恐怖は再来する
あと2週間で冬休みになります。
冬休みに入ったらもっと更新できると思います。
出来なかったらすみません。
最近は体調が芳しくなく、帰ってきたら布団に倒れ込んでスマホをポチポチしてます。
毎日更新はもはや意地でやってる部分もあるのですが、そろそろ途切れそうです。
何とか薬飲んで持ち直したいところですね。
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『あぁ……その顔、ぞくぞくするわ』
『もっといいものを見せてやる』
『そう、愉しみ――ね』
二刀を振りかぶるエルザの中心を狙い、スバルはインビジブル・プロヴィデンスを発動しようとする。──と。
『スバル!』
飲み込まれそうになった混沌からペトラの声により引き戻される。
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「……今のは……」
「力に呑まれそうになったように見えたが……やはり、代償があると見るべきだろうね」
「連続使用で怠惰みたいな感じになるとか言わにゃいよね?戦闘の最中にあんな風になられたら戦況の悪化どころじゃにゃいんだけど」
「……そもそも、スバルがあの技を使うところをあまり見ていないから、人前での使用は避けているのかもしれない」
「……だといいけど……そもそも、魔女因子を取り込むなんて……フェリちゃん的には言いたいことが結構あるんだけどネ」
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『スバル様、申し訳ありません。レム様を連れて屋敷を脱するのが、私に望まれていたお役目だったでしょうに……その仕事、果たせず』
『いや、状況的にしょうがねぇ。外はもっとヤバいって話だし……レムは?』
『こちらに』
フレデリカが背を向けて、ぎちぎちに縛られたレムの姿が見える。
『緊急事態なのはわかるけど、これであんまり動かれるとレムの首がもげそうで恐ぇな!?』
『幸い、と言っていいものか迷いますけれど、レム様のお体は平常な時の流れから切り離されておりますわ。なので、多少乱暴に扱っても影響は見られず……』
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「ラムの妹を乱暴に扱うなんて許さないわよ、フレデリカ」
「扱っておりませんわ……可能な限り傷つかないように立ち回りましてよ」
「ならいいけれど……そもそも、この中でまともに戦えるのがフレデリカだけというのがおかしな話だわ。女に任せて男連中の役に立たなさと言ったら……反吐が出るわ」
「そこはため息で抑えて欲しかったんですけどねえ……」
「仕方ないじゃない、エミリア様だって自分が頑張ってる裏でこれなんて呆れているわよ」
「私はそこまで思ってないんだけどね……?」
エミリアが眉を下げて苦笑する。
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『まさか魔鉱石をあんな形で撃ち落とされるなんて……ガーフィールにはちゃんと効いたんですけどね』
『戦闘経験が違うし、たぶん頭の出来も違う。比べてやんな。可哀想だ』
『ガーフ……やはり、見たまま見た感じの育ち方を。私が見てなかったから……』
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「大将ッ……!?」
思わぬところからディスが入り、ガーフィールがショックを受ける。
「仕方ないのよ、頭の出来については生まれ持ったものも大きいかしら」
「慰めているようで背後から殴りかかってませんかそれ……」
ベアトリスの非情な言葉にオットーが驚きの表情を浮かべる。
エミリアはそれをやや楽しそうに見ていたが。
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『見た感じ、結構深めに入ってたよな?』
『傷のこと?心配しなくても大丈夫よ。それならもう、ほら』
『殺しても死なないってのは知ってたけど……傷も治るのかよ。ほとんど化け物だな』
『人間性を放棄した覚えまではないし、女性を捕まえてその言い方はさすがにどうかと思うのだけど。それに、私の体質のことはどこで知ったのかしら?』
『ラインハルトに真っ二つにされてない時点で、なんかあるとは誰でも思うだろ』
