優しい世界
今回は結構省いてます。
収めるならプリステラ初deathまでいくのがベストかなって
ラインハルトとヴィルヘルムが和解したのかどうかは明言しませんが、何かしらの会話はしたと思いますよ。
そう簡単に和解するとも思えませんが、ここから出る頃には和解できるといいですね。
ちょっと省きすぎたかな。
次回からはちゃんと詳しくします。
なろうにオリ小説投稿したりYouTubeやってみたり好き勝手した結果睡眠削りすぎて死にました。
やはり人間自分のできる範囲のことしかやらない方がいいですね。
あと、昼間に眠くなったらちゃんと寝た方がいいです。
体がSOS出してるので。
バイト落ちました。
このままだと金は無いのに時間だけある人が生まれてしまいます。
大変だ……
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「──只今より、第五章の放映を始めます」
無機質な声がそう告げ、スクリーンが動き出す。
『スバル、お疲れ様だったかしら』
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「そっか、プリステラに……それにしても、何時間も座りっぱなしなのに疲労がまるでないのはなんでなのかしら?私も体力には自信があるけど……それとは少し違う気がして」
「単純な話かしら。この部屋には何らかの魔法が使われているのよ。ベティーたちの魔法や加護が使えないのも、疲労や怪我が立ち所に癒えるのも──記憶がぼやけているのも、そのせいかしら」
「……本当に、困っちゃうわね?それは」
「疲れるよりはマシだけど、出処不明なのが気味悪くてならんかしら」
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『ご丁寧にありがとうございます。ぼ……自分はアナスタシア・ホーシン様の使者として参りました、ヨシュア・ユークリウスと申します』
『アナスタシア様は、エミリア様ならびにその関係者の皆様を都市『プリステラ』へと招待したいとの仰せです』
『――都市プリステラの魔鉱石商の元に、エミリア様が所望される超高純度の無色の魔鉱石が眠っているとのことです。大精霊様を収めるための触媒を、今はお探しでいらっしゃるとか』
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ユリウスが少しだけ眉根を寄せて、悲しそうに笑う。
それを見たラインハルトが眉を下げるのに気づき、すぐに表情を取り繕ったが。
「……ユリウス」
ラインハルトには、靄のかかった記憶が邪魔でならなかった。
そして恐らく、靄のかかる場所が人によって違うことを、何となく察していた。
「──あまり無理はしないで欲しいな。僕も、それはとても悲しいから」
「……嗚呼、善処しよう」
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『――金もない、未来もない、夢もない、見栄だけはある。嗚呼、何が見える。瞼の裏に闇が見える。闇の向こうに何も見えない。尽きる、尽きる、終わりがくる』
『落ち着いて聞いたらひでぇ歌だな、オイ!?』
『ひゃあ!?』
『やべぇ、空気読めないことした。今のは違くて……痛ぇ!?』
『スバルの馬鹿、台無しなのよ。せっかくいい気分で聞いてたのに、なんて無粋な真似をするのかしら。いくらなんでも酷すぎるのよ』
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「スバル!?」
エミリアは顔を青くして、オットーは額を押える。
「……別行動すべきじゃなかったですかね……」
「ベアトリスと一緒にいてもこうだから……きっとオットーくんがいても、同じこと言ってたわ」
「……困ったもんですよ……」
エミリアが苦笑し、ラムは眉を顰める。
「……ラムの見ていないいついかなる時でもバルスが役立たずで安心したわ」
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『ねえ、見えてる感じてる?あなたと私の恋の年の差。周りは変だというけれど、私はそんなの気にしてないわ。私がいつも気にしているのは、私とあなたの恋の身長差。ねえ、待ってて。お願い、待ってて。あと、少し、もう少し、背伸びをすれば届くぐらい。それぐらい二人が近付けば、きっと年の差なんて誰も気にしないわ。だからお願い、二年だけ。お願いそれだけ待っていて。私とあなたの恋の距離。甘くとろける恋の距離』
