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全ての悲劇はひとつに収束する/Novel by 春風

全ての悲劇はひとつに収束する

9,231 character(s)18 mins

フォロワー3000人ってマジですか??
数が増えると怖くなってしまいますがこのシリーズだけは完結させてみせます。
転生するなら全てを終わらせてからにしないと……

最近ダンダダンを読み始めました。
オカルンかわいい。
モブサイコ読んだ時も思いましたが普段は情けないのにいざと言う時誰かを守れる人が好きなのかもしれません。
あと単純に黒髪で目立たない顔が好き。

最近、藤田和日郎先生の作品を読んでいます。
からくりサーカスも少しだけ読みました。
「ぜひ」のシーンで「ぎゃーーーっ」てなりました。
あんな絶望を書けるなんて本当にすごい。
真似したいものです。
双亡亭壊すべしとかも面白そうですよね。
うしおととらは小学生の頃に読んでたので懐かしいなぁと思いながら読んでます。

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『こーぉんな夜遅くに訪ねてきてくれるとは、思ってもみなかったねーぇ』
『……そのわりには、準備万端って感じの待ち構え方じゃねぇか。寝るために明かり消すどころか、火を取り換えたばっかりって感じだ』
『あはぁ、手厳しいねーぇ。ま、間違っちゃーぁいないけどね』

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「一応聞いておいてやるのよ、この会話に記憶は?」
「……あるとも」
「……エミリアに殴られないよう距離を取っておくべきかしら」
ロズワールの体をラムの方にぐいぐいと押す。
エミリアがロズワールに殴りかかればベアトリスにも二次被害が来るから。

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『そーぉれで?わざわざ夜這いにきてくれたんだ。なーぁにか、私の興味を引くような口説き文句を持ってきてくれたんじゃーぁないのかな?』
『……口説き落とす、って部分は間違いじゃねぇんだろうな。ロズワール、『聖域』を『試練』抜きで抜ける方法ってのは、あるのか?』
『スバルくん。――君は今、何度目なのかな?』
『悪いんだが、数えるのも馬鹿らしい回数だよ。こんな感じの腹の探り合いをお前とするのも、もう何度目なのか覚えちゃいないぐらいだ』
『そう……か。なーぁるほどねーぇ。君がそうやって割り切った切り口で話してくれるということは……そういうことだと思って、いいのかなーぁ?』

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「……これは嫉妬の魔女の怒りに触れないのね……どこで判断してるのかよく分からなくなっちゃう」
「恐らくですが、権能については話していないのでそれが理由ではないでしょうか。ロズワール様は直接的な単語を出してはいませんし、バルスもそこは回避しています」
ラムにも把握しきれてはいないのだが、おそらくそういうことなのだと思う。
「……ロズワールってすごーく狡賢いのね」
「……それは……そう、ですね」

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『今も色々と試行錯誤してる最中だ。お前にも、協力してほしいところだな』
『その試行錯誤の一端が、『試練』に挑まずに『聖域』を抜ける……なのかな?だーぁとしたら、弱気なことじゃーぁないかね。君の持ち得る権能ならば、無限の挑戦の果てに必ずや困難を乗り越えることが可能なはず。どれだけ挑んだかはわかりはしないが……断念して別の手法を求めるだーぁなんて、覚悟が足りないんじゃーぁないかね?』
『なにも『試練』を乗り越える、だけに拘る頭の固いのが冴えたやり方とは思わねぇけどな。もっとスマートなやり方があるならそれを選ぶ、それだけのことだろ。形式に拘って本質を見落とすなんて馬鹿らしい。ようは必要なのはこの場を脱することができたって事実と功績がエミリアに与えられること……違うか、ロズワール?』
『なーぁるほど……それは確かに、私好みの答えじゃーぁないかね』

********************

「……本当に、旦那様は悪巧みの上手い方ですわね」
「あはーぁ、それは褒めてくれていると思っていいのかーぁな?」
「今のが褒められたように感じたなら、一度治癒術師にかかってみては?」

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『お前も認識してる通り、俺ならいくらでもエミリアを王にするために奔走できる。それこそ、未来の情報は全て俺が予習して持って帰ってこれるからな。言っちゃなんだが、『聖域』の解放なんてのは関係者も少ない小さなイベントだよ。白鯨とか魔女教とか、もっとインパクトの大きいイベントの処理に心血を注ぐべきだ。――ここは、そこまで力を入れる価値のある舞台じゃない』
『……いーぃや、『聖域』の解放は必須だ。そこは譲れないラインとさせてもらうよ。私はまだ、君の力に関しては懐疑的であると言わざるを得ないからねーぇ』
『懐疑的……?』
『わーぁたしはこの目で君のやり直す権能を確認できるわけじゃーぁないからね。君の口車に乗せられていないとも限らないわけだーぁよ。もーぉちろん、結果が伴うのであればいやがおうにも納得させられてしまうのだけどねーぇ』

