掲載日
2023.9.21

デリバティブとは?
取引の基礎やデリバティブ投資のメリット・デメリットを解説

監修者

伊藤 亮太 氏
(サーティファイド ファイナンシャル プランナー®

デリバティブとは?取引の基礎やデリバティブ投資のメリット・デメリットを解説

(画像=iStock)

デリバティブ取引は、取引の内容や扱う商品の内容が複雑であることから難しいイメージがありますが、中身を理解して活用することで効率的な資産運用ができる場合もあります。
本コラムでは、デリバティブ取引についての基礎知識や、取引を利用するメリット・デメリットについて解説します。

デリバティブとは

デリバティブとは、通貨(円やドルなど)、債券、株式などの原資産(一般的な金融商品)から派生した商品のことを指し、「金融派生商品」とも呼ばれます。

デリバティブの価値は原資産の価値によって決まります。これらの商品を取引することを、「デリバティブ取引」と呼びます。

取引の手段や決済のルールによってさまざまな商品があり、「デリバティブ」や「デリバティブ取引」はそれらの総称となります。

デリバティブ取引を行うには一定の知識が求められますが、証券会社などで対象の口座を開設することで取引できるようになります。

デリバティブの取引の種類

デリバティブには、大まかに分けて次の種類の取引があります。

先物取引

ある商品(資産)を、将来の定められた時点において、一定の価格で売買する取引です。新規で売買した時点での市場価格と決済した時点における約定価格の差額が、その先物取引における損益となります。

オプション取引

ある商品(資産)を、将来の定められた時点において、一定の価格で購入、もしくは売却する権利を売買する取引です。

先物取引と異なるのは、先物取引が約定した期日に必ず取引と決済が行われるのに対して、オプション取引は権利を行使するか(実際に取引を行うか)を、本人が選べる点です。

スワップ取引

将来発生する利息について、異なるタイプの資産で交換する取引です。スワップ取引には、変動金利の代わりに固定金利で(あるいは、固定金利の代わりに変動金利で)利息を受け取る金利スワップと、ドル建て債券の利息の代わりに円建て債券の利息(あるいは、円建て債券の利息の代わりにドル建て債券の利息)を受け取る通貨スワップがあります。

為替予約

あらかじめ約定した日、またはその期間中に外国為替を売却または購入することを約定する取引です。

デリバティブの対象となるもの

先に解説したとおり、デリバティブ取引は多様な原資産の値動きが取引の対象となります。たとえば、先物取引には穀物などの現物として存在する商品を扱う場合もあれば、株式や債券などの金融商品の値動きを対象とした商品も存在します。

他にもさまざまなデリバティブ取引を扱う商品が資産運用をする人のニーズに応じて考案され、資産運用の手段として提供されています。

デリバティブの活用シーン

デリバティブ取引を適切に利用することで、将来発生する可能性があるリスクを軽減する、リスクヘッジが可能です。

たとえば将来において、ある商品を購入する予定であるとします。その商品がこれから急激に値上がりするリスクがあった場合、あらかじめ先物取引において一定の価格で購入する契約をしておくことで、将来値上がりした場合も、事前に契約しておいた価格で購入できます。これを「買いヘッジ」と呼びます。

同様にある商品を売却する予定である場合に、将来の値下がりリスクに備えて一定の価格で売却する契約をしておくことを「売りヘッジ」と呼びます。

他にもデリバティブ取引では証拠金の払い込みだけで取引を開始できる場合もあるなど、原資産を直接やり取りする投資商品よりも比較的少額で取引を始められる場合もあります。

このようにデリバティブ取引はリスクヘッジができ、少額から始められる効率的な資産運用の手段として活用することができます。

ただし、リスクヘッジを行ったとしても、すべてのリスクを排除することはできません。取引で損失が発生した場合、その金額を支払う必要がある点に注意が必要です。

デリバティブ投資を行うメリット

デリバティブ投資を行うことで、以下のメリットを得られます。

レバレッジ効果がある

デリバティブ取引は開始時に証拠金を払い込むことで取引が成立するため、元手以上の取引も可能です。そのため、少額の投資でも大きなリターンを期待できる場合があります。
この効果のことを「レバレッジ」と呼びます。

ただし、利益だけでなく損失にもレバレッジがかかり、元手以上の損失が発生する可能性がある点には注意が必要です。

リスクを最小限に抑えた資産運用ができる

デリバティブ取引と株式などの原資産の取引を組み合わせることで、物価や為替の大きな変動リスクに備えられます。

たとえば、原資産の購入と同時に先物市場で購入とは反対の売り建ての予約をすることで、売却額を固定化して損失を一定額までに抑えられるようになるなど、工夫次第でリスクを最小限に抑えた資産運用が可能です。

夜間に取引ができる

一般的に、株式市場の取引時間は平日昼間の数時間に限られています。それに対してデリバティブ取引は夜間や休日にも取引が可能な場合が多いため(※)、平日昼間に取引を行うのが難しいという方でも、取引に参加しやすくなっています。

商品によって取引時間は異なります。

相場が下落局面でも利益を狙うことができる

株式などの現物(原資産)の取引は、相場が下落しているときに売買で利益を狙えません。
それに対して、デリバティブ取引は買いと売り双方のポジションで取引が可能なため、相場の下落局面でも売りのポジションを持つことで利益を狙えます。

デリバティブ投資を行うデメリットと注意点

一方、デリバティブ取引を行う際は、次のデメリットと注意点を認識しておく必要があります。

複雑な仕組みを理解する必要がある

デリバティブ取引には、商品や契約の内容が複雑なものも多くなっています。内容を正しく理解しないまま取引を行うことは、思わぬ損失を発生させてしまうことに繋がりかねません。

デリバティブ取引におけるレバレッジの効果は、少額で大きなリターンが期待できるという点では確かにメリットです。しかし、損失が出た場合にもその損失額が大きくなる仕組みのため、その場合はレバレッジの負の効果が生じ、デメリットにもなり得ます。

予想し得ない値動きをした際には想定し得ない損失を抱える可能性もあります。商品や契約の内容を適切に理解していなければ、これらの損失の予測は難しく、適切にリスク管理もできません。

適切なリスク管理がカギを握る

適切なリスク管理を行うためには、前述のとおり、取引の前に商品の内容について正しく理解しておく必要があります。

自分が投資した金額に対し期待できる利益の他、損失が出た場合にどの程度の損失が出る可能性があるのか、どこまでであればリスクとして許容できるのか、などを十分に検討のうえ、自身でリスク管理をできる範囲で取引を行いましょう。

まとめ

金融派生商品とも呼ばれるデリバティブの取引は、少額の投資で大きな成果が期待できるレバレッジ効果を得られるとともに、原資産の価格変動に備えるリスクヘッジにも活用できます。その反面、その複雑な仕組みを理解し、予想外の大きな損失が出る場合があることも把握しておく必要があります。

デリバティブ取引に興味を持った場合は、説明をよく読んで商品の内容を正しく理解して、自分が許容できるリスクを認識したうえで開始するようにしてください。

伊藤 亮太 氏写真

監修者

伊藤 亮太 氏
(サーティファイド ファイナンシャル プランナー®

伊藤亮太FP事務所代表。
個人の資産設計を中心としたマネー・ライフプランの提案・策定・サポート等を行う傍ら、資産運用に関連するセミナー講師や講演を多数行う。著書に『図解即戦力 金融業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)、『ゼロからはじめる!お金のしくみ見るだけノート』(宝島社)、『図解 金融入門 基本と常識』(西東社)など多数。

執筆者

サイトエンジン株式会社

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