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砂風を見据えて/Novel by 春風

砂風を見据えて

3,829 character(s)7 mins

アンケート答えてくださいね!!

なんかこういうの初めてなので緊張。
視聴者参加型って楽しいよね。

最近書籍の方のリゼロも読んでいるよ。
今約束した朝は遠くだよ。

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『賢者、シャウラ……』

『四百年前、『嫉妬の魔女』の封印に貢献したのが三名の英雄だ。その中の一人、『剣聖』の名がレイド・アストレア――ラインハルトの継承する『剣聖の加護』と称号を最初に得た、剣の申し子だ』

『正確には賢者シャウラと、神龍ボルカニカ……ほら、ルグニカ王国を守護してくれているドラゴンのこと。その『嫉妬の魔女』を封印する戦いで力を合わせたことが、今もボルカニカが王国を見守ってくれている約束の切っ掛けなんだって』

​───────​───────​─────

「シャウラ──!」
エミリアが、霧の中から確かにその名前を引っ張り出す。
「この部屋のせいでなんだか曖昧になってたけど──、うん、確かに思い出せたわ。すごーく元気で、それから……」
スバルを、お師様と呼んでいた──はず。
「ちゃんと覚えてるのに、思い出すまでは覚えていないなんて……なんだか、すごーく変な感じ」
紫紺の瞳を不満げに細め、それから、銀髪にそっと触れる。
「スバル……」
早く、迎えに行かなくては、ならない。

​───────​───────​─────

『現在、賢者シャウラは『魔女の祠』の近くに塔を立て、そこで『嫉妬の魔女』の復活を目論む輩を牽制するため、ずっとこもっていらっしゃる。当時からずっとだ』

『賢者シャウラは誰一人信用できない極度の人間不信。――祠と監視塔に近付く人間は、目的がどうあれなんであれ、そのことごとくを皆殺し、なんやて』

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「祠に近付く魔女教徒は十分すぎるほどにいるからねーぇ。シャウラが一概に間違っているとは言えないとも」
嫉妬の魔女が復活すればどうなるかは、擬似的であるが、スバルしか知らない世界が、答え合わせをしてくれている。
それを防いでいるシャウラは、本人にその気があるかに関わらず世界の平和を維持しているのだ。
「ええ、その通りです。──ただ、誰でも彼でも攻撃する、というのは少しだけ困りますけれど」
それによって、苦労させられた記憶が朧気に蘇る。
「──おぞましい」

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『――賢者シャウラが類稀なる知恵と魔力で、『嫉妬の魔女』の封印に貢献したんはみんなも知っとる通り。そして世界を見通すともいわれる見識の広さと、この世の全てを知るともいわれる知識。どっちも誇張なしのホントの話やったら……魔女教のおいたをどうにかする方法も知ってそうやと思わへん?』

『防衛戦の前に話したやろ、ウチの人工精霊エキドナ。この子が、プレアデス監視塔までの道を知っとるんよ。――やから、監視塔の賢者に会いにいける』

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「エキドナ……」
ベアトリスが、何かを言おうとして、それを耐えて口を噤む。
「──監視塔」
じわじわと、ベアトリスの頭の中に悪夢が姿を見せ始める。
なんらかによって思い出せないように鍵をかけられたそれは、スバルの記憶を追いかける毎に鮮明に姿を見せていく。
「全く、誰がこんな悪趣味なことをしているのかしら。──ん?」
ほんの少し、耳を澄ます。
壁の向こうから、声が聞こえた気がした。
「──一応、注意しておくかしら」

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『――じゃあ、始めるわね』

『エミリアなら大丈夫だよ。そんなに心配すんな』
『……勘違いするんじゃないかしら。ベティーが心配してるのは、エミリアじゃなくスバルなのよ。誰彼構わず、感情に共感するのは悪い癖かしら』

​───────​───────​─────

「──本当、そこはナツキさんのいいところですけど……悪いところでもありますからね」
オットーが、瞳を鋭くして呟く。
スバルが人を助けたいと思うのも、他人に優しくするのもスバルの美点であると思う。
ただ、それによって不必要にスバルが傷つけられるのは、オットーには我慢ならない。
でも、オットーは誰もスバルに期待しない世界を作りたいわけではない。
ただただ、スバルが笑って生きていてくれればいいと思う。
そして、スバルの性格と考え方からして、それが難しいことも理解している。
「──僕、もしかしてすごくめんどくさいこと言ってますかねえ……」
まあ、思うくらいなら、いいだろう。

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『ユリウス。俺が言うのもなんだけど、あんまりここにいるもんじゃねぇぞ。ジッと見てても、思い出せないものは思い出せない。最愛の妹でも……本当に半身みたいな相手でも、そうなるんだ』
『知識として知ることと、実感として知ることでは全く異なる。自惚れていたわけではないが、私は今まで自分が頭でっかちな人間とは思っていなかったよ。こうなるまで気付けないとは、自省の限りだ』