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「……ま、そーだよねぇ。スバルきゅんの死に戻りは、見ても信じられないようなもんだし」
「……話せないのが困りますよね……話せたら、」
「……話せたとしても、スバル殿の性格では悪用されてしまうでしょうな。警戒心が薄く誰にでも優しいのはスバル殿の善性によるものですが……この権能が皆に知れれば、監禁や拷問など……最悪の事態は必ず来ると、思います」

********************

『……どーぅやら、まだ君の覚悟は研ぎ方が足りていないらしいねーぇ』
『少しだけ……そう、少しだけ、期待してしまったよ。ひょーぉっとしたら、私が望んだ先を見れるのかもしれないと。だが……やはりそうはいかないみたいだーぁね』
『いったい、あと何度……私は君に落胆させられるのだろーぉね』

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「覚悟……スバルはそれを望まないのに背負わされるというのは、些か度し難いが」
「そうかな……そうだね。望まない責任を背負わされるのは……」

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『……お前を納得させられるような、俺の覚悟の示し方ってのはなんだ?』
『ふむ……本音を言えば、そのあたりのことも私と接していくことで察してほしい部分ではあるんだーぁけど、そのためだけに何度もやり直すのはいかにも無駄手間だからね』
『大枠としては『聖域』の解放、こういうことになる。ただ、『聖域』の解放に至るには君の行動が不可欠で、それには何度やり直しても構わないという覚悟が伴う必要がある。『聖域』が解放されるということは、おのずと君が覚悟を決めた結果の証明ということだよ』
『どうして、そうなる。確かに答えとしちゃそれが一番近いのかもしれないが、それだけなら別に……『試練』を乗り越えるだけなら、俺が何もかもを切り捨てる覚悟がどーのって話には繋がらないだろ。エミリアが、自分で『試練』を越える可能性だって……』
『それはあり得ない』
『君の儚い期待が結実することはないよ。エミリア様が、『試練』を乗り越えるなーぁんてことはあり得ない。そんなことができるほど、アレは心根が強くない』
『……アレ、だと?』
『そうとも。育った環境や因習の影響もあるだろうけど、アレは駄目だよ。たった一人で立つことなどできるはずもない、弱く脆い、小さな子だ。罪悪感と自責の念に急き立てられて動く姿など、健気すぎて憐れみさえ覚える』

********************

「……別に反論なんてしないけど、私にはエミリアって名前があるの。ちゃんと名前で呼んでよね、ロズワール」
「……エミリアが怒らなくても、べティーは怒るかしら」
「大丈夫よ、ベアトリス。私、自分がダメダメだったことは自覚してるの。自覚したからこそ、スバルと手を取り合って立ち上がれたとも思うし……この時のことも、無駄なんかじゃなかったとも思うから」

********************

『なのにお前は、エミリアは無理だって……それなら、それならどうしてここに!』
『君がいるからだ。君の存在があれば、何の力もない弱々しいハーフエルフであったとしても王座を目指せる。否、王座につける。当然だ。そうならない道は全て君が排除し、君は彼女の望みを完遂させる。それだけの力が君には備わっている。エミリア様に価値があるとすれば、それは君という最強のカードを手に入れたことだ』
『俺が……最強の、カード……?』
『ふざけるな!エミリアが……エミリアがどれだけ頑張って、どれだけ色々考えて、苦しい思いしてまで『試練』に挑んでると思ってやがる!見たくない過去を掘り返されて、それでもあの子は……必死で頑張ってるんだぞ! お前はそれを!』
『結果が出なければ全ては無駄だ。そしてその結果が出ないことを、私なんかよりも君の方がずーぅっと、よくわかっているんじゃーぁないのかね。エミリア様のその頑張りの結果が出ていたのだとしたら、君がここへ戻ってくる理由などないのだからねーぇ』

********************

「……異なる世界線を見た限り、彼が最強のカードというのは强間違いではなかったのかもしれないねーぇ」
「スバルはそんな風にはならないかしら。べティーがそばにいる限り」
「……そう、願っているとも」

