エチレン設備稼働率、4月67.3%で最低 「5月以降は改善へ」
石油化学工業協会(石化協、東京・中央)が21日に発表した4月の国内のエチレン生産設備の稼働率は67.3%と過去最低を更新した。ただ在庫を取り崩すことで主要樹脂の出荷水準は前年平均並みを維持した。ナフサの代替調達も進み、5月以降の稼働率は回復に向かうもようだ。
エチレン生産設備はナフサを熱分解しエチレンやプロピレンなどの基礎化学品を製造するコンビナートの中核施設だ。基礎化学品からポリエチレンといった樹脂など中間材料となり、家電や食品包装材、衣服など様々な製品に使われる。
生産量は3月より増加
エチレン生産設備の稼働率は4月に67.3%と2カ月連続の6割台で、前月に続き過去最低を更新した。稼働率は定期修理に入っている設備の生産能力を除いて算出する。国内に12基ある生産設備のうち4月は3月と同じく4基が定期修理中(前年同月はゼロ)だったが、規模の大きい一部設備の再稼働で生産能力が高まったことで稼働率が低下した。
稼働率は下がったが、生産量は前年同月比37.1%減の28万3500トンと、3月に比べて3.6%増えた。
ポリプロピレンなど、国内の樹脂生産の約6割を占める主要4樹脂の国内出荷数量は前年同月や、原料高を見据えて出荷が増えた26年3月と比べると1~7%減だった。ただ3樹脂で25年の平均出荷数量を上回り、水準は大きくは落ち込んでいない。低水準の生産が続く中、在庫も取り崩しながら出荷を維持している。
石化協の工藤幸四郎会長(旭化成社長)は同日の記者会見で「ホルムズ海峡の封鎖という逆風下でも市場が必要とする量はおおむね確保できている」と語った。
「5、6月の稼働率は70%前後に」
ただ複雑な供給網の中では一部の化学品では逼迫感も出ている。供給網の中で「目詰まり」が起きている原因として工藤氏が挙げたのが、値上げ観測や供給懸念からくる前倒し需要の存在だ。また、もともと輸入していた原材料が中東危機で入ってこなくなり、顧客が国産調達に切り替えたくても難しいケースもあり得るとした。
化学大手はナフサ調達の多様化で供給を維持しており、5月には米国など中東外からの1カ月あたりの調達量が通常時の3倍以上に増える見込みだ。工藤氏は「5、6月に向けて稼働率は67%という低いところからは上がり、70%前後になるのではないか」と今後、回復に向かうとの見方を示した。
中東外からのナフサ価格は通常時の約2倍で、筑本学副会長(三菱ケミカルグループ社長)は「プレミアムを支払うことで必要な量が調達できている状況だ」と話す。米国とイラン間での停戦協定の見通しも不透明な中で「この(高値の)レベルがある程度続くという前提でいるべきではないか」(工藤氏)とみる。
足元では食品包装の白黒化やインキ量削減といった消費者の目に見える動きも出始めているが、ある素材大手幹部は「あらゆる資材が値上げされる中、原価を抑える方法の一つでは」とみる。ガソリンと違って政府による補助金がない石化品は供給網内で増加する負担を分担せざるを得ない。上流から下流までそれぞれの段階で企業の試行錯誤が続く。
(岡田江美)
【関連記事】
関連企業・業界