『縮まる二人の恋の距離、静かに燃える愛となり、やがて二人にコウノトリ、きっと二人に子を送り、未来は明るい恋物語っ』
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リリアナの歌に呼応するスバルに、ロズワールが爆笑する。
「……本当に君は……退屈しないねーぇ」
フェリスはぽかんと呆気にとられ、クルシュは眉を下げて笑っていたが。
「……多芸ですな」
「フェリちゃんはヴィル爺のスバルきゅんに対しての好感度の高さにちょーっと驚いてるよ?」
満足気に笑うヴィルヘルムを、フェリスが信じられないと言いたげに見る。
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『すげぇな、お前。通常の態度で俺をここまでどん引きさせたのは、ひょっとするとペテルギウス以来かもしれねぇ』
『ほほう、誰かは存じませんがなかなか見所がありますね、ペテルギウスさん。もしもどこかで会うことがあれば終生の好敵手となったかもしれませんっ!どんな素性の方なのか、ぜひともお教え願いたしっ!』
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「……あッれと比べるには色々と……なァ、姉貴」
「……スバル様はあれでいて少し感覚のズレた方ですからね……冗談半分であるとは思いますが」
「べティーには分かるかしら。あれは本気で言っている目だったのよ」
「それはそれで問題じゃありませんこと!?」
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『あなたひょっとして……『幼女使い』のナツキ・スバル様ですか?』
『クルシュ・カルステン公爵が主導した三大魔獣『白鯨』の討伐において、並々ならぬ助力をして、剣鬼ヴィルヘルムをして恩人と言わせた歴史の介添え人!直後、世界を震撼させ続けた魔女教大罪司教の一角、『怠惰』これをクルシュ公爵とホーシン商会のアナスタシア嬢の力を借りながら撃破。さらには噂の裏付けが取れていませんが、三大魔獣『大兎』をも討伐し、四百年の膠着した時間を動かす最も新しい英雄!』
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「英雄……」
オットーが苦い顔をしたのを見逃さなかったエミリアは、少し眉を下げて笑う。
「大丈夫よ、オットーくん。世間の評判って尾鰭がつくものだから。ちゃんとした評価は、周りにいる私たちがしてたらいいと思わない?」
エミリアの明るい笑顔に毒気を抜かれたのか、オットーも笑いを返す。
「……それもそうですね。少し過敏になっていたかもしれません」
「私はオットーくんのそういうところ嫌いじゃないけど」
「……そういうのはナツキさんに言ってあげてくださいね?」
「英雄……」
ユリウスが誇らしげに笑う。
「楽しそうだね、ユリウス」
「……彼の功績は私としても誇るべきものだと思うからね。彼は嫌がるかもしれないが」
「ふふ、そうかもしれないね」
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『あ』
『おっと』
『ご、ごめんなさい。私、ちゃんと後ろを見てなくて……』
『俺からもすみません。この子、そそっかしいもんで。ちゃんと言い聞かせます』
『今回は僕の方も不注意だったよ。一瞬、見惚れてしまっていたからね』
『えっと?』
『ぶつかったお嬢さんの綺麗な銀色の髪に、ね。昔、妻にしようとした人が同じぐらい美しい髪をした女性だったんだ。それを思い出して、避けそびれてしまった』
『じゃ、今回はお互いの不注意ってことで。とりあえずこっちの謝罪は伝わったみたいなんでこれで』
『ちょ、スバル。そんな誠意のない謝り方……』
『いいから、ね?』
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スクリーンにレグルスが映り、エミリアの表情が曇り、ベアトリスは拳を握って顔を顰める。
「……本当にふざけたやつかしら。見ているだけで腹立たしくてならんのよ」
ベアトリスが苛立ちを全面に出すのを、エミリアが落ち着かせる。
「……彼は」
ラインハルトの顔がかつて見た事ないほどに嫌そうな顔になる。
「……珍しいな。ラインハルトのそんな表情は初めて見た」
ユリウスが少し驚いたように言えば、ラインハルトがひゅんっと表情を切り替える。
