⑧ 高かったブランド品や、未使用の高そうな贈答品

 青春の思い出はないが、もったいないとの未練が断ちがたいのが、これらだ。出番は来ないとわかっていても、金額の数字がちらついて簡単に手放せない。そして延々とクローゼットや収納庫の場所を占拠し続ける。

 しかし、価値があると思うから手放せないのであり、第三者から見るとそれほどでもないこともある。中古品買い取り業者に持ち込んで、現実的な買い取り金額を教えてもらえば未練もすっきり消えるかも。使わないものはいずれは処分される運命なのだから、買値がつくうちに手放した方がよほど「もったいなくない」はずだ。

未来の負担となるものを減らせばムダ出費も消える

 実家じまいに関する調査を見ていると、処分費用が数十万円というのは珍しくないようだ。どんなに思い出深いものでも、他人にとってはゴミでしかなく、大きな負債になりかねない。

 年齢とともに自分の持ち物を管理できる能力は衰えていき、何もしなければ新しいものが増えていく一方だ。モノが増えて掃除が大変になれば、家事代行などの有料サービスを頼むことにもなるし、躓いて転倒するなどの健康リスクも増える。

 入院するはめになって契約していた保険の証券を探そうとしても、片付いていなければ探すのも一苦労だ。モノが多くて片付けきれない家は、余計な出費を生んでしまう。

 ものが減れば小さな家に引っ越すこともでき、そのぶん住居費を減らせるかもしれない。金融機関や保険関係の書類も整理されていれば、請求や問い合わせもスムーズだ。資産管理や相続の相談もしやすくなる。何より、捨てる作業を続けるうちに、自分にとって大事なもの、残しておきたいものがはっきりしてくるだろう。

 老後に向かって、自分は何をしたいのか、どんな人生の第二幕にしたいのか。その目標が定まれば、お金との付き合い方も変わってくるはずだ。時間もお金もムダに使っている場合ではない。

(松崎 のり子:消費経済ジャーナリスト)

こちらの記事もおすすめ 「こんなはずじゃなかった…」70歳で家計が破綻してしまう人の特徴 なぜ健康で蓄えある男性が年金「繰り下げ受給」の目論見を誤ったか
[AERA最新号はこちら]