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「──そんな……」
エミリアは、酷く悲しそうな顔をしたあと、瞳をきっ、と開く。
「ユリウスは少し自分に厳しすぎると思うわ。忘れたくて忘れたわけじゃないんだから、そこまで自分を責めなくても……」
ただ、自分が同じ立場なら、どうだっただろう。
「──やっぱり、魔女教って最悪だわ」
分かっていたことを、口に出す。
何も悪くない人が自分を責めていると、エミリアは酷く悲しくなる。
「──スバル……」

​───────​───────​─────

『スバル。忘れられることと、忘れることと……どちらの方が辛いのだろうね』
『そんなこと……そんなこと、俺が知るかよ。ふざけるな、浸ってんじゃねぇ』
『……スバル?』
『忘れるのも、忘れられるのもどっちもクソ喰らえだ!辛いことに順番なんか付けようとすんな、後ろ向きかお前!?世界で一番不幸だみたいな顔しやがって。俺とこれまでの不幸比べしてみるか?どうせ俺が勝つぞ!?弱気な面、してんじゃねぇ。お前が辛いのも、忘れられて居場所がねぇのもわかってるけど……でも、お前に弱い面されるのは御免だ。忘れたのか、ユリウス。――いや、忘れるな、ユリウス。お前の強さは俺の目が知ってる。俺の恥が知ってる。誰が忘れたとしてもだ』
『はは……いや、君は本当にとんでもない男だ。それを改めて実感して……そうか、そうだな。何もかもに置き去りにされたわけではなかったのだったね』

​───────​───────​─────

「──全く、驚かされるよ、スバルには」
不幸比べのくだりが割と本気であったとわかって、そこにも少しだけ驚いてしまった。
「忘れること……」
そっちもまた、悲惨だ。
自分の歩んできた軌跡を無遠慮に消し飛ばされてしまうのだから。
「──ままならないね」

​───────​───────​─────

『ユリウスは俺たちと一緒にいくってよ』

『これで、プレアデス監視塔を目指すのはエミリアと、俺とベア子。そこにユリウスとお前を加えて、全部で五人ってわけだ』
『程々の所帯やし、ちょうどええのと違う?あと、五人と違くて、六人やって。うちの可愛いエキドナのこと、忘れてもろたら困るし』
『忘れてねぇよ。――だから、五人なんだろ』
『おや、不思議だね。どうしてアナじゃないとわかったのかな?』
『隠す気があるならもうちょっとうまく演技するんだな。確かにアナスタシアは俺の知る限り、候補者の中じゃリアリストで合理主義だけど……お前ほど人間味に欠けた態度も話し方もしてなかったよ』
『ボクなりにアナを観察し続けて、その真似事はできているつもりだったんだけど、思ったほどうまくいかないものだね。見抜かれたのは君で二人目だよ』
『二人目?』
『アルくんにも見抜かれたよ。彼はボクのことを『魔女』呼ばわりなんて、ひどいことをしてくれたものだけど』
『そりゃぁ……』

​───────​───────​─────

「──スバルは変なところで勘が鋭いかしら。それに、人をよく見ているのよ」
ベアトリスがそこまで意識してアナスタシアのことを観察していなかったのもあるかもしれないが、それにしてもスバルはよく気づいたものだ。
それに、
「アル……」

「──気に食わんかしら」

​───────​───────​─────

『ボクにもどうしてこうなったのか、前例がなくてわからないんだが……アナの体からボクの意識が切り離せなくなった。結果、アナはオドの奥で眠っている』

『――賢者に戻し方を聞きたい相手、君には他にもいるんと違う?どっちにしろ、このプリステラにもおんなじ症状の人らが出てるやろ?その戻し方を聞くためにも、一人ぐらいは症例の人間を連れてった方がわかりいい』

『答えは、出すさ。――屋敷に戻るまでには、絶対に』

​───────​───────​─────

「──オドの奥で……」
エミリアが、その美しい顔を悲痛に歪ませる。
「他人事ってわけじゃ、ないもの」
それが、どれだけ大変なことかくらい、世間知らずなエミリアでも想像がつく。
「スバルひとりで背負うのは、もう終わりにしてよね」
叶うなら、思ったことを全て話して欲しい。
それも、スバルにとっては難しいのであるが。
「──あれ?」
エミリアの紫紺の瞳が、汚れの無い壁を見つめる。
「──気のせい、かな?」

Comments

  • レイラ
    Apr 2nd
  • ファイナルアタッカー

    続き

    May 6, 2025
  • もっちもち

    しかったです! 次の話を楽しみにしています! あとこれからも頑張ってください、応援してます!

    May 5, 2025
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