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奪われた者と、失った者/Novel by 春風

奪われた者と、失った者

4,907 character(s)9 mins

週一更新で固定になりそうです。
本当は毎日したいんだけど……!
受験生➕大学費用自分で稼がなきゃならないという状況……!
すごく大変!

砂時間来た!!
正直、ラムアナスタシアスバルの喧嘩シーンはしんどいので、早めに終わらせたいのですが、あそこほど反応が思いつくシーンもないのでちゃんとやりますよ!
「カット多いなあ」と思った時は、「こいつ反応思いつかなかったんだ……」と思ってください!
春風は思いつかなかったら「よし飛ばそう!」ってなるので。
あとあと、ヴィルヘルムさんの解釈が色々変わってきて……過去作品修正したい気持ちと、修正したら負けじゃないかと思う気持ちでキャットファイト。
まあ、「これ解釈おかしくね?」と過去作品でなった場合は、投稿日をご覧下さい。
それと、春風は基本的に自己解釈で進んでいくタイプです!
考察動画なんて見ないので、そこらへんは変かもしれませんが!!
これは二次創作!!
気にしたら負けだ!!
ということで、101話?ですね。
春風は1章終わらせるごとに「今潮時かな……」ってなっちゃうのですが、コメントが沢山来るので、(ありがとう♡)今止めたら勿体ないな精神でやってます!
が、七章は外伝とか見てないとよく分からないって言われてるらしい!
読んだけど、外伝は未履修なので解釈がかなり違うかも!
それでもいい人だけ、六章後の上映会も見てくれよな!
ということで、ハインケルお誕生日おめでとうー!!
お前はどこまで落ちていくんだ!!

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『ラインハルトの実力に関して、高く評価している点では君と私は同じだよ。というより、彼を知る全ての人間が共通の感情を抱くはずだ。彼こそが人類の到達点、あるいは超越者とされる存在なのだと』
『それが言いすぎじゃないのがすげぇよ』
『実力だけでなく、彼の在り方は自覚まで完成されている。私が彼と初めて会ったのは十に満たない頃だったが……ずっと変わらないよ』

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「10歳の頃からあんなに強いなんて、本当にすごいわよね。私が10歳の頃は……」
エミリアの場合、人生の大半は冷たく動くことの無い静寂の中にいたから、比べるものでは無いかもしれないけれど。
「お前なんかダメだ、って期待されないのも悲しいけど、あなたならきっと出来る、って期待されるのも、それはそれで苦しいのかもしれないわね」
エミリアの場合は前者のケースが多いが、殊更スバルやラインハルトは後者だろう。
出自だけでなく、苦労を隠したがる性質も災いするのだろうが。

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『――私は元々、ユークリウス家の嫡男ではない。より正確に言うなら、正式な嫡男ではないとするべきだ。ユークリウス家の現当主であるアルビエロ・ユークリウス。その弟であったクライン・ユークリウスが私の父親になる。すでに他界し、当主に養子入りしているがね。プリステラに残したヨシュアの、実際の私との関係はわからない。私の中に残っていないだけで、実父であるクライン・ユークリウスの血を継いだ実弟なのか。それとも養父であるアルビエロ・ユークリウスの血を継いだ、本当の嫡子なのか』
『……それが違ったら、どうなるんだよ』
『兄弟というのはあくまで言葉の綾で、本来の関係は従兄弟となるのかな。その場合、ユークリウスの家督はヨシュア・ユークリウスのものになるはずだ』

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「──解決しなければならない問題があるというのに、面倒事が尽きないのよ」
一難去ってまた一難、という言葉は、スバルがよく使う諺だ。
本当にその通りだと思う。
この世界は、かくも頭を悩ませる面倒事に事欠かない。
ベアトリスが選んだ暖かい手が、自分から面倒事に関わってしまうお人好しだから、というのもあるだろうけれど。
「──スバル」
言葉というのは不思議だ。
その音が唇からこぼれおち、空気を揺らすだけで、どんな魔法よりも甘美な温かさを与えてくれるのだから。