********************

『お前は俺に、エミリアの代わりに『試練』を突破してほしいみたいだけどな……エキドナは俺から『試練』を受ける資格を剥奪した! お前の期待する結果は、もう俺から引きずり出せねぇよ!残念だったな――!』
『――資格を、剥奪された?』
『どういう、ことだね……』
『どういうも、何も……そのまま、だ』
『エキドナに、資格を取り上げられた。今の俺は複製体の指揮権どころか、墓所に入ろうとしただけで目が回ってへたり込む状況だ。……中に入ろうとして、拒絶されるお前と立場は一緒になったんだよ』
『な、ぜ……いや、どうしてそんなことに。君は、墓所の中で『試練』を受けて……そうでなくては、この『聖域』の解放は、彼女の本懐は……』

********************

「……そうか」
ロズワールが瞳を少しだけ細め、掌で顔を覆う。
「……なるべく、痛い思いはしたくないのだけどねーぇ」
この先訪れる未来を何となく察し、ロズワールはそう笑った。
痛みこそが救いであると、そう言いたげに。

********************

『君のやり直しで、資格を剥奪される前に戻るというのは……?』
『勘違いしてるみたいだが、そんな万能な力じゃねぇよ。対価なしに戻れるほど気楽に扱えるもんじゃねぇし……そもそも、戻れる地点が手遅れだ。戻るとしたら、剥奪された後に戻る。墓所に入れないことは、変わらねぇ』
『そう、か……』
『手詰まりなのは俺も同じだ、ロズワール。俺とお前は、もっとしっかり話し合って打開策を見つけ出すべきだと思う』
『お前の、その福音書に沿った結果を引っ張り出すってのは厳しくなるかもしれねぇが、記述は何もそこだけで終わってるわけじゃないはずだ。大筋だけ沿えば……ってのはお前的には納得いかないかもしれねぇけど、妥協案があるなら……』
『……りなかったか』
『──あ?』
『――私の追い込み方が、足りなかったということか』

********************

「……ふざけた、ことを」
そう口に出したのは誰だったか。
エミリアの顔は酷く強ばり、ベアトリスはその小さな掌にめいいっぱいの力を込めた。
フェリスは唇を小さく噛み、ユリウスは最悪の可能性を思案した。
ヴィルヘルムは、その眉間に皺を刻み。
「……そういうことか」
ラインハルトは、真実に気がついていた。

********************

『経緯はわからないが、エキドナが決め事を変えたということはそれ相応のやり取りが君との間に交わされていたはずだ。本来ならば、君と彼女の間にそんな亀裂が入る前に、君は覚悟を固めて『試練』に……そうだ、私が及ばなかった』
『私が君を、もっと追い込んでいれば……あれもこれも手を伸ばしていては、大事なものを取り落とすのだと、わかるよう示していれば……こんなことには……』
『待て、ロズワール。待て』
『ガーフィールの性質を知った上で、君やエミリア様を『聖域』へ呼び寄せたことも』
『『試練』の恐ろしさを知った上で、エミリア様をそこに挑ませ、傷付く姿を君に見せて奮起を促したことも……』
『待て、待ってくれ。ま――』
『手の届かないところで大切なものが失われることで、君が完成するだろうことも……何もかも、まだ足りなかった』

********************

ユリウスが素早く立ち上がり、剣に左手をかけるが、すぐに右手で己を制止したあたり、ユリウスは最優の騎士である。
「スバル……」
顳かみに血管が浮き上がる。
友人が幾度となく繰り返した死の原因が、すぐそばに居るのだ。
その気持ちを最も抱えるのは、エミリアやオットーであると分かってはいるのだが。
「ラインハルト」
「……なんだい?」
「君は、どうする」
「……ここで戦うのは、最善とは言えないね。……僕としても、友人を苦しめた原因に内心が穏やかとは言えないが」
やはり、ラインハルトは英雄だ。
そうとしか、生きられないのだ。

********************

『すでに答えは出ているだろう。大事なものと、大事なものと、二つが同時に危機に追いやられれば人は選択を迫られる。どちらがより大事なものなのかを選び、選ばれなかった方を取りこぼす生き方を。そうして、唯一、大事な一つのもの以外をそぎ落としていって完成するのが、君という選ばれた存在だ』
『馬鹿げてる!!完成された存在!?俺には傷だらけの大馬鹿野郎が、吹きっさらしの荒野に一人で立ってるようにしか見えねぇぞ!』
『だが、大事な存在は緑の溢れる場所に、無垢な美しさを保ったまま抱かれることができる。それは君自身が傷付かないことより、優先度が上なのかね?』

