朝日はいつでも平等に
応援してくれる人がいるというのはありがたいものですね。
あまり卑屈にならないよう頑張りたいと思います。
今日はレポートを仕上げていたので投稿できないと思っていたのですが、何とかなりました。
昔から前を見てると前以外の方角が見えなくなってしまう子供だったのですが、それは高校生になっても変わらなくて、高校生って子供の頃思っていたよりずっと子供のままなんだと実感する日々です。
最近絵も書いています。
絵の方だとゆるっとしたものしか書けなくて、胃が痛くなるようなものはやはり小説になってしまいますね。
でも、たくさんの人に見られるということは暴力描写を含む小説とかは限定公開みたいにした方がいいんですかね。
少し手間がかかるので出来れば全体公開が好きなんですけど。
そこら辺もこれから考えていきます。
Twitterでもpixivでも温かいお言葉ありがとうございます。
精神的に疲れてる時の方が創作が捗るので大丈夫だと思いたいですね。
蹲っていても時間は待ってくれないので、自分の背中は自分で蹴るしかないですから。
歩けなくなったら座り込みますけどそうじゃない限りは立ち止まらないよう務めるつもりです。
なんかすごい詩的な言葉を使ってしまいましたが、要約すると「心配してくれてありがとうございます。これからも頑張ります」って感じです。
一々長々話してしまうのは昔からの癖なので、すみません。
これからもよろしくお願いします。
- 1,141
- 1,162
- 47,429
『いいかしら?ここはベティーの力の及ぶ、時の回廊を抜けた隔絶空間。ベアトリスの禁書庫なのよ。表にいるのがどんな脅威だろうと、ベティーの禁書庫に到達できるものじゃないかしら。お前の懸念は、単なる杞憂なのよ』
『そうはいかねぇよ。お前の禁書庫のランダム性は、確かに逃げおおせるって意味じゃ強力なアドバンテージを持ってる力だが……致命的な欠陥がある。おまけに相手は、その致命的な欠陥を知ってやがる』
『致命的な、欠陥……?』
『屋敷の中の扉とランダムに繋がるお前の力は強力だ。けどな……お前の力は、屋敷の中の『閉じた扉』にだけ作用する。つまり、屋敷中の扉を開けっ放しにしていけば、いずれは必ずこの禁書庫に辿り着いて、この禁書庫としか繋がらなくなるんだよ』
───────────────────
「……確かに、大精霊様の力にも抜け穴はある……だが……」
ユリウスが眉根を寄せる。
「400年……その歳月を振り払うほどの言葉は、そう簡単なものでは無いよ。スバル」
「腸狩り……あの時、仕留めきれていれば……」
だが、あちらを追うのは賢明な判断ではなかった。
だから仕方ないのだが。
「すまない、スバル……」
───────────────────
『初めてベティーの『扉渡り』と遭遇して、いきなりその破り方を閃けるはずがないのよ。その策を授けたのは、ベティーのことを知っている奴かしら』
『ベアトリス。今はそんな話をしてる場合じゃ……』
『――ロズワール、なのよ』
『ロズワールの福音書には、ベティーを殺すように記述がされたということかしら』
───────────────────
「……ベアトリス……」
エミリアが紫紺の瞳を揺らして痛ましい表情を浮かべる。
「……そう、顔を顰めるものじゃないのよ。ベティーはあいつの……ロズワールの福音書に──母様に向ける思いを知っていたから……だからこの結論に早くたどりつけただけなのよ」
「……例えそうだとしても、見ていて気分のいいものではありませんわね……陣営内での対立は避けたいものですわ」
フレデリカが金髪を揺らしてそう口にすれば、クルシュが軽く顎を引く。
「敵が完全に外側にいれば良いですが……懐の中に入り込まれては敵いませんね」
「そうですねー……クルシュ様はフェリちゃんが守りますから心配いりませんけど」
───────────────────
『何も、書かれてはいないのよ。これまで通り、白紙のままかしら』
『――っ!それなら、お前がロズワールの本の通りに殺されてやる理由なんてあるはずがねぇ!これまで通り、お前のやることはお前が決めろよ!』
『……これまで通り、ベティーが決める?』
『そうだ!何も書かれてないってことは、これまでの時間の選択肢はお前が持ってたはずだろ。小さいことからでかいことまで、自分の道は全部、自分で決めてきたはずだ。それなら今回だって、他人の選択肢の上で踊らされてやる理由なんか――』
『これまでのベティーの日々に、ベティーの決めたことなんて何があるの?』
『ロズワールの屋敷で、お母様から預けられた禁書庫を守り続けて、ずっとずっと一人の時間を重ねてきて……その時間の中のどこに、ベティーの時間があったというの?何も記されない空白の時間を生き続けてきたベティーの、何がこの世界のどこに残っているというの?ベアトリスって、いったい、何をした、誰のことなの?』
