AERA 2026年6月8日号より
AERA 2026年6月8日号より

4割が誤った選択肢を

 英語の理解度を実際の文で見てみよう。特筆すべきは否定文だ。「私はオーストラリア出身ではありません」という意味の英文を一つ選ぶ問題では、正しい選択肢を選べた生徒は6割に届かなかった。少なくとも中学1年生の1学期には習得したはずの「be動詞の否定文」という基礎的な内容を、1年生の12月の段階で4割の生徒が理解していないということだ。

 実は中学校英語で増えているのは、単語の数だけではない。これまで高校で習っていた文法が中学校の教科書に登場するようになり、文法の負担も増えている。

 先のアンケートの生徒たちの自由回答を見ると、「知らない単語がたくさんあるのに新出単語ではないことにびっくりする」「文をつくるときに、IsやDoをどのようにつけたらいいか区別がつかない」「1年の中で覚えることが多すぎる」「小学校と比べていきなり難しくなった」という戸惑いの声が上がっている。

 小学校から英語を学んできた生徒たちが、基礎的なことも学べていないのは、なぜか。ここに中学校の教科書の問題が横たわっている。「最初の単元で習う英文に、文法事項が多く含まれている」「小学校単語が『既習』となっている」ことが大きいようだ。

第1課から多様な文法

 アンケートに寄せられた教師の生の声を見ていこう。

「もっと余裕をもった教科書のつくりにしてほしい」「小学校単語は既習語となっているが大半の生徒は聞いたことがある程度。読めないし、発音もできない」「be動詞、一般動詞だけでなく、多様な文法が教科書の第1課に出てくることが混乱を招いている」「新出の文型は『使いながら学ぶ』と言われているが、どのタイミングで文法をおさえればいいのか悩む」「リスニングで導入する形態の教科書で、本文に文字として一切出てこない新出単語が結構ある」

 教科書の印象を教師に聞いたアンケート(複数回答)では、「内容が多く、扱いにくい(66.1%)」が突出しており、次に「教科書本文の内容が難しい(42.4%)」「授業が進めにくい(30.5%)」と続く。

 小学校英語が教科化される前の教科書(「NEW HORIZON」2015年3月検定済み)と、現行の同シリーズの教科書(24年3月検定済み)の巻頭にある三つのユニットを筆者が比較してみたところ、違いは明白だった。

 15年版は三つのユニットをbe動詞と一般動詞で分けている。さらにbe動詞は2回に分ける念の入れようだ。

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