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控えめに言って、控えめすぎる。今ある強みの「音量」を上げるだけでいい。

── 人口4万人の港町で、毎日5件以上、年間1,200件の経営の相談を受けている、荒川健生です。

今回は、あなたの大切な気持ち「届いてない」問題について。

■ 手紙を書くとき、最初に何を書くか

手紙を書くとき、最初に書くのは中身じゃない。
宛名だ。「〇〇さんへ」。

この一行があるから、届く。
どんなに美しい文章でも、宛名がなければポストに入れられない。
届け先が決まっていない手紙は、ただの紙だ。

事業も、同じだ。

「うちの商品はいいんです」
「素材にこだわっています」

それは手紙の中身だ。
でも、宛名が書いていない。
「誰に届けたいか」が決まっていない。

先日、相談に来た方がいた。
写真館をやっている50代の方だ。
「誰に届けたいですか?」と聞いたら、少し困った顔をして、こう言った。

「写真を撮りたい人、全員に。」

気持ちはわかる。自分の腕に自信がある。
たくさんの人に届けたい。
でも、「全員に届けたい」は、「宛名なし」と同じだ。

届かない。

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■ なぜ「全員に」だと届かないのか

理由は単純だ。
人は、「自分に言われている」と思わないと反応しない。

これは「カクテルパーティー効果」と呼ばれている。
騒がしいパーティー会場でも、自分の名前だけは聞こえる。
あの現象だ。

人間の脳は、「自分に関係ある」と感じた情報だけを拾うようにできている。

逆に言えば、「自分には関係ない」と思った瞬間、情報は消える。
目の前にあっても、見えない。
耳に入っても、聞こえない。

たとえば、駅前で誰かがチラシを配っている。
「皆さん、どうぞ!」と声をかけている。
たぶん、素通りする。
脳が「自分のことじゃない」と判断するからだ。

でも、「あ、そこの赤いバッグの方!」と言われたら、振り向く。
「自分のことだ」と脳が反応する。

もっと言うと、名前は最強だ。
自分自身、「荒川健生(けんせい)さん」と書いてあると、読む。
興味がなかった記事でも、自分の名前が入っていたら目が止まる。
名前とは、その人だけに届く「究極の宛名」だ。