『ベティーの生は、ベティーの四百年は、この福音書と同じで真っ白なのよ。空白だったのよ。何一つ自分で選んだものも、何一つ自分で得たものも、何一つ自分を証明できるものも……存在、しない』
───────────────────
ベアトリスが瞳を伏せ、ガーフィールが狼狽したように吐息を吐く。
「これ、ッは……ッ」
ベアトリスの今までの人生を思うと、思わず拳に力が入る。
そんなガーフィールを見て、ラムは微かに瞳を動かす。
「……存在しない……」
その言葉を噛み締めたようにラムは眉根を寄せる。
「……救いようのない話だわ」
その言葉には、確かな哀しみが込められていた。
───────────────────
『心もない、自分もない、ただ一冊の本だったなら……お母様の言いつけを、迷うこともなくずっと信じられた。ずっと、お母様の可愛いベアトリスでいられたかしら』
『でも、ベティーは心があるもの。信じたいものを信じられなくなるぐらい、時間が経てば色々なことを考えてしまうのよ。悩んでしまうかしら。お母様の顔を、笑顔を、思い出せなくなって、記憶を寄せ集めて縋ろうとする夜だって何度もあった!』
『一人でいるのに耐え切れなくて、誰かに触れていたいと思ったときだってあった!でも、どうせみんなベティーを置いていく!自分より大切な何かのためだなんて、そんなわけわからないこと言って、理由をつけて、ベティーを置き去りにしていく!お母様も!ロズワールも!――リューズだって!!』
───────────────────
ベアトリスの叫びが反響する。
耳を塞ぎたくなるほどに痛ましい類のそれを、エミリアは険しい顔で聞き届ける。
「……一人の夜って、すごーく不安になるの。考えなくていい事まで考えちゃうし……自分が自分じゃなかったら、こんなに苦しまなくて済んだのかなとか……そんなことまで考えちゃうの」
エミリアがそう口にして悲しそうに笑えば、オットーが口を開く。
「そうですね……誰かと一緒にいたら笑い飛ばせることでも、一人の時は難しかったりしますから。『辛い時こそひとりになるな』……って、ナツキさんも似たようなことよく言ってましたね」
───────────────────
『――だから、もう、いいのよ』
『ベティーの福音書は、ベティーの未来を刻まない。……とっくにわかっていたことなのよ。ベティーの運命は、とっくのとうにお母様にも見放されていた』
『ロズワールの福音書に、ベティーの命運が刻まれたというのなら……皮肉なものかしら。でも、安心もしているのよ。ロズワールなら、絶対に手心を加えたりしないかしら』
『そんな旧知の間柄に、殺されるかもしれないのに……なんで、安心すんだよ』
『決まっているのよ』
『ロズワールのものであれ、福音書にベティーのことが記されているのなら……お母様はベティーを忘れていたわけじゃ、決してなかったってことかしら』
───────────────────
「……歪んでる……」
クルシュがそう口にして、目を大きく見開く。
「こんなの……おかしい……」
ベアトリスの400年を思えば、そうなってしまうのも不思議では無いが。
「……やっぱり、福音書なんて残しておくべきじゃにゃかったんだよ。……未来がわかるなんて……こうなるに決まってるんだから」
フェリスが苛立ちを抑えるように眉を寄せて、ため息を吐く。
ベアトリスのそれは、見ているだけで胸が掻き回されてしまう。
───────────────────
『お前は馬鹿だ。運命がどうとか、お母様の言いつけがとか、傍から見てて痛々しくてしょうがねぇ。心がある?一冊の本じゃいられない?当たり前だ、馬鹿野郎。こんなカビ臭い部屋にこもってると、そんなこともわからなくなりやがるのか!』
『お前!誰に向かって何を言っていやがるのかしら!馬鹿、馬鹿?よくも言えたもんなのよ……お前に!お前にベティーの、何がわかるっていうのかしら!?』
『馬鹿の自覚がないお前より、お前が馬鹿なんだって知ってる分、俺の方がお前のことをわかってるに決まってんだろ!馬鹿が!馬鹿! 馬鹿!バーカ!!』
『お、お、お前……っ!!』
───────────────────
「スバル……!?」
ユリウスが言葉を失ったと言いたげに立ち上がる。
「君のことだから何か考えがあるのだろうが……いや、でもこれはあまりにも……」
ユリウスが狼狽するのを横目に、フェリスは呆れたように息を吐く。
「スバルきゅん……俺にしか無理だーとか言っておいて、いきなりこれはなくにゃい?」
クルシュが小さく首を縦に振り、ラインハルトはやや困惑しながらも笑みを浮かべる。