「……僕も聖人では無いからね。友人を貶めた相手を好ましく思わないこともあるよ」
「……そうか……それは確かにそうだな」
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『て、てめえ……ラインハルト詐欺の……!』
『ラインハルト詐欺って、ずいぶん限定的な詐欺……あ』
『チン!チンじゃないか!うわぁ、なんでこんなとこで、元気してたか?』
『馴れ馴れしく呼びかけてきてんじゃねえよ! そもそも誰がチンだ!俺にはラチンスって名前があんだよ!』
『チンじゃねぇか』
『うるせえ!』
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「……どうして自分を殺した相手にこんなにも好意的なのか、理解できないかしら」
ベアトリスが顔を顰めれば、エミリアが諌める。
「……まあ……そうね?スバルは少しお人好しなところがあるから……」
「エミリア様に言われるようになったら終わりですね……」
「え?」
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『お客様対応中って言ったな。俺ら以外の誰を出迎えてるところなんだ?』
『……そんな野獣のような目をしなくてもすぐにわかりますよ』
『野獣とか言い過ぎだろ。そこまで飢えた眼差ししてねぇよ』
『そんな魔獣のような声を上げなくてもすぐにわかりますよ』
『より酷くなってんじゃねぇか。魔獣ってどれだよ。犬か鯨か兎か、選べ』
『鯨、というのは白鯨のことだと思っていいのかな、スバル』
『……ああ、そうだ。最悪の鯨だったぜ。何回も死ぬかと思ったが、死ななかったのが奇跡だと今でも思ってる』
『白鯨の話、あとで詳しく聞かせてもらって構わないかい?僕にとってもあの魔獣は無関係な相手じゃないんだ。話せば、少し長くなるんだけどね』
『――いいぜ。事情は、言いづらいなら話さなくてもいいし』
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ヴィルヘルムが微かに瞳を動かす。
ラインハルトは、スクリーン内のスバルに暖かい表情を向けていたが。
「……本当に、スバルには驚かされるね。気遣いが上手くて、こっちが申し訳なくなってしまう」
スバルは基本的にグイグイと距離を詰めるのに、肝心なところではパーフェクトコミュニケーションを多々とる。
それも、スバルの才なのかもしれないが。
「……何度も死ぬきっかけになった魔獣をあんな風に笑いながら話せる豪胆さも、才能かな」
豪胆なだけではないだろうけど、と一拍置いて思った。
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『なんで爺ちゃんと最優は笑った?アタシ、おかしな話したかよ?』
『おかしな話って言えば全体的におかしすぎる話だったけどな。俺の世界に対する貢献度が高すぎるだろ。ノーベル平和賞くれよ』
『白鯨討伐における、スバル殿の貢献は計り知れません。そのことは私自身、そして何より魂がはっきりと断言できます。スバル殿なくして、我が悲願が果たされることはなかったでしょう。大袈裟などと、笑われる必要は全くない』
『大罪司教の件も同じだよ。他でもない彼が先頭を切って、魔女教の襲撃に対抗する指揮を執ったんだ。その采配があってこその、大罪司教討伐の結果だ。私や他のものが手を貸したことなんて、声高に主張できるほどの貢献ではない』
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スクリーンをじっと見つめる中で、スバルが顔を赤くして唸るのが見える。
それを見て、エミリアは満面の笑みに、他の面々もやや揶揄う様な笑みを浮かべた。
「スバルはすごーく頑張ってたもの!平和賞……?もきっと貰えるわ!」
エミリアががたっと立ち上がれば、ガーフィールもそれに答える。
「おう!エミリア様ッの言う通りだ!大将はすげェ!」
「世界に対する貢献度という話なら、强低いわけでもありませんわ。抑、魔女教討伐に三大魔獣討伐なんて、それこそ賢者のような功績ですし」
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『や、やめてくれよ!そうやって変に俺を持ち上げんな!調子に乗ったらどんな無様さらすか、知ってるのはお前らの方だろうが!』
『いやいや、とんでもない。あのときの行いこそ軽挙であるのは事実だが、君は十分にあの醜態を返上するだけの結果を見せた。そのことと、その後の功績とは全く別物だ。素直に誇っていいんだよ』
