賢者候補と待ち人
ここのイライラしてるスバルくんを見て苦言を呈す者が居ないかが不安です……
アニメは心情描写が少ないので、スバルくんの気持ちを理解してもらえないのではないかと……
シャウラが出ると明るくなっていいですね
かわいい
爆速更新がどこまで続くか……
あとは春風のやる気次第です
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『――ルス。バルス。しっかりしなさい』
『げほっ、えほっ……!』
『……目覚めたかと思ったらいきなりそれ?情けないわね――噛むんじゃないわよ』
『……!?ぉ、えぉっ』
『バルスの不器用は筋金入りだと知っていたけど、ここまでだと赤ん坊同然ね』
『その……みんなは……』
『――そんなに自分を責めても無駄よ。誰の責任か、なんて追及することに意味なんてないわ。そんな時間の無駄より、優先すべきことがあるはずだわ』
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「──戻っ、てる」
エミリアが、安堵したように息を吐く。
スバルもいつもの優しい顔に戻っているし、ラムもいつも通り──いつもより少しだけ暗い顔をしているけど、いつものように優しい顔をしている。
「よかっ、た……」
もし戻っていなかったら、なんて、エミリアたちのもとに帰ってきたスバルたちは戻っていたのだから有り得ないのだけれど、少しだけエミリアは不安だったのだ。
「────」
ラムが、桃色の髪に瞳を隠して俯く。
「──これなら、最初の道の方がマシだったわね」
仲間割れだなんて、最悪だから。
「覚えている会話だし、もうあんなことにはならないのだろうけど」
少しだけ安堵したことは、心の内にしまっておこう。
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『馬鹿か、俺は……いや、馬鹿だ俺は』
『そうだよ。レムだってラムだって、最初は……さ』
『そうだ。そうだろ。……そのはず、なんだ』
『説明しづらいのをどうにか説明すると……ちょっと今、被害妄想が激しい』
『さっきから嫌ぁな風が流れてくるんは感じてたけど……原因がわかったわ』
『この悪い風が不和を呼ぶ。メィリィの話だと、バルスの体臭は魔獣を呼び寄せるそうだし、元々、相性が悪い……いえ、良いのかしらね』
『で、どっちに進むんが正解やと思う?』
『──左』
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「被害妄想……全く、難儀なものかしら」
部屋の後ろに設置されているスピーカーから、スバルの心の声が聞こえる。
それを聞く限り、アナスタシアやラムへのトゲトゲした気持ちは健在のようだ。
本人すらもそれがおかしいと理解できているのが救いであるが。
「本当に、聞いているこっちも気が滅入るのよ。瘴気というのは、本当にどうしようもなく嫌なものかしら」
こんなものが大量にある場所にいては、そりゃあおかしくなるだろう、と思う。
「──最悪なのよ」
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『まず、必要なのは相手の情報だ。推測通りなら、可能性はある』
『死ぬんじゃない、バルス! レムが泣くわ!』
『――インビジブル・プロヴィデンスぅ!!』
『──見つけた』
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ケンタウロス、とスバルが呼ぶそれのビジュアルの気持ち悪さと、延々流れるスバルの苛立ちと──それから、レムが泣くから、とスバルを守るように立つラムの姿。
それら全てを吹き飛ばすように、白光が突き刺さる。
「見つけた、って……」
菜穂子が目を白黒させてスクリーンを見つめる。
スバルの苛立ちも聞いていてすごく不安になったけれど、それ以上に──
「あの子、誰……?」
サソリをモチーフにしたような見た目。
瞳に怪しく光る赤い模様と、露出の多い服装が印象的な少女だった。
「味方、なの?」
それより、あの光は、どこかで見た気がする。
「あの光……」
賢一が、やや考え込むように瞳を伏せ、やがて思い出す。
「砂丘で、スバルたちを狙った光か?」
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『ずいぶんと、浮かれきっているようなのデス』
『まったく冗談じゃないよね。ちょっとばかり運が良かったぐらいで勝ち誇って、その後も調子に乗られっ放しじゃたまらないよ。図々しいにも程があるっていうかさ。もうちょっと、自分のことを客観的に顧みてほしいんだよね。そうしたらさ、自分がどれだけ厚顔無恥なことをしてるかわかりそうなものだってのに』
『──愛してる』
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「──これは……」
ロズワールが、スクリーンに映し出された光景に瞳を細める。
『強欲』と『怠惰』。
いずれも、スバルが討伐に貢献したものだ。
それらがスバルの意識世界に現れた。
恐らくは、偶然の産物であろうが。
そして、愛を囁く──『嫉妬の魔女』。
「監視塔にも、君にも──避けては通れぬ因果があるということ……だろうねーぇ」
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『……ここ、は?』
『ぁ、は……エミリア、だよな?これ、無事に……』
『スバルや姉妹の姉が見当たらなくて、ベティーたちの方がよっぽど肝を冷やしたかしら。生きた心地がしなかったのよ』
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「ほんッと、良かったぜ、大将……」
さっきより顔色は悪いが、顔つきは良くなっている。
本当に良かった。
スバルがあんな風にイライラしているのを見ると、なんだか少しだけ悲しい気持ちになる。
「俺様は信じてッからなァ!大将!」
「全く……ガーフィールほどじゃないですけど、僕も安心しました」
ガーフィールが手を掲げて騒ぐから、オットーも肯定の意を示す。
