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雪もいつかは溶けるけど/Novel by 春風

雪もいつかは溶けるけど

6,704 character(s)13 mins

本文を削ってセリフを多めにするのを心がけたのですが、どうでしょうか。
見にくくなければ嬉しいです。

完全に自己満足で投稿してるので、人によっては不快にさせちゃってるみたいでごめんなさい。
そういう時はそっと閉じて他の方の作品を閲覧頂けると嬉しいです。
コメントの言葉が強くて鋭いと心がギャーってなっちゃうので……
よろしくお願いします。
ご指摘は全て目を通しています!
嫌な言葉が入ってるのは見れてないんですけど...
暗い話題でごめんなさい!
次のリゼロ演説ですね!
たのしみ!

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『俺の中で飲み下せない色々な感情が渦巻いてるが……今は忘れておく。それより、どうして反対しやがる。お前にとっても、『聖域』の解放の可能性を底上げするのは悪い話じゃねぇはずだぞ』
『まァ、ババアの方針を全面的に肯定