『謙遜される必要はありません。あなたが為し得たことは、あなた以外の誰もが為し得ることができなかったこと。私は命尽きるまで、あなたと共に戦場を駆けたことを誇りと思い続けるでしょう』
『──は、ぁ』
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「これはこれは……スバルくんにとっては何よりも耐え難い恥辱だろうねーぇ」
ロズワールが笑いをこらえるように言えば、ラムがため息をつく。
「まあ、バルスは功績だけは一人前だものね。ここまで謙遜するのも呆れるけれど」
「ここまで恥ずかしがることないと思いますけどねえ……」
「スバルは恥ずかしがり屋さんだから仕方ないわ。でも、ちゃんと頑張ったことは褒められるべきよね。やっぱりもっと褒めてあげなきゃ」
「ナツキさん大丈夫かな……」
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『そうよ。スバルはすごーく頑張ったの。私、そんなスバルが私の騎士をやってくれてるの、本当に誇らしく思ってる』
『ま、まぁ、ベティーのパートナーならそれぐらいやれて当然なのよ。むしろ周りの方がスバルのすごさに気付くのが遅すぎたぐらいかしら。もっともっと、これからスバルは大きくなるんだから、今のうちに名声に慣れておくといいのよ』
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「スバルって私のことすごーく褒めてくれるのに、こうやって褒めると照れちゃうのよね……照れるポイントがよく分からないんだけど」
エミリアが首を傾げれば、ベアトリスが息を吐いて笑う。
「スバルは褒められ慣れてないのよ。人を褒めることはあっても褒められる経験が薄いのかもしれないかしら」
「そう……なのかしら?」
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『すごいな、スバル。みんながこうまで言ってくれるなんて、本当に得難いことをやってのけた証拠だ。友人として嬉しいよ』
『スバル様がいなければ、私もたくさんの忠臣を失っていたと聞いています。今日まで支えてくれたヴィルヘルムのためにも、改めてお礼を言わせてください』
『ダメダメだったのは事実だけど、実際、白鯨で心が折れずに済んだのにちょびーっとスバルきゅんの貢献があったのは本当のことだし?あのあと、クルシュ様の超名演説があったからそんな変わらにゃいだろうけど、一応、感謝したげるー』
『ナツキくんが話に噛ませてくれたおかげで、白鯨関係ではずいぶんと得させてもらったしね。ウチも感謝しとるよ。長年、霧に悩んだ商人たちの分も』
『おー、おにーさんが褒められてる流れ?すごいぞー、かっこいいぞー!ミミの次だけどねー!あとガーフのつぎー!』
『なんだかわッかんねェけど、さッすがだぜ、大将。それでこそ俺様の兄貴分よ。『名声は正しい行いとウェライエンについてくる』ってなァ』
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「スバルは本当にすごいよ。僕なんかじゃ思いつかないようなことをたくさん思いつくからね」
ラインハルトがにこにこと笑えば、ユリウスも嬉しそうに口を開く。
「彼の謙遜は少し強すぎるような気もするが……私としても、彼の行動にはいつも驚かされるばかりだ。こんなに一緒にいて飽きない人も珍しいものだよ」
「いやあ、二人にここまで言わせるとはスバルきゅんも中々やるねえ」
フェリスが肩を竦めて笑う。
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『なんだかんだあったのは本当のことみてーだけど……兄ちゃんが弄られ体質なのとおもしれーのは変わってねーみたいだな。安心したぜ!』
『お前ら、あんまり俺のこと褒めるなよ!みんなまとめて好きになるだろ!!』
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「……見てる側がなんだか恥ずかしくなってきますね」
「そう?私はスバルがたくさん褒められててとっても嬉しいわ!」
「エミリア様はそのままでいてくださいね」
「?わかった!」
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『――ヴィルヘルムさん?』
『スバル殿ですか。驚かせてしまいましたかな?』
