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命を刈り取る光/Novel by 春風

命を刈り取る光

2,199 character(s)4 mins

次回!
砂に散る!
明日更新!

1
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『エル・ヒューマ!!』
『は、走れ走れ走れ走れ走れ走れ――ッ!!』
『――スバル!ボーっとしてる暇はないのよ!ミーニャ!ミーニャ!もう一発、ミーニャかしら!』
『とっておきのお、砂蚯蚓!!』
『――バルス!死ぬ気で走らせなさい!死にたくなければ!』
『このまま真っ直ぐじゃダメだ!ラム、道を変えろ!』
『――っ!何を言い出すというの?監視塔は正面、周囲は魔獣の縄張りよ!』
『それはもっともなんだけど、それじゃダメなんだよ!』
『バルス、何に気付いたの!はっきり話しなさい!』
『はっきり説明できたら苦労はねぇよ!とにかく、進路変更だ!』

​───────​───────​─────

「──っ!まただめ、この会話も覚えてない……!」
エミリアが、悔しそうに唇を噛む。
「スバル……」
エミリアが覚えていないということは、スバルしか知らない世界ということだ。
それはつまり、スバルが死んでしまうことを意味していて──
「──だめだわ、嫌な方にばっかり考えちゃう」
いつもならこうはならない。
でも、この部屋は変なのだ。
まるで、エミリアたちが追い詰められてぐちゃぐちゃな考えになるよう誘導しているようで、なんだか少しだけ気分が悪い。
「苦しまないで、スバル」
スバルには死んで欲しくない。
仮にそうなってしまうのなら、なるべく苦しまないで欲しいのだ。
「信じてるけど……スバル、無茶するから」
世界も、もう少しスバルに優しくしてくれたらいいのだ。
そうしたら、エミリアも少しくらいは安心してスバルの頑張りを見られるのに。

​───────​───────​─────

『逆走する!『砂時間』をもういっぺん潜った方がマシだ!前の砂丘に戻るぞ!』
『さっきから何を馬鹿なことを……』
『ラム!スバルの言う通りにして!スバルが何の考えもなく変なこと言い出すなんてありえないから!』
『バルスは日常的に妄言と戯言を垂れ流して生きています』
『スバルが危ないときに何の考えもなく変なこと言い出すなんてありえないから!』

​───────​───────​─────

「お兄さんったら、信じてもらえてるのかどうか分からないわねえ」
メィリィがケラケラと笑えば、ベアトリスがそのクリーム色の髪を振ってそちらを見る。
「スバルが信じられていないなんてことはありえないのよ。ただ──少し、ほんの少し、普段の発言に整合性と知性が欠けているときがあるだけで」
「ベアトリスちゃんって、なかなか言葉が鋭いのかしらあ?」
「その通りだとも、ベアトリスはいつも厳しい」
「それはお前にだけかしら、この変態ピエロ」
ロズワールにだけはベアトリスの言葉が強くなる。
照れ隠しか、それとも八つ当たりか。

​───────​───────​─────

『あぶ、あぶ、危ね、危ねぇ!』
『スバル、マズったのよ!今ので、向こうの竜車と逸れたかしら!ベティーたちしかいないのよ!』
『んだと!?』

『ベア子、パトラッシュにムラクだ!重さを軽くして、群れの頭を越える!』
『──!ムラク!』
『光っ──!?』

​───────​───────​─────

「な、なんなのこれ……」
フェリスが顔を顰めてスクリーンを睨む。
圧倒的な暴力を孕み、光の速度でそれは来る。
「魔獣があんな風に……」
あんなのを喰らえば、ひとたまりもない。
たとえフェリスの治癒魔法を持ってしても、命を繋ぎ止める事は叶わないだろう。
「こんなの、どうしようもない……」

​───────​───────​─────

『ベアトリス!シャマクだ!周りにいる魔獣の認識を誤魔化す!』
『今!?それをしても時間稼ぎにしかならないのよ!それに……』
『今はその時間が必要だ!急げ!』
『――っ!エル・シャマク!効果範囲の外の奴らが入ってきたら、いずれ荒らされるかしら。その前にその地竜を連れて脱出するのよ!』
『わかってる!ムラクの効果はまだ残ってるな?それならパトラッシュを俺が担いで、とにかくシャマク連発して向こうの竜車に合流を――』
『──スバル!』

​───────​───────​─────

「ベアトリスちゃん……!」
ベアトリスが刹那の判断でスバルの真横に魔法壁を展開させる。
そのおかげで、白い光は逸らされたが──、
「威力まではなくなってくれてない……」
菜穂子が青い顔でスクリーンを見る。
嫌な予感がする。
冷や汗が止まらなくて、喉奥が震えるのを感じる。
「──昴……」
どうか、どうか。

​───────​───────​─────

『何を、喰らった……?』

『スバル!スバル、ダメかしら!死んじゃ……死な、死なないで……一人に、しないでぇ……っ!やめてぇ……っ!ベティーを、置いていかないでぇ……っ!』
『──ぅ』
『スバル?』
『すば──』
『────』
『ぁ』

​───────​───────​─────

涙も、懇願も、全てを連れ去る冷たい光が二人を貫く。
貫かれたのは、それを見ていたエミリアの心も同じことだったが。
「スバル、スバルっ……!」
焦ったような、泣きそうな声が出る。
ベアトリスの涙を拭こうと見えない手を伸ばすスバルの優しさが辛くて、苦しくて──。
「スバル!!」
悲痛な声が、鼓膜を揺らす。

Comments

  • レイラ
    Apr 2nd
  • 柳 妖

    ここのシーン大好き。そして次の周回も終始好き!!

    May 26, 2025
  • Third M

    6章が一番好きだから楽しみ

    May 26, 2025
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