小学校英語が教科化されて6年。中学校の現場では、「英語嫌い」が目立つようになった。教師と生徒へのアンケートで浮き彫りになった厳しすぎる現状とは。AERA 2026年6月8日号より。
【気になるデータ】中1の冬の時点で4割がbe動詞の否定文を理解していない(グラフ)
* * *
4月最初の授業を、いつも楽しみにしていた。都内で30年以上、英語を担当している教師はそう振り返る。ほとんどの子どもが英語を習うのは初めてで、期待に満ちた目はキラキラしていた。教室も活気に満ちたものだった。
小学校で英語が教科化されて6年が過ぎた。教室の景色は一変した。中学校入学時に、学力と英語を学ぶ意欲がすでに二極化しているからだ。英検準2級をもって入学してくる生徒がいる一方、アルファベットがおぼつかない生徒もいる。
このような差がある生徒を一から教えるだけでも大変なのに、ここに「小学校700語問題」が影を落とす。小学校の英語教科化以降、中学校で習う単語は激増した。以前の学習指導要領では1200語だった新出単語は、1600~1800語になった。しかも、小学校で扱った約700語は入学前に習得済みとされている。ただ、小学校によって教え方にばらつきがあり、そもそも小学校では単語の習得を目的としていないため、重要単語700語がすっぽりと抜けたまま中学1年生になってしまっている生徒も少なくない。
英文の構造に戸惑う
このような状況を受け、授業づくりを研究する英語教師の団体「新英語教育研究会(新英研)」は、2025年12月から26年1月にかけて、中学1年生(現2年生)770人、教員59人に実態調査を行った。この結果から、現在の中学1年生と教師が置かれた状況を見ていく。
まず、「英語嫌いが増えた」というのは本当か。
「英語についてどのように思っていますか?」に対する回答は、「好き」「どちらかと言えば好き」を合わせると46.3%、「どちらかと言えば嫌い」「嫌い」を合わせると30.6%、「好きとも嫌いともいえない」は23%だった。およそ3分の1の生徒が1年生の時点で英語嫌いになっているものの、約半数は英語が好きという気持ちを持っている。
では、生徒は授業の内容をどう捉えているのか。「中学校の教科書に出てくる英語の文について、当てはまる項目を選んでください(複数回答)」では、半数を超える生徒が「日本語への訳し方が難しい(56.5%)」と答えている。また「量が多いと思う(41.4%)」「英語の文の仕組みがわからない(35.2%)」が続く。
長年埼玉県内の中学校で英語を教えてきた「新英研」の大栗健二さん(74)はこう語る。
「小学校の音声中心の学習で英語の音に慣れている生徒は多い。一方複数の英文に初めて接し、英文の構造も意味もよく分からないために、中学英語の学習に戸惑い、分からなさを引きずったまま入門期を過ごす生徒も多い」