『スバル殿にとっては悪いことを。夜の庭園の厳粛さに、私のような異物が混じってはさぞや気落ちされたことでしょう』
『んなことないですって。むしろ、剣鬼と和風庭園が似合いすぎて、俺の心のフォトグラフに永遠に刻み込まれる一枚ですよ。月光が映える人、好きなんで』
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「スバルって本当に月が好きなのね?私にもよく月が綺麗ですねって言うし……」
「……何となくすれ違ってそうな気はしますけど、ああ見えて綺麗なものを好んでそうですしね」
「綺麗なものを好むのは人間として当たり前なのよ。ベティーだって花や綺麗な空を見たら心躍ることだってあるかしら」
「確かに、それもそうですね……」
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『死ぬときとか、縁起でもないこと言わないでくださいよ。ヴィルヘルムさんだってまだまだまだまだ若すぎるぐらい若いんだし、隠居することばっか考えられてちゃ困ります』
『クルシュさんだってフェリスだって、ヴィルヘルムさんをすげぇ頼りにしてます。記憶がおぼつかないクルシュさんは大変だし、それを支えるフェリスだって顔には出せないけどきっと必死で、ヴィルヘルムさんが助けてやらなきゃ!それに、俺だって!』
『俺だって、ヴィルヘルムさんにはまだまだ教わりたいことがいっぱいある。敵の陣営で、何を甘えたことをって思われるかもしれません。でも、俺は……』
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「……スバル様……」
クルシュの瞳が揺れ、酷く嬉しそうに微笑む。
「お人好しすぎて、心配になってしまいますね。敵陣営なのに……」
「きっと必死で……スバルきゅんに心配されちゃうにゃんて、フェリちゃんもわかりやすすぎたかにゃ?」
フェリスがおどけたような素振りをみせ、少し悔しそうに笑う。
「あーっ!スバルきゅんに心配されちゃうとか屈辱なんだけど!」
「そうですか?」
クルシュは笑って首を捻る。
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『スバル殿。――あなたのそれは美徳ですが、弱味でもあります。妻にも、そんなところがありました。自分の心を押し殺して、周りにいる人の心を思いやってしまうような、自分を後回しにしてしまうような悪い癖が』
『悪い癖、ですかね。……いや、そもそも俺はそんないい奴じゃないです。みんながみんな幸せになれるようにとか、そんな風に願ったりしたことありません。ただ、俺は俺の周りにいる人だけでも幸せならいいなって思うぐらいです』
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「……周りの人、ですか」
オットーが眉を顰める。
「スバルはすごーく頑張り屋さんだから、たくさん頑張ったことを、なんでもないことだって笑っちゃうのよね」
エミリアも少しだけ悲しそうに笑う。
「……もっと頼ってくれてもいいのにね、オットーくん」
「……そうですねえ」
オットーがスバルに対して抱いているもどかしさを、エミリアは何となく見抜いていた。
「スバルはすごーくいい子よ、きっとそう」
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『ラインハルトとは、仲良くできないんですか?家族なんですよね?』
『スバル殿と話していて、思っていました。どうして私は自分の孫と、こうして言葉を交わすことができずにいるのだろうと』
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ラインハルトが、思わず目を見開いた。
「……お祖父、様」
ヴィルヘルムの方へ目を向ける。
ヴィルヘルムは、ラインハルトの方へ目線は向けなかったが。
「……スバル」
ラインハルトは、愕然とした。
ラインハルトに到底越えられなかった一線を、スバルは軽々と越えられていたのだ。
「……やっぱり、君はすごいな」
そうして、自分の不甲斐なさに後悔を連ねるばかりであった。
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『悔やんだとて許されることではありません。それほど、あのときに私が孫に……ラインハルトに叩きつけた言葉は重い。度し難いほど、許し難いほど、愚かでした』