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『えっとね、スバル。瘴気っていうのは、言っちゃえば悪いものに汚染されたマナのことを呼ぶの。目には見えないけど、でもどこにでもあるでしょ?』
『え、マナが瘴気なのか?』
『瘴気を甘く見ちゃダメ。元々、普通のマナは何の色も指向性もない純粋なもの。だけど瘴気……悪いモノに汚されたマナは、ゲートから取り込むだけで生き物の体の中を悪くするの。ゲートが自然にマナを取り込む器官な以上、それは避けられない』
『ずっと息を止めてる、ってわけにはいかないからか』
『嬢ちゃんの認識で正解だが、アウグリア砂丘に漂う瘴気はその上をいくぞ。――あそこの瘴気は生き物はもちろん、食い物や飲み物までダメにする』
『食べられなくなるって意味?』
『食べたら一気に瘴気の汚染が進むって意味だ。ゲートから微量に取り込むだけでも発狂モノだぞ。直接、胃袋から取り込んでみろ。汚染に呑み込まれる』
『そうなると、どうなるんだ?頭がおかしくなるだけで済まないのか?』
『狂い死にするってのが通説だ。実際は……まぁ、否定はできんよ』

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「食べ物も……」
予想を遥かに超える凄惨な現実に、菜穂子は顔色を悪くする。
瘴気を吸わないというのは、要は大気中の二酸化炭素を吸わないようにする、みたいな話だろうか。
そんなことは無理に決まっている。
つまり──
「すごく、危ないのね」
瘴気が及ぼす影響なんて分からないけれど、ろくな事にならないのは間違いない。
「──嫌だわ……」
「……そりゃ、賢者が守ってる塔に魔女の眠る祠もあるんだもんな。普通な場所なわけねえよな……」
魔女という存在が、眠っても尚世界に害をなす存在であると分かり、何となく胸が重くなる。
サテラと嫉妬の魔女が違う人格であると、そう思っているからだろうか。

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『――ここ一年ぐらいの話だが、砂丘の方へ飛んでいく鳥を見かけるようになった。見かける連中の話じゃ、その鳥は塔を目指して飛んでるなんて笑い話が広がってるぐらいだ。何の根拠もない話だが……もしも砂丘で頼りがなくなったら、鳥を探してみろ。運が良ければ、塔まで連れていってもらえるかもしれん。砂丘で頼りがなくなる時点で、運は最悪に決まってるがな』

『さっきのお店の人、片足がなかった』
『……気付かなかったな』
『どこでしたケガかわからないけど……でも、そういうことじゃないかな』

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「親身になってくれたんはそういうことってことやね。……やっぱり酒場を選んだエミリアさんの引きが良かったってことかな」
アナスタシアがそう言いながら紫色の髪に触れる。
エミリアはアナスタシアの方を少しだけ向き、嬉しそうに微笑む。
アナスタシアが襟元をやたら気にしていることまでは、現状のエミリアでは気が回らなかったようだが。

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『――しみじみと何を語っているのか知らないけど、準備は済んだの、バルス?』
『前準備は昨日の内に済んでるからな。物の準備は十分。あとは心と体の準備になるけど、そっちも俺は十分ってとこ。お前の方こそどうだ?』
『そうね。何日も車中で過ごすと考えると、どれだけ気遣っても安心とは言えないわ。か弱いラムたちでは、砂丘の真ん中で襲われても助けを呼べないし』
『――大丈夫よ、心配しないで。たとえ何が襲ってきても、中のみんなのことはちゃーんと私が守るから。外にはスバルやユリウスもいるんだし、ばっちりなんだから』

​───────​───────​─────

「あらあ、お姉さんったら頼もしいわねえ。正直、お兄さんじゃばっちりとは言えないと思うけどお」
「そんな事ないわ、メィリィ。スバルはやる時はちゃんとやるし、頼もしいところもあるって私は知ってるんだから。ね、ラム」
「エミリア様、その流れで同意を求められても困ります。聞くならフレデリカかガーフに」
「どうしてわたくしに……!?」
エミリアの笑顔をサラリと受け流すラムに、フレデリカは驚愕を隠すこともせず目を見開く。
ガーフィールだけは、自分がスバルのすごいところを知っていると思われていることに、少し嬉しそうだったが。

​───────​───────​─────

『姉様、体調は大丈夫か?』

『ラム。お前が普段の調子じゃないことなんてお見通しだから、なんかあったらすぐに言えよ。隠そうとか誤魔化そうとかすんな。そんなことしても無理やり助ける』
『────』
『ふふっ。私、スバルのそういうところ、すごーくいいと思うの』

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「──ほんと、この人は……」
オットーが悩ましげに頭を抑えるが、言葉とは裏腹に表情はすごく安らかだ。
良かった、とエミリアは頬を緩ませる。
「ラムがあんな顔するのも珍しいけど、スバルはなかなか真剣な表情をしないから──ふふっ、これがスバルの言ってたぎゃっぷもえってやつかしら?」
スバルの言葉には明らかに好意が含まれているのに対しエミリアのにはただ単純にいつもと違うとびっくりする、くらいの意味しか含まれていないので、少し違うような気もするけれど。

