[ミステリークイズ] 2030年6月2日。 栃木県日光市の林道付近で若い女の遺体が発見された。女の死因はロープで首を絞められた絞殺による窒息死で、死亡推定時刻は発見の前日の17時から18時までの間だった。 この日、2030年6月1日の15時52分頃から18時6分頃は日本全国で数年ぶりの日食が観測されており、何者かによって犯行が行われたのは、まさにその天体現象により世間が沸き立っている最中だった。 殺された女は金に対しての執着が強く強欲な人間で、日頃から男に対して色仕掛けや言いがかりによる脅迫まがいの行為をして金を巻き上げるという事を何度も繰り返していた。 警察は、その線から捜査を進めると過去に女から被害を受けた人物は何人も見つかったが、その中でも特に大きな被害を受けて借金を苦に自殺する事になった人物の存在も浮かび上がり、警察はその人物の兄である男(X)を最重要容疑者として目をつけた。 警察は東京に住むXの自宅を訪ねて、Xに被害者の女が殺された6月1日の17時から18時の間のアリバイを尋ねると、Xは自分は天体観測やアナログカメラによる写真撮影が趣味で、その時間は東京スカイツリー付近の東側から日食中である太陽と東京スカイツリーを撮影していたと証言した。さらにXはアリバイの証拠として、自分自身を被写体にして見上げるカメラアングルで、背景に日食中の太陽と、その日食の夕日が当たっている東京スカイツリーが遮蔽物などの影に遮られることなく綺麗に映っている銀塩写真を警察に提出する。 警察はXのアリバイ写真の偽造を疑って入念に調べたものの一切の加工はされておらず、また専門家に写真を見せて日食の時間を確認したところ、専門家は「この写真は日食が最大となる17時4分頃の太陽の欠け方と完全に一致している」と証言した。 東京スカイツリーから栃木県の日光市の犯行現場まではどれだけ急いでも2時間以上はかかるため、17時4分に東京スカイツリー付近にいたXには、死亡推定時刻が17時から18時の間の被害者の女を殺害することは絶対に不可能だった。 そのため警察は釈然としないながらもXの証言を認め容疑者の中から除外せざるを得なかったが、刑事の1人が秘密裏に、この事件の詳細を知り合いの探偵に相談すると、その探偵は刑事が用意したアリバイ写真の複製を凝視しながらしばらく頭を悩ませた。けれど、やがて探偵は、綺麗に光が当たっているスカイツリーに注目してから急に何かを閃いて椅子から勢いよく立ち上がると、刑事の驚いたリアクションにも構わずに勝手にアリバイ写真を持ち出して部屋から出て行き、どこかへ行ってしまった。 刑事は探偵の性格をよく知っているため追いかけることはせず、そのまま連絡を待っていると、2日後に刑事の携帯電話へ探偵から連絡が来たため、刑事が今まで何をしていたのか尋ねると、探偵は「東京スカイツリーと栃木県の日光市へ観光旅こ…、いや、調査に行っていました」と答えた。 刑事は探偵の態度に呆れて溜め息をついたが、刑事の心境を察した探偵は急に真剣な口調になると「でも、ご心配なく」と告げてから、さらに言葉を続けた。 「ーー犯人のアリバイは崩れましたよ。X はある方法を使って栃木県にいながら日食中のスカイツリーの写真を撮ったんですよ」と断言した。 ーーさて、問題文は以上となりますが、これらの手がかりを元に、あなたに、この謎を解明することができますか? 犯人のトリックを解き明かし、その方法を説明してみてください。