村上世彰氏の長女・野村絢氏がヤマダデンキ7位の株主に浮上、エディオンとの経営統合が円滑に進まない恐れも

村上世彰氏の長女・野村絢氏がヤマダデンキ7位の株主に浮上、エディオンとの経営統合が円滑に進まない恐れも

物言う株主で知られる野村絢氏が、家電量販店ヤマダデンキを運営するヤマダホールディングスの株式2.16%を取得し、7位の大株主になっていたことが明らかになった。保有比率は創業者の山田昇氏と同氏の記念財団に次ぐ水準であり、影響力は大きい。

野村氏といえば、その剛腕ぶりで有名だ。フジ・メディア・ホールディングスが一連の不祥事で揺れた際、父親の村上世彰氏とともに株を買い進め、不動産事業を3500億円で買収する意向を示したことで知られている。フジの不動産事業は会社の収益基盤として、極めて重要度の高いものだ。

フジは村上氏の投資会社が保有する議決権行使を禁じる仮処分の申し立てを行い、東京地方裁判所が2日にこれを認めた。野村氏も議決権行使を行わないことで和解が成立したようだ。

一方、フジは不動産事業に外部資本を導入する方針を示した。ROEを高める狙いがあり、2350億円という超巨額の自社株買いを実施。結果として、村上氏や野村氏などの物言う株主の主張に沿う部分もあった。

野村氏は業績の停滞感が漂う近鉄グループホールディングス、不適切会計に揺れるエア・ウォーターなど、名だたる企業の株式を次々と取得している。その中にヤマダホールディングスが入っていたわけだ。

ヤマダは2015年ごろ、旧村上ファンドの出身者が立ち上げた物言う株主エフィッシモ・キャピタル・マネジメントに狙われたことがある。エフィッシモは一時、筆頭株主に躍り出た。ヤマダは金融やリサイクルなどの事業の多角化を進めており、2011年にはエス・バイ・エルを買収して住宅販売事業にも手を伸ばしていた。

フジもそうだが、事業を多角化するとコングロマリットディスカウントという市場から正当な評価を受けづらい状況に陥りがちだ。そのような会社に目をつけ、不採算事業や資産の売却を迫り、企業価値向上を図ったうえで株主還元を要求するのは物言う株主の常とう手段である。

エディオンとの経営統合も前途多難か

ヤマダホールディングスは、エディオンとの経営統合を検討していることが明らかになった。売上高は単純計算で2.5兆円に達し、巨大小売チェーンが誕生することになる。

2024年の国内家電市場は前年比1.1%の減少で、2020年をピークに市場は縮小傾向が続いている。仕入れや配送、人材教育の合理化を目的とした再編が進みやすい業界であり、ヤマダとエディオンの経営統合はスケールメリットが得られそうだ。しかし、ヤマダの大株主に野村氏がいる限り、交渉はスムーズには進まないのではないか。

ヤマダの業績は停滞感が漂っている。家電市場がピークに達していた2020年度は9%近い増収で、営業利益は前年度の2.4倍に膨らんだ。しかし、その後は3期連続の減収、営業減益だった。直近の2025年度も営業利益は6割以上減少している。

ライバルのノジマは5期連続の増収、2期連続の営業増益だ。今期も増収増益を予想している。

ヤマダはテレビや冷蔵庫、洗濯機といった主力家電の売上が振るわない。しかし、人件費は上昇しており、利益が出づらくなっている。2025年度は在庫処分も行った。一方、住宅販売やリユース事業の業績は堅調だ。ヤマダの現在の状況にフジの事例を重ねると、本業に経営資源を集中して立て直しを図るべきであり、周辺事業は切り離すべきだ。物言う株主からそのような提言が出ても不思議ではない。

ヤマダはすでに資産効率重視の経営への転換を掲げており、資産ポートフォリオの再編・構造改革を加速してPBR1倍割れを回避するとの方針を打ち出している。ノンコア・低収益資産の整理として、約1300億円規模の資産の売却を進めるという。

物言う株主との対立が本格化する前に、どれだけ資産の整理に踏み込めるかがポイントになりそうだ。

文/不破聡 内外タイムス

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