『あの経験はなかなかないわね。危うく、二つになるところだったから。――英雄の腸ってどうなっているのかしら。とても興味があるわね』
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「うっわあ……ラインハルトから逃げられた辺りで何となく察してたけど……化け物って評価が似合うね、この人」
「そうですね、傷が治るなんて……そういう体質なのでしょうか。治癒魔法とも少し違うようですし……」
「そもそもこんな人を女性として扱っていいのか悩ましいところですけどね。人間性放棄したって部分も否定するには厄介な体質すぎますし?」
「何にせよ、この人を凌ぐのはなかなかに苦戦しそうですが……スバル様、平気でしょうか……?」
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『スバル様……あの女がここにいるということは、ガーフは?』
『残念ながら、どうしてあいつがここにいるのかは俺にも説明できない。けど、ガーフィールがこの短時間でスパッとやられるってのも信じられねぇ』
『私が見ていた限りでも、実力はほぼ拮抗……少し、ガーフが優勢に見えましたわ』
『俺の方もそう見てんだが、結局のとこ答えが……』
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「頑張って!スバル、フレデリカ!ガーフィールとオットーくんも!」
エミリアが目を閉じてやや高い声で叫ぶ。
手をぎゅっと握って気合を入れる様子は幼児向けアニメを見る幼女のようだ。
「急にどうしたのよエミリア……」
「黙ってると嫌な想像しちゃって不安になっちゃうから……大きな声出して発散しようと思って」
「そういう事なら」
「俺ッ様の活躍を見てッてくれェ!エミリア様ァ!」
「こっちもうるさいのよ!?……本当に、エミリア達は幼くて困るかしら」
ベアトリスが満更でもなさそうに額を抑え、それを見たオットーは心の中で「ベアトリスちゃんもそんなに大差ないんだけどなあ」と呟いていた。
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『よォ、大将。まァだ中にいたッのかよォ』
脛骨を捻じ折られたハイエナが廊下へ転がり、その直後にガーフィールが煙から出てくる。
『ビビんなくたって大丈夫だってんだよォ。そいつァ俺様がぶち殺したかんなァ』
『そっか、それは助かる……じゃねぇよ!お前、何あいつから目ぇ離してんだよ!おかげで死ぬかと思っただろうが!恐かった!俺、もう死んじゃうかと思った!』
『悪ィ悪ィ、俺ッ様も逃がすつもりなんざ微塵もなかったんだがよォ。途中で面倒くせェのに絡まれッてる間に、どっか行かれちまってよォ』
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「……女々しい事ね」
「まあ、これはナツキさんのお家芸みたいなやつだと思いますけどね……よく僕に対しても『別にオットーのためにやったわけじゃないんだからね!』とか『勘違いしないでよね!』とか裏声でやってきますから」
「……そうなの?」
エミリアだけはそれが何なのか理解出来ていない様子だった。
最も、やられたとしても理解せずにスルーしそうなのがエミリアだが。
「……本当に、スバルの悪ノリには困ったものなのよ」
その表情はちっとも困ってなどいなかったが。
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『斑王犬が死んじゃったあ!やられちゃったあ!可哀想!やだあ!やだあ!』
『……魔獣の、森の』
『あの子……あのときの!』
『ロズワールの、思惑……!』
『そんな馬鹿な話、受け入れられるかよ……!』
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エミリアの顔が少し険しくなる。
それを見たベアトリスの顔には歪みが生まれ、オットーは冷たい目でロズワールの方を見る。
「……エミリア」
「大丈夫よベアトリス、わかってる」
怒り狂うことは無かったが、それでもひしひしと怒りが滲み出ている。
「……魔獣騒ぎのせいで、スバルは……」
レムを助けるために奔走して、解けない呪いを刻まれてしまった。
「……あなたには想像つかないでしょうね、ナツキさんの全身の傷を見る度に僕がどんな気持ちになるかなんて」