「……話し合うのは大事だからね」
ヴィルヘルムだけはなにか思案するように静止していた。
───────────────────
『四百年空白?気取ってんじゃねぇ!四百年間、めそめそ膝抱えてただけだろうが!そんだけ考える時間があって、なんで一個の答えにずっとかじりついてんだよ!本に何も書いてないから、『何もしないをしていました』とでも言うのか?馬鹿か!』
『か、考えなかったわけがないのよ!当たり前かしら!ベティーが何度、どれだけ、福音書の記述が変わらないか試したことか……!でも、何をしても、どれだけ待っても変わらなかった!だから!』
『それが馬鹿だって言ってんだよ!本に何も書いてないから、本に文章が浮き出るように努力しましたって、年賀状の炙り出しか!今どき誰もやってねぇよ!それだけやってダメだったっつーんなら、もっと別の可能性を疑え!』
『べ、別の可能性……』
『ズバリ。お前の母ちゃんが渡す本間違えた可能性とかだ』
───────────────────
ロズワールが頭を抑えて笑いを浮かべる。
「……なぁるほど……これは確かに、君にしかできないことだ」
左右で色の違う瞳を笑いに歪め、喉奥から笑い声を吐き出す。
「……馬鹿らしい……こんなので本当に魔女への妄執をどうにかできると……出来たんだったわね」
ラムが困惑とまではいかない表情を浮かべてため息をつく。
「……こんなやり方、確かにバルスにしか思いつかないわね。普通の人間なら、思いついてもやらないもの」
───────────────────
『いい加減にするのよ!お母様が、そんな馬鹿な真似するはずがないかしら!お前に……お前に、お母様の深遠なお考えがわかるはずないのよ!』
『ああ、知らねぇよ、馬鹿。お前の母ちゃんの考えなんか知るか。今、俺が話してるのはお前の話だ。今、言ったな。そんな馬鹿な真似するはずがないって、そう言ったな。本当にそうか?言い切れるか?お前は母親を疑ったことが、一回もないのか?』
『な、何を……っ』
『四百年間!文字が浮くはずの本はいっこうに白紙のままで!待ってるように言われた待ち人もいつまで経っても現れなくて!ずっと一人で時間を過ごして、考える時間が腐るほどあって、一度も考えなかったのか?おかしいんじゃねぇかと、思わなかったのかよ!?』
───────────────────
「本当に、スバル様には驚かされますわ。あの頑固な……ベアトリス様にかける言葉がこれとは……まあ、ガーフィールへの説得法もこんな感じでしたし……スバル様の得意な説得法……なのでしょうか」
フレデリカが悩ましげに眉を寄せれば、ガーフィールが度肝を抜かされたような顔をする。
「ええ……ッ、大将ォ!?」
もう少しまともな説得をするのだと思っていた。
───────────────────
『お、お母様が間違ったことなさるはずがないかしら!あ、当たり前なのよ。お母様かしら!お前は自分の母親の言うことを、疑うことができるっていうの!?』
『できるに決まってんだろ!うちの母ちゃんの発言の信憑性がどんだけ薄いと思ってんだ! 衛星が『大気圏』に落ちたを『愛知県』に落ちたって聞き間違えてたとき、俺は母ちゃんの口から飛び出すビッグニュースを確認せずに信じるのはやめてんだ!小三のときだぞ!!』
───────────────────
「それはそれで衝撃的すぎますけどね……ナツキさんのご両親……ナツキさんの記憶上でしか知りませんけど、相当……なんというか」
強烈的な人だったんだろうなあ、とオットーは苦笑する。
「……私は母様の言うことは結構信じてたけど……確かに、スバルのお母さんは……すごーく、変わった人みたいね?」
「エミリア様に似てますけどね……」
───────────────────
『四百年間、いっぺんも疑ったことがなかったのか!?俺は二十年も生きてねぇのに、親父と殴り合いになった回数は両手の指が往復しても足りねぇ。二十年でこれだ。二十倍あったお前の中に、そんな気持ちは一度もねぇのか』
『お前は……お前はベティーに、何を言わせたいのかしら!?全然わからないのよ!お前の目的が、お前の発言の意味が、ベティーには何もわからない!わからない!』
『ならはっきり言ってやるよ!馬鹿なお前と、馬鹿な母親に聞こえるように!』
『白紙の本と、四百年前の口約束にいつまでも振り回されてんじゃねぇ。――お前のやりたいことは、お前が選べ、ベアトリス』
『四百年だ。反抗期が一回ぐらい巡ってくるには、十分すぎる時間だろうが』
───────────────────
「……」
ベアトリスが苦虫を噛み潰したように渋い顔をする。
そして、エミリアはその気持ちを汲み取るように眉を下げる。
「精霊にとって……約束は絶対なの。スバル……多分、ベアトリスにとっては……普通の精霊よりもずっと」