『俺はヴィルヘルムさんと、ラインハルトがどんな理由で気まずくなったのかちゃんと知りません。だから、見当違いのことを言ってる可能性もあります。でも、その部外者の俺から見たって、ヴィルヘルムさんはラインハルトと仲直りしたがってるし、真剣に謝ろうとしてるように見える。なら、謝った方が絶対にいいです』
『ですが、ラインハルトはそれを許してはくれないでしょう』
『一回で許してもらえないなら、許してもらえるまで謝りましょうよ。第一、許してもらいたいから謝るんじゃなくて、謝りたいから謝るんでしょう?謝る方の謝りたい気持ちなんて、そのぐらい自分勝手なもんですよ。だって、謝りたい方が悪いことした奴なんだから』
『そりゃ、何年も疎遠だったのに急に謝られたら、最初は『なんだこいつ』ってなると思いますよ。でも、何回も謝ってればそのうち、『なんだこいつ』も変化します。それが『しょうがないな、こいつ』か『うぜーな、こいつ』になるかはわかんないですけど』
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「……ラインハルト」
「……なん、でしょうか」
「……私は」
ラインハルトとヴィルヘルムの、目線が交差する。
クルシュとフェリスは空気を読んで場所を無言で移動した。
「……クルシュ様」
「なんですか?フェリス」
クルシュとフェリスが小声で話す。
「上手くいくといいですよねっ」
フェリスがそう笑えば、クルシュも淡く笑う。
「……そうですね」
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『……王族がさらわれたせいで、自分の奥さんの死に立ち会えなかった。だからヴィルヘルムさんが、王族や王国を恨んでるって、そう言うのかよ』
『その後のことなんか知るかよ!俺が話してるのはヴィルヘルムさんのことだ!お前は……お前はどう思ってんだよ!ヴィルヘルムさんがそんな風に、奥さんのことで周りを逆恨みして、それで……それで!』
『あの人がそんな人じゃないってことぐらい、なんでわからねぇんだよ!!』
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「……本当に、そうですね」
クルシュが瞳を伏せる。
「皆がスバル様のように素直で心根の良い方だったらいいのですけれどね」
「……ま、スバルきゅんの言うのは理想論だもん。そんな簡単にいかないから、現実なんだからね」
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『――やあ、どうも皆さん。お騒がせしております。ごめんね』
『ありがと。ほんの少しだけ、皆さんのお時間を拝借させてください』
『ごめんね。私は魔女教、大罪司教『憤怒』担当』
『――シリウス・ロマネコンティと申します』
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「……シリウス!」
エミリアとベアトリスが思わず構える。
──と同時に。
「……待って、広場には……私とベアトリスがいたでしょう?」
エミリアが顔を青くして口にしたものだから、オットーやガーフィールも表情を変化させる。
「……じゃあ、これは」
「スバルは、今回」
死んでしまうのだと、悟った。
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『ずっと待たせてごめんね。ほら、こっちにおいで』
『ああ、ああ……ありがと、ありがと、ありがとう!ああ、やっぱり素晴らしい!みんなわかってくれると信じてた。私はみんながルスベルくんの勇気を、そう称えてくれると信じていました!だって、彼の示した志には『愛』があるから!彼を知れば、彼を愛してくれると思っていました。分かり合うことが、深く知ることが、想いを一つにすることが『愛』だから!』
『――ああ、優しい世界!』
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シリウスのおぞましい声に、ラムが顔を険しくさせる。
エミリアがスクリーンに手を伸ばせば、人間の頭がトマトのように潰れて。
「スバル!」
血溜まりが、映る。
「────!」
エミリアが、ベアトリスが、ガーフィールが、本能的に悟る。
スバルはプリステラでも、繰り返すのだと。
「……そんな」
ユリウスが脱力する横で、フェリスは顔を顰めていた。
「……本当に、ふざけないでよ」
魔女教はいつも、人の命を軽く見ている。