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『――スバル、ベアトリス様。仲睦まじいのも見ていて微笑ましいが、そろそろ本格的に気を引き締める頃合いだ』
『お兄さんとベアトリスちゃんが仲良しなのはいいけどお、あんまり放っておかれると私も拗ねちゃうんだからあ』

『い、今のすごい声、なんだったの……?』
『気にしなくていいわあ。あれを気にしなくていいのがどれだけ恵まれたことか、お兄さんたちにわからせてあげただけだからあ』
『いやもうホント、メィリィさんには頭が上がらないッスわ!』
『そお?やっぱり?お兄さんも見直したあ?』
『ああ、マジリスペクトだ。お前がいなきゃ、ここがどんだけ危ない場所なのか身に染みて感じたぜ。アウグリア砂丘、怖っ!怖――っ!!』

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「いやーぁ、スバルくんは騒がしくて──本当に、見ていて飽きないねーぇ」
ロズワールがやや楽しそうに声を弾ませる。
この状況でそんな楽観的なこと言いやがって、とガーフィールとベアトリスの心に僅かに敵意が生まれるが、スバルが落ち込んでいるのを見るよりかは今の方が見ていて楽しいのも否めない。
「──ほんとお、ベアトリスちゃんたちも難儀な性格してると思うわあ。そんなのじゃ疲れちゃうわよお?」
「──メィリィよりかは、ずっと長くこの空間で見させられているのよ。心配には及ばないかしら」
「──そうかしらあ?」
そういう意味で言ったのではなかったけれど、敢えてはぐらかされたのだろうか。

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『――スバル、君は塔の異変に気付かないのかい?』
『──!?』
『気付いたようだね。あの塔は明らかに、近付きも離れもしていない。私たちはあの塔を目指してずっと歩き続けているが……その距離は埋まっていないんだ』

『あの『砂時間』の最中に、監視塔に繋がる空間が綻ぶ瞬間があるはずや。そこを通り抜けて、本当の砂海に入る。それが突破の条件やね』

『砂丘の、花畑……』

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「──なるほど、僕がたどりつけなかったのもそういうわけなようだね」
単純に砂丘を超えるというのではなく、魔女の眠る地へ──そこへ続く砂丘を超えるのだ。
罠の一つや二つあって当然と見るべきか。
「……ほんと、自殺行為すぎるよ。フェリちゃん的には、怒りたくなるくらいに」
想像以上に大変そうだと、そんな軽い言葉で片付けたくないけど。

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『あの花畑は花魁熊の縄張り……でいいんだよな?』

『寝てる子を起こして怒らせるのは、人でも動物でも悪い動物さんでもおんなじ。だからあ、ちゃあんと静かにしててねえ。それだけできたらあ、私の方でなんとかしてあげるからあ』

『――エル・ヒューマ!!』

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「花魁熊……そうだった、それで……」
エミリアの顔に、一閃の焦りと、困惑が奔る。
「──あれ……なんか、ちょっと」
違うような気がする。
何ヶ月も前のことだけれど、鮮烈な出来事だ。
会話の一つひとつは覚えていなくとも、出来事は覚えている。
だから──
「スバル……?」
嫌な予感が、した。

​───────​───────​─────

『ああ、もうもう!なんでこうなるのよお!これ、とっておきなんだからあ!悪い悪い動物さんたちにお仕置きしてあげるわあ!きなさい、砂蚯蚓!』

『もうちょっとだ!このまま監視塔に辿り着けば――』
『このまま──』
『──?』
『なん……』
『────』

​───────​───────​─────

光。
光が、一行の首から上を吹き飛ばした。
死体は肉塊になり、『そこにいた』という証明だけを残して──無惨に、消え行く。
「──ぇ」
誰の声か分からない。
ただ、みなが動揺し、鼓動の走りを止められない。
「──すばる、」
瞳が曇る。
曇り空の後には、必ず雨が降る。

Comments

  • 6章は一番好きな章なので楽しみすぎる!!!!みんなの絶望も希望も楽しみでしかない

    May 25, 2025
  • 奏多

    今回も楽しかったです。更新は作者さんのペースで無理のないようにしてください。いち読者としては長く続いてくれるのが一番嬉しいので! 外典はユリウスの過去話のやつですかね。リゼロはアニメ全巻購入特典小説とか入手困難な物も多くあるので気にしないが吉です

    May 20, 2025
  • レイラ
    May 18, 2025
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