オットーが誰にも届かぬ独り言をこぼす。
「魔獣……あれも全部仕組んでたんだネ」
フェリスがため息混じりに冷たく吐き捨て、ヴィルヘルムが強く手を握りしめる。
「……スバル殿の気持ちを思えば、到底呑み込めない話ですな」
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『後詰めなんて退屈なこと、私に命じる方が間違っているわ。獣の餌にされるより、私の方がずっと鮮やかに命を楽しめるもの。殺される方も私の方がいいわ、ねえ?』
『よし、それならお前に最高にクールな提案を一つしてやろう。お前が持ってるナイフを逆手に持ち変えます。それから自分のお腹にぶっ刺します。横に動かします。内臓でろりで俺もハッピーお前もハッピー。切腹チャレンジだ。クールだろ?』
『ぷっ!あはははは!すごいすごい!ね、エルザ、やってみたら?エルザ、内臓大好きじゃない。きっと面白いわあ!楽しいわあ!』
『生憎だけど、この体質になったときからそれってもうやり飽きているのよね』
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「えっ、それって自分のお腹を切ったことがあるってこと……?それって……すごーく危ないこと、ね?」
エミリアがどこをどう見ればいいのか分かりませんと言いたげに首を捻る。
「気持ち悪いことこの上ないかしら。自分のお腹を切るなんてどうかしているのよ」
「どうッかしてなきゃァロズワールなんかと手ェ組むわけねェがなァ……!」
ガーフィールが怒りを顔いっぱいに塗りたくる。
フレデリカはそれに小さく頷き、鋭い瞳を件の男の方へ向けて。
「……本当に、苛立たしい限りですわ」
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『ガーフィール……すげぇ無茶なこと頼んでいいか?』
『言ってみてくれや、大将』
『エルザとあの子の足止め、いっぺんにお願いしたい』
ほんの少しガーフィールが押し黙り、
『いいぜ。任ッせろよォ。燃えてきたぜ』
『――!?い、いいのかよ。マジで?いける?』
『そのためッの俺様だろッがよォ。さんざッぱらでけェ口叩いてんだぜ。今さら敵が増えようが強かろうが、弱音なんざ吐けるわきゃァねェ。『崖を背負うミデンに逃げ場なし』ってェやつだぜ』
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「随分と強気じゃない。このふたり相手というのは贔屓目に見ても厳しいと思うけれど」
ラムが表情をさして変えぬまま呟く。
「さすがガーフィールね……!すごい、すごーく……頑張ってっ」
「語彙が死んでいるのよ……それにしてもスバルは突然無茶を言うかしら。このふたりの足止めなんて、簡単な事じゃないのよ」
「まァ、それッを熟すのが俺様だからなァ!」
ガーフィールが声を張り上げて、エミリアがそれを拍手する。
「……本当に無茶を言う人ですからねえ……」
オットーが頭を抱えれば、ベアトリスはそれを軽く笑った。
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『オットー!フレデリカ!状況は変わった!適当なとっから屋敷の外に出れない以上、魔獣に齧られないように別の道から逃げる!』
『別のって言っても、裏の勝手口から出ても結果は一緒でしょう?ガーフィールの武力押しもできないってんなら、どうするんですか?』
『スバル様。私に一つ、逃走路の心当たりが』
『わかってる、フレデリカ。多分、俺から提案する場所も同じ場所だ。ただ……』
『どこから逃げるにせよ、一筋縄じゃいかない臭ぇな、クソ!』
正面からとびかかるハイエナに、スバルはそう叫びを飛ばした。
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「いーやぁ、見ていて飽きないねーぇ、スバルくんたちは」
「誰のせいだと思っているのよ……いい加減にしないとその白い顔を打撲で紫に変えてやろうかしら」
ロズワールに拳を向けるベアトリスをエミリアが引き止め、スクリーンへ目を向ける。
「……魔獣ってどのくらいいるのかしら」
「分からないのよ……でも、スバルたちが苦戦するくらいはいるはずかしら」
「スバル……」
エミリアがぎゅうっと顔を顰める。