冬季閉山中の富士山で滑落事故が相次ぎ、地元市長から「登山禁止」のルール化を求める声が上がっている。一方で、あえて厳しい自然に身を置くことは登山の魅力の一つで、冬の富士山はアルパインクライマーの鍛錬の場にもなっており、閉山中の登山に理解を求める署名運動も始まった。
「冬の富士山は大変危険なので、登らないでほしい」
静岡県富士宮市の須藤秀忠市長は4月10日の記者会見でこう呼びかけ、閉山中の登山禁止を訴えた。
5月11日の記者会見でも、閉山中の富士登山は「違法」だとして、「やめてもらいたいと強く強く訴えている」と強調した。
富士宮市消防本部は富士登山者の救助を担っており、須藤市長は閉山中は救助を有料化するとともに登山を禁止する「ルールをつくらねばならない」と主張する。
閉山中の安易な登山を抑制するため、救助費用を有料化すべきだという意見は、富士山のふもとのほかの首長からも相次ぐ。
主要登山道がある山梨県富士吉田市の堀内茂市長は、救助費用は遭難者の自己負担にすべきだというのが持論だ。市長らの要望を受け、静岡、山梨両県は防災ヘリの有料化の検討を続けている。
7月1日の富士山の山開きを前に、閉山期の富士登山「禁止論」が浮上しています。発端は、滑落事故が相次いでいることですが、冬の富士山はトレーニングの場になっている側面もあります。
閉山期は登山道が「通行禁止」に
富士山の5合目から上には吉田ルート、富士宮ルート、須走ルート、御殿場ルートという四つの登山道があり、山梨、静岡両県の県道として管理されている。
登山シーズンは7月から9月上旬までの約2カ月に限られ、それ以外の時期は道路法で通行が禁止される。違反すると6カ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金という罰則もある。
ただ、厳しい気象条件になる冬の富士山にあえて挑む人もいる。
気温が零下20度を下回り、風速30メートル超の強風が吹くことも珍しくないが、氷と雪の高峰に挑むアルパインクライマーにとっては、他に代えがたいトレーニングの場にもなっているからだ。
閉山中の富士登山「禁止」論を受けて、山岳映像制作者でクライマーの鈴木岳美さん(31)は禁止に反対する署名活動を始めた。
自身は富士山の四季折々の魅力を感じながら登る体験を大切にしてきたといい、「適切な準備と自己責任のもとで自然に向き合う登山行為は尊重されるべきだ」と主張する。
一律に禁止するのではなく、入山届の提出義務化や事前講習制度、遭難救助費用の明確化などを進めるよう訴えている。
署名活動はオンライン署名サイト「change.org」で進め、6月1日時点で約3900人が応じた。
鈴木さんは、登山やクライミングに関する情報を発信している。4月には自身も富士登山に挑み、雪に覆われた急斜面を山頂直下まで登った後、強風にさらされて撤退を余儀なくされた模様を自身のユーチューブチャンネル「タケムービー」で公開した。
取材に対し「遭難事故を起こした人への批判が高まり、登山者全体に厳しい視線が向けられている。安易な登山を認めるわけではない」と話す。その上で、「しっかりと準備を重ね、あえて厳しい自然に挑む登山という行為への理解を広げていきたい」。
条例で登山を禁止するケースも
全国を見渡せば、危険地帯で…
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- 高山義浩沖縄県立中部病院感染症内科医視点
冬期や残雪期の富士山には、独特の美しさがあります。きちんと準備をし、必要な技術と経験をもって登る人にまで、一律に閉ざすべきではないと思います。それは、ある意味で過剰な平等主義であり、登山という行為に含まれる技術や判断力を過小評価するものでも
2026年6月4日 16:27