「全部うやむやになって、私だけが排除された」元京大研究員が語る相談後の孤立と隔離、そして雇い止め
もう研究室の中で解決する話ではない――。
京都大学の元研究員A氏は、「JIP論文」の筆頭・責任著者である小田裕香子教授との長時間にわたる議論を経て、そう実感したという。A氏はそれまでに、論文中の細胞実験の追試に失敗し、さらに重要なマウス実験での一部データの除外に気づいていた。
小田氏による研究不正の疑義を告発したA氏へのインタビュー。中編では、A氏が逡巡の末、自ら告発するに至った経緯と、雇い止め時の心境について聞いた。
須田桃子(科学ジャーナリスト)
両研究所とも動こうとしなかった
――2023年10月10日の小田氏との議論後、当時小田研のあったiPS細胞研究所(CiRA)や、JIP論文の研究が行われた医生物学研究所(研究当時はウイルス・再生医科学研究所)に相談したのですよね。
告発は最終手段だと思っていましたが、もう小田研の中で解決する話ではないことは明らかで、とにかく誰かに相談したいという心境でした。まずCiRAの相談室にメールをしたうえで相談に行くと、「所長に伝えます」と言われ、これはやはりただ事ではないのだと思いました。
※画像の一部にぼかし加工を入れています
その後、医生物学研究所の教授2人とも面談しました。データを見せてどうですかとお聞きしたら、1人は「問題がなかったとは言えません」と。そこでも所長に報告すると言われました。
2つの部局の所長レベルにまで話が上がったら、例えば、所長から小田さんに話を聞いて今後の対応を考えるなど、何かしらの対応をしてくれると勝手に期待していたのですが、両研究所とも「何もしません」という態度です。そこで初めて、通報するとしたら自分がやるしかないのだと悟りました。
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