ベアトリスが僅かに瞳を揺らす。
「……スバル、べティーは……」
自分の過去を見るというのは、やはりいい気分ではなかった。
───────────────────
『つ、まり……お前はこう、言いたいのかしら。ベティーに、お母様の言いつけを破ってしまって』
『四百年間、ずっと信じ続けてきたものを投げ捨てて、自由になれって……簡単に、お前はベティーに、言ってしまうのかしら』
『――このベアトリスに!契約を破れと!わかったような口を叩くつもりなのか!』
『契約は絶対!絶対なのよ!ましてやそれは魔女と精霊との間に交わされた約束。これを一方的に、それも精霊の方から反故にしろと? お前はなんにもわかっちゃいないかしら!そんなことは許されはしない!誰であれ!どんな存在であれ!ベティー自身も決して、許しはしないのよ!』
『――その契約の裏口探して、破れないなら殺されようなんて考えてた奴がよく言うぜ』
───────────────────
「……本当に、煽らせたら一級品だね。スバルきゅんは」
「そうですね……こんなの、ベアトリス様相手に無謀すぎると思いますけど……」
「その無謀を進んでやっちゃうのがスバルきゅんなんですよ〜、ね?ユリウス」
「ああ……後先考えずに無茶ができてしまうのも、彼の長所だと思うけどね」
「そうかにゃあ……フェリちゃんはそれ欠点だと思うけどね?」
───────────────────
『ひ、開き直りで、どうしようもない悪辣な行いなのよ……』
『開き直りなのはわかってるし、反省もしてるよ。でも、大事なもんだから譲らない』
『お、前が……『その人』だったら……』
『お前が……』
『ベティーの、『その人』に、なってくれるの?』
───────────────────
「……さて、君はなんて答えるのかな」
ロズワールがわくわくと楽しそうに笑う。
「……お前には絶対に教えてやらないと思っていたけれど」
ベアトリスが眉根を寄せる。
「まあ、スバルらしい返答かしら」
「スバル、君はどうする?」
ユリウスが顎に手を当てれば、ラインハルトが心配そうに眉を下げる。
「大丈夫だろうか……スバル」
───────────────────
『馬鹿か、お前。――俺がお前の『その人』なんてわけのわからない奴のわけねぇだろ』
───────────────────
その言葉が耳に届いた瞬間、起こした反応は様々であった。
「……びっくりしちゃった」
そう言って、エミリアが銀髪を揺らす。
「うん、確かに……スバルならそう言うと思うけど……」
それにしても、驚いてしまう。
「ええ……ナツキさん……ほんとにあんたは……はあ……」
わたわたと騒がしくオットーがリアクションを起こせば、それを見ていたベアトリスが笑う。
「騒がしいやつかしら」
「……スバル……」
ユリウスは驚きに動きを止め、完全にフリーズしていた。
「……なにか、考えがあるのだろうな……」
「いやあ、行き当たりばったりに見えたけどね」
「……君は本当に面白い子だーぁね……そして、笑えるほどに愚かな子だ」
───────────────────
『ごぁ!うぉごっ……あ、ありえねぇ……!話の途中で、あの馬鹿……!』
『まさか、追い出すとこまで怒るかよ……クソ、言葉選び間違った……!』
『とにかく、こうしちゃいられねぇ。また別のドアからベア子のとこに……!』
『な、ナツキさん……?』
『お、お前ら……?なんでまだ屋敷にいるんだ?一棟でいいから、ドア開けが済んだら逃げろって言ってあったはずだろ?』
『それが残念なことに、外の状況が大きく変わりまして……』
『何があった?手短に頼む』
『魔獣です。屋敷の外を、魔獣がなぜかうようよと囲んでいて、身動きとれません』
───────────────────
「……魔獣……」
エミリアはハッと気づいたように瞳を開く。
「そっか……本当に……」
そして、ロズワールの方を睨みつける。
「本当に、余計な仕事増やしてばっかり……スバルがてんてこ舞いになっちゃうじゃない……!」
「てんてこ舞いなんて今日日聞かないのよ……」
スバルならこういうだろうというツッコミをベアトリスがして、エミリアはその響きに少しだけ肩の力を抜く。
───────────────────
『――あら?こんなところにまとまって、わざわざ待っていてくれたの?』
『ガーフィールの奴、何してんだよ!?』
『三人まとめて、綺麗な腸をさらしてね――』
───────────────────
「俺ッ様も魔獣がいるなんざ思わなかったからッなァ……」
ガーフィールが少し瞳を逸らす。
フレデリカが疲れきったと言いたげな顔でため息を吐く。
「……本当に、見ているだけで思い出して……疲れますわ」
最高です