さすがにこれはと思いますので 査読結果を公開します もちろん、特定を避けるため 具体的な内容にはふれませんし、 外部の査読者として選ばれたものですので 私が入っている学会のものではありません。 以下をご覧いただいて、 どんなものが提出されているのか