********************

「……ふざけ、やがってェ」
ガーフィールの踏み込みを、紫紺の瞳が捉えた。
「! ガーフィール、待って!」
「エミリア様、それは出来ねェ」
白く長い掌が虎を捕まえるより早く、再来された怒りが道化の顔に叩き込まれる。
「ガーフィール……」
エミリアは止めることなく、暫しの動揺を瞳に映していた。
「エミリア様……」
「……オットーくん、ごめんね。私は、ガーフィールを止めてあげられるほど、優しくは無いかもしれない。私も、まだ少しだけ怒ってるから」
「……それは、僕もそうですよ。でも」
「……そうよね、止めなきゃ」
エミリアの表情を見て、オットーは酷く後悔した。
オットーは、エミリアにもスバルにも悲しい顔などさせたくなかったのだから。
その為に、自分に出来ることを模索していたのに。

********************

『君は私をどうかしていると評した。私もそれに同意しよう。間違いなく、私はどうかしている。正気にない。とうの昔に、心を持っていかれてしまっている』
『なぜ君は、どうかし足りていないのだろうねーぇ?私と同じように、いや私以上に君こそはどうかしているべきだ。どうかしていなくては、挑めない境地にあらなくてはならない。私の求めるところより、君が求めるところの方がはるか高く遠いのだから。誰にも理解されない、できない、孤独の道を行くのに人間の心なんて必要ない。心を強く、固く、鋼のようにして、そうあらなければならない――そうだろう?』

********************

ガーフィールの腕をエミリアが引っ張り、小さく呟く。
「……そんなのは間違ってるわ。スバルが人の気持ちを考えられない人だったら、私はスバルを好きになんてならないわ。私がいつかスバルを好きになるって思えるのは……スバルが、優しいからよ」
治りゆく床にエミリアは冷たい視線を向け、ガーフィールを席へと誘導する。
「……ロズワールを殴った私に止められるのも嫌よね。ごめんなさい、でも……ここでの暴力はすぐに癒えちゃうから」
「あァ……すまねェ、エミリア様」

********************

『断る。――君の覚悟が足りていないのを見て、ますます必要性を強く理解したよ。君は人間である必要などない。人間性など剥離してなくしてしまうほどに、君を追い詰め、傷付け、エミリア様に依存させよう。エミリア様もまた、君をなくてはならない存在だと依存でしかない愛に溺れさせよう。互いだけがあればいい関係に沈めて、がむしゃらに溺れる君たちの進路を私がとろう。それが、私の目的が成る唯一の道だ』
『そ、んなことに何の意味が……!俺がどれだけ削れたところで、なくなった資格は戻ってこない!骨折り損で、何も手に入らないんだぞ!』
『それが本当の本音かどうか、君自身が一番わかっているはずだ』

********************

「依存……」
エミリアは瞳を揺らす。
それが成った時──それは、エミリアがスバルに「ずっと一緒にいて」と伝えた、あの時のようなことを指すのだろう。
「それは……それだけはだめ。そんな事になったら……スバルは、きっともう私のことを……誰のことも、頼れなくなっちゃう」
スバルが一人で抱え込んだ結果が、分岐した世界線を招くのであろう。
であれば、エミリアは──エミリア達は、スバルを支え、隣で歩ける存在であるべきなのだ。

********************

『ガーフィールは君に組しない。私は企てをやめるつもりはない。君は及ばない状況に心をすり減らし、研ぎ澄まされて、完成されるだけでいい。それ以上は不要だ。割り切ってしまいたまえよ、ナツキ・スバル。――エミリア様以外の誰が死んだところで、どうということはないと、割り切ってしまいたまえよ』
『ふざけるな!俺は!俺はお前みたいにはならねぇ!お前みたいな、お前みたいな考え方は……絶対にしねぇ!そんなのは、人間の考え方じゃねぇ!』
『俺は、人間だ。どんなわけのわからない力が与えられて、どれだけ痛い思いや辛い気持ちを味わっても、それは損なわない。――俺は人間だ。人間で、あり続ける』
『まーぁ、構わないとも。君に無限の機会がある限り、それは私にとっても同じことだ。今回、君の説得は諦めることにしようじゃーぁないの。次の私に、任せるとするさ』

