京大「JIP論文」問題、取材の始まりは研究者の「雇い止め」問題だった…筆者の須田桃子さんが語る動画も
スローニュースで今月12日から配信している、京都大学の教授が昇進するきっかけとなった論文に改ざんがあったことをめぐる記事が大きな反響を呼んでいます。
この「JIP論文問題」の記事を書いたのは、須田桃子さん。大宅壮一ノンフィクション賞、科学ジャーナリスト大賞などを受賞した、『捏造の科学者 STAP細胞事件』の筆者としても知られる、この分野での取材経験が豊富な科学ジャーナリストです。
今回、須田さんが何をきっかけに取材を始めたのか。そこには日本の研究現場を追い詰めている「雇い止め」の問題がありました。
「雇い止め」という深刻な問題
「JIP論文」に関する複数の疑義について告発した博士研究員は、告発の3カ月後に「雇い止め」を告げられるという、理不尽とも言える処遇を受けています。
いま、この「雇い止め」が、研究現場を圧迫する大きな問題になっているのです。須田さんは、去年の1月からスローニュース上でこの問題を取り上げていて、例えば理化学研究所では380人もの研究系職員が雇い止めの通告を受け、そのうち57人は自ら研究計画を立て資金を獲得した、大型プロジェクトの「研究代表者」だったことを明らかにしています。
こうした事態に、世界的な研究者も「日本の研究力の低下の要因になる」と警鐘を鳴らしています。
一連の取材での問題意識が、今回の連載にもつながっているのです。「雇い止め」の問題については、須田さんが一般社団法人「科学・政策と社会研究室」の榎木英介代表理事とともに語る動画も配信しています。スローニュース会員の方はこちらもぜひご覧になってください。
ジェンダード・イノベーションの潮流
須田さんの取材に興味を持たれた方は、ぜひこちらもどうぞ。
近年、生物学的な性別による違い「性差」に着目した研究から、重要な発見が続々と生まれています。性差の分析から生み出される新たな知やイノベーションは「ジェンダード・イノベーション」と呼ばれ、科学研究や医療、製品の開発現場で広がりつつあります。
生物学的な性差を考慮せずに開発された製品は、深刻な被害をもたらすことがあります。性別による格差をなくし、科学技術の恩恵を平等に享受できるようにするためにも、性差を考慮した研究や開発が重要だと考えられています。こうした視点から、ジェンダード・イノベーションの最新の潮流をレポートしています。
例えば、女性で高いアルツハイマー病の発症リスクについて、その要因に関わる最新研究の話題や…
俗にいう「男脳」「女脳」は、科学的根拠に基づいていないという最新科学の紹介。
エサの形状を変えただけで、ラットの空間認識能力の性差が消えたとする実験の紹介などを入り口に、性差に関する研究成果の誤った解釈が医学部入試で女性に不利になるように「調整」されていた問題に言及した記事など。
興味深い内容のレポートを9回にわたって展開しています。こちらもあわせてどうぞ。(まとめ:熊田安伸)
※須田桃子さんの過去の報道はこちらから👇
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