「全員に」は、「皆さん、どうぞ」と同じだ。
誰の脳にも引っかからない。

だから、たった一人でいい。
宛名を書く。「〇〇さんへ」。
その一人に向けて書いた手紙は、不思議と、似た境遇の人にも届く。

「ペットとの時間を写真に残したい飼い主さんへ」と書けば、 犬を飼っている人も、猫を飼っている人も「自分のことだ」と思う。

一人に書いたはずの手紙が、100人に届く。
宛名が具体的であるほど、届く相手は増える。
逆説だけど、事実だ。

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■ あなたの強みの「音量」は、3のままだ

宛名を書いた。届けたい相手が決まった。
では、その手紙の中身はどうか。

テレビのリモコンを思い浮かべてほしい。
音量ボタンがある。
1から10まで。

ほとんどの事業者は、音量3くらいで話している。
自分の強みを「まあ、これは得意ですけど」と控えめに言う。

謙虚だ。富山の人には特に多い。
でも、音量3では、隣の部屋にすら聞こえない。

これも脳の仕組みだ。
人間の脳は「違い」にしか反応しない。

小さな違いは、違いとして認識されない。
音量3と音量4の差は、聞き分けられない。
でも、音量3と音量10なら、はっきりわかる。

控えめに言うと、「他と同じ」に聞こえる。
少しだけ強く言っても、差が小さすぎて脳が反応しない。
だから、音量を上げるなら、思い切って上げる必要がある。

さっきの写真館の方に、「何が得意ですか?」と聞いた。
「えっと……きれいな写真を撮ること……ですかね」。

小さな声だった。

でも、話を聞いていくと、こんなことがわかった。

この方のSNSで一番反応が多いのは、ペットの写真だった。
しかも、こんな反応も複数ある。
「うちの子はもういないけど、この写真だけは宝物です」。

ペットの寿命は短い。飼い主はそれをわかっている。
でも、プロに撮ってもらう人は少ない。
「たかがペットの写真」と思っている。

この方は、ペットの目線の高さまでしゃがんで、床に寝転んで撮る。
飼い主が見ている顔ではなく、ペットが飼い主を見ている顔を撮る。

これは音量3で言う話じゃない。

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■ 音量を上げるのに、新しい強みはいらない

大事なことを言う。
音量を上げるとは、「新しい強みを見つける」ことじゃない。
今ある強みの伝え方を変えるだけだ。

3つ、事例を出す。

①「おいしいコーヒーを出します」。音量3。
「注文を受け、1杯ずつ、90秒かけて淹れます」。音量10。

② 「丁寧に施術します」。音量3。
「一人に3時間。うちは1日2人しか受けません」。音量10。

③「経験豊富な税理士です」。音量3。
「飲食店だけを300社見てきた税理士です」。音量10。

全部、事実は同じだ。 変わったのは、伝え方だけ。

音量3の言葉は、「ふつう」に聞こえる。
音量10の言葉は、「映像が浮かぶ」。

「丁寧にやります」と言われても、何も見えない。
「1日2人しか受けません」と言われると、あの静かな空間が見える。

音量を上げるとは、相手の頭に映像を映すことだ。
かっこいい言葉じゃない。
具体的な言葉。数字。場面。時間。
それが音量のダイヤルになる。

謙虚さと、伝わらなさは、違う。
控えめに言うことが誠実だとは限らない。
届かなければ、存在しないのと同じだからだ。

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■ 宛名を書いて、音量を上げる。それだけでいい。

さっきの写真館の方と、一緒に考えた。

「届けたい相手は、誰ですか?」

「……ペットと暮らしていて、いつかお別れが来ることをわかっている人」。

宛名が決まった。

「その人に、何を言いますか?」

「あの子が関連に見てくれていた顔を、一枚に残します」。

音量が上がった。

やったことは2つだけだ。 宛名を書いた。
音量を上げた。
商品は何も変えていない。強みも変えていない。

でも、届く範囲が変わった。

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■ 明日からできる、2つのこと

読んで「なるほど」で終わると、何も変わらない。
だから、明日できることを2つだけ書く。

【ひとつ目】
お客さんの中で、一番喜んでくれた人を思い出す。

その人の顔を浮かべてほしい。
年齢、性別、どんな悩みを持っていたか。なぜ、喜んでくれたのか。

その人が「宛名」だ。

チラシを書くときも、SNSを書くときも、その人に手紙を書くつもりで書く。
「皆さんへ」ではなく、「〇〇さんへ」。
たったこれだけで、言葉が変わる。

【ふたつ目】自分の強みを、「数字」か「場面」で言い換える。

今、自分の強みを一言で言ってみてほしい。
たぶん、「丁寧」「こだわり」「安心」のどれかが入っている。

それを、数字か場面に変換する。

「丁寧にやっています」
→「1つの工程に、普通の3倍の時間をかけています」
「こだわりの素材です」
→「隣の県まで車で2時間かけて仕入れに行っています」
「安心のサポートです」
→「購入後3ヶ月間、何度でもLINEで相談できます」

数字が入ると、映像が浮かぶ。
映像が浮かぶと、記憶に残る。
記憶に残ると、人に話したくなる。

この連鎖が、「紹介」を生む。

宛名を書いて、音量を上げる。
やることは、この2つだけだ。
新しい商品はいらない。新しい強みも必要ない。

あなたの強みは、もうそこにある。
足りないのは、新しい何かじゃない。宛名と音量だ。

たった一人に向けて書いた手紙が、100人に届く。
明日の朝、あの人の顔を思い浮かべるところから始めてみてほしい。

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追伸
美容院で、「いい感じで」と言った。美容師さんが一瞬固まった。
それ、「全員に届けたい」と同じ構造だ。
宛名なしの注文。
「届けたい相手を決めましょう」と毎日言っている人間が、自分の頭は「いい感じで」で済ませている。反省。

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コメント

4
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xiushu53

音量の10は映像が浮かぶレベルというたとえが、とてもわかりやすかったです!

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荒川健生|年間1200件の経営相談|富山・氷見 いいね
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コメントありがとうございます! いつもかみ砕いて表現できることを気を付けているので嬉しい感想です。 是非、他の記事でも感想があれば教えていただけると嬉しいです^^

SAY|実務で使うAIノート🌸のプロフィールへのリンク

つい「みんなに届けたい」と思ってしまいますが、だからこそ誰にも刺さらなくなるんですよね。自分の強みをちゃんと必要な人に届けるために、まず一人の顔を思い浮かべることから始めたいと思いました。

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荒川健生|年間1200件の経営相談|富山・氷見 いいね
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SAYさん、コメントありがとうございます! おっしゃるように、ついみんなに、、、そして、みんなに届けるも大事です。 ただ、ぼやけてしまうので、一人からが具体的にいい記事、いい仕事になると思っております。その後に、対象を広げていくイメージですね。

控えめに言って、控えめすぎる。今ある強みの「音量」を上げるだけでいい。|荒川健生|年間1200件の経営相談|富山・氷見
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