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「……仮に、エミリアとスバルが共依存関係に堕ちたとしても、それで上手くいくなんてことはありえないかしら。大事なものを置いてけぼりにしたまま筋書きだけを最善として押し通したなら……残るのは、人らしさを失った傀儡と判断が出来ない操り人形だけなのよ」
その言葉は酷く厳しく、酷く正しい言葉だった。
「そうね……私もそう思う。そんな事になったら……きっと、全部が悪い方向に行っちゃうと思うの。結果だけ見たら、良かったとしても」

********************

『――どうしたらいい』
『ロズワールがエルザの雇い主だってんなら……』
『何もかもが予知の通り……それなら、レムが存在を奪われたことも、こうして『聖域』で八方塞がりになることも、全部、誰かの予定通りだってのかよ……』
『馬鹿か俺は……いや、馬鹿だ俺は。その考えで、思考停止した結果がロズワールだろうが……俺まで、それに呑まれてどうする……』
『──え?』
『なんだ?なんだ……何がおかしい。でも、何かがおかしい……!』
『駄目だ。――あと一歩、何かが出てこねぇ』

********************

「……盗品蔵でのことが、仕組まれていたと?」
ラインハルトの顔が珍しい表情をうかべる。
「……あんな、何回も」
その吐息が言葉と変わるより前に、口が固く結ばれる。
「……スバル」
それを人は、絶望と呼ぶのだろう。

********************

『本当に……全然、覚悟ができてなかったんだって、そう思わされたの。私、色々と向き合わなきゃいけないことから逃げて、ここまできてたんだーって』
『別に俺は、それが悪いことだとは思わないけどな。嫌なことから逃げ出して、何が悪いんだよ。嫌なことと向き合い続けてたら、いつかはそれを克服できるのか?克服しなきゃ、いけないもんなのか?逃げた先で違う道を見つけて、その道を行くことを決めたとしたら……それは後ろ指を指されなきゃいけないようなことか?』
『スバル……?』
『墓所に『試練』を仕込んだエキドナも、それがあるとわかっててここに引っ張りこんだロズワールも、乗り越えなきゃならないってわかってて邪魔するガーフィールも、どいつもこいつも身勝手なんだよ。お前らが好き勝手やってるのに付き合わされてんのに、どうして俺たちが振り回されなきゃいけねぇんだ。それで俺たちなりのやり方でどうにかしようとしたら、思い通りにならないって文句言われて……どうしろってんだよ』
『頭がパンクしそうで、どうにかなっちまいそうなのに。まだまだまだまだ、積み重ねるみたいに問題が山積みになっていって……挙句の果てに、その理由が俺にあるとか、ふざけんなよ。ふざけんな。ふざけ――』
『あ、あ――?』
『ゆっくり。静かに。ゆっくりでいいから、私の心臓の音を聞いていて』
『──ん』
『一定の鼓動に身を任せて、静かに息を吸って、吐いて……繰り返して。落ち着いたら、私の背中を叩いて。落ち着くまでは、このままでいいから』

********************

「……私、本当にスバルを慰められたつもりでいたんだけど……結局、私じゃなんにもしてあげられなかった」
「……そんな事ありませんよ。ナツキさんは、エミリア様に何度も助けられたと思いますし」
「……そう?やっぱり、オットーくんは優しいのね」
「エミリア様程じゃないです」

********************

『うまくいかないことばっかりで、ホントに俺は……今も、ロズワールとやり合ってきたとこだったんだよ。どうにか、『試練』なしで『聖域』を抜けられないかって』
『え?』
『ホントは俺が、『試練』を肩代わりできたらそれが一番良かったんだけど……でも、それはできそうになくて。だからせめて、抜け道でもないもんかって必死で探ったんだけどそれも難しくて。どうしたらいいのかって……役立たずでごめん』
『スバル──』
『だけど、きっと俺がどうにかしてみせるから。エミリアに辛い思いも、嫌な思いもさせないようにどうにかしてみせる。だから、俺を信じてほしい』
『……スバル』
『ああ』
『スバルの気持ちは嬉しい。本当に嬉しい。――だけど、その優しさは受け取れない』

********************

ロズワールが軽く髪を撫でる。
「……そうか、こういう……」
ベアトリスはそれを見て足をぶらつかせる。
「お前もべティーも、指示に従ってるうちは周りを鑑みることの出来ない向う見ずだったってことなのよ」
その瞳には、一切の陰りもなかった。

Comments

  • レイラ
    Mar 30th
  • シン
    May 19, 2025
  • 俺ちゃん

    TikTokでこの小説教えてくれた人マジで恩人

    November 29, 2024
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