それほどに、さっきの映像は衝撃的だった。
普通に死ぬよりもずっと嫌なものを見た気分だ。
「普通に死ぬより……なんて、嫌な考え方ですね。やめましょう」
そう自分を縛める。
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『……大丈夫かしら。それで全員なのよ。ベティーが忘れていて、スバルだけが覚えてる誰かがいるなんてこと、ないかしら』
『……そう言えば、あの変な疑心暗鬼、抜けてるか?ベア子は……いつものベア子だ。エミリアも、いつも通り可愛い』
『スバル、まだ具合が悪かったり、体調に不安があるなら寝てていいかしら。急いで起きる必要はひとまずないのよ。試験はベティーたちだけでどうにかするかしら』
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「瘴気の影響は消えたようですな……安心致しました」
ヴィルヘルムがそう言えば、フェリスも顎を引く。
「ほんと、瘴気まであるなんて……賢者様って相当性格悪いんだネー」
やや刺々しく言うのは、本当に嫌なものを見たからだろう。
「それには、同感ですね……あの光といい、本当に、嫌な仕掛けばかり……」
クルシュもそれに同意を示す。
何より、あの女性が気になるところだが──
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『――プレアデス監視塔。あの砂丘の果てにあった監視塔、その中にベティーたちはいるのよ』
『スバルたちと違って、『砂風』の割れ目に呑まれたベティーたちは無事だったかしら。あの花畑とも違う場所に飛ばされて……一緒にスバルたちがいなかったことがわかったときの方が、よっぽどみんな青い顔していたのよ』
『プレアデス監視塔の第六層……まぁ、最下層ってことかしら。砂海から見える塔の外見からだと、第六層は地下に埋まってる部分になるらしいのよ。砂の上に出るのは第五層から……といっても、あんまり区別はつかないかしら』
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「プレアデス……」
菜穂子が、賢一と目を見合わせる。
「やっぱり、なにか関係があるのかしら……?」
「分かんねえけど……星の名前に拘ってるのは確かだな。サテラ、ってのもサテライト……衛星から取ってる可能性があるし」
魔女教やそれに関するものはほとんど星の名を冠することからも、何かしら関係はありそうだが。
「──変なことに、巻き込まれちゃってる」
スバルは、サテラとも魔女教とも関係なんてないのに。
「賢者ってどんな人なんだろう……」
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『マズいかしら。スバル、下がるのよ――!』
『……お前が、『賢者』なのか?』
『……三つ』
『へ?』
『ま、それはいっか。そんなことより、見つけた』
『ええ、と?』
『──お師様』
『……は?』
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「お師様……」
その響きに、ラインハルトが目を瞬かせる。
「ほんまおもろいなあ?ナツキくんは本当に退屈せん子やわあ」
アナスタシアがけらけらと笑うが、エミリアとベアトリスはずん、と暗い顔だ。
「悪い奴ではないのよ。ただ、少し……ロズワールよりもタチが悪いレベルの喧しさを持つというだけかしら」
「それってすごく鬱陶しいってことお?」
「はっきり言い過ぎですわ!」
「姉貴もだッぜ……」
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『いや、悪いけどたぶん人違いとかそういう類の……むぐっ!?』
『お師様ぁ!もうもうもう!待ってたッスよ~!お師様!お師様!長かったッス!寂しかったッス!もうずっと、このまま近付く奴らを狙撃するだけの人生かと思ったッス!』
『ま、待て!待て待て!なんだ!?何の話だ!?』
『なんだってひどいッスよぉ!お師様が命令したんじゃないッスかぁ。祠に近付く奴らの邪魔をしろって……方法はまぁ、別ッスけど』
『じゃなくて、俺がお師様!?何を言ってやがる!?お前、とにかく、離れろ……話にならねぇ……!』
『いやッス!絶対にいやッス~!そんなこと言って、また目ぇ離した隙にいなくなるつもりに違いないんス!お師様変わってなさすぎ!』
『知るかぁ──!!そもそも、お前は誰で!なんなんだ!』
『何を言ってるッスか!シャウラッス!プレアデス監視塔の星番!お師様の可愛い教え子のシャウラッスよぉ!』
『覚えがねぇ――!』
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「お師様!?」
がんっ、と菜穂子と賢一が声を揃えて叫ぶ。
「異世界転移した息子が賢者の師匠になってる!」
「言ってる場合じゃないわ!どう……お師様って何!?」
きゃあきゃあと騒ぐ菜穂子を見て、エミリアも焦りが伝染する。
「確かに……スバルはスバルなのに!」
「エミリアは監視塔にいたから知っているはずなのよ!?焦りに流されるんじゃないかしら!」
「はっ……そうだった!!」
ベアトリスは思う。
「スバルのお母様は……エミリアの強化版のような感じなのよ……?」
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『――大変!大変よ!起きたらスバルがどこにもいないの!みんなに急いで知らせて、探しにいかなきゃ……』
『エミリア……たん!起きてくれて助かった!実はこいつが……』
『えい』
『痛い!?エミリアたん、なんで今、俺蹴ったの!?』
『よくわからないけど、すごーくもやもやしたの』
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「シャウラとスバルすごーく距離が近かったから……驚いちゃっただけだもん」
「嫉妬なのよ?」
「ハッキリ言っちゃ可愛そうよお、ベアトリスちゃん」
「エミリアちゃん、昴のことが……?」
「賑やかで、何よりだね」