過去100年の中ロ関係史が逆転した
近藤: ソチ冬季オリンピックの時は、中国側も、「超多忙なプーチン大統領が開会式前日、真っ先に習主席と会った」と大々的に報道するなど、前年の「感激ムード」が続いていました。
当時、習主席が最もライバル視していた安倍首相は、プーチン大統領と開会式翌日のランチ会談を行ったので、「日本に勝った」と誇示したわけです(笑)。
廣瀬: しかし、3月にロシアがクリミア半島を併合し、欧米や日本などが対ロシア制裁を発動すると、中国が「救世主」のようになっていきます。特に大きかったのが、同年5月に中国と交わした天然ガス契約でした。ロシアが中国に、30年間で計4000億ドルの天然ガスを売るという、中ロ関係史上、最大規模の契約を交わしました。
近藤: 上海で開催したCICA(アジア相互協力信頼醸成措置会議)ですね。これは習近平主席が初めて主催した国際会議で、プーチン大統領がメインゲストでした。
私はこの時から、習近平主席がプーチン大統領に、「優越感」を抱くようになったと見ています。中国が事実上、ロシア経済の命脈を握るようになったからです。
廣瀬: 同感です。この天然ガスのプロジェクトは、紆余曲折がありましたが、2019年12月から始動しています。
翌2015年5月には、プーチン大統領が習主席を、再びモスクワに招待しました。ロシアの対独戦争勝利70周年の軍事パレードを、仲睦まじく並んで閲兵しています。この時の首脳会談は、二人にとってすでに11回目でした。
近藤: 同年9月には、習主席も北京で抗日戦争勝利70周年の軍事パレードを行い、プーチン大統領と並んで、というより従えて、天安門の楼上で閲兵しました。この頃になると、「習近平>プーチン」、もしくは「中国>ロシア」という中ロ関係が、顕著になっていきましたね。これは、過去100年の中ロ関係史の逆転を意味するものでもありました。
廣瀬: プーチン大統領としては、面白くない展開でした。そのため、近藤さんとの共著でも詳細を話しましたが、2018年9月に極東のウラジオストクで開いた東方経済フォーラムで、ささやかな「仕返し」をしています。
この時、プーチン大統領と習近平主席が揃って、エプロン姿でプリヌイ(ロシアのパンケーキ)を焼くパフォーマンスを行いました。その後、プーチン大統領が蜂蜜を売っている屋台を指さして、「ロシアの蜂蜜はおいしいからプレゼントしよう」と言って、蜂蜜を習主席に渡した。当時、習主席は「くまのプーさん」と隠語で呼ばれていたため、「大好物の蜂蜜をお食べ」と、嫌味で渡したわけです。
近藤: その映像が世界に拡散したせいで、中国国内のネット上では、「くまのプーさん」が閲覧禁止になりました。私はそれまで、「くまのプーさん」をよく知らなかったのですが、改めてそのキャラクターを見ると、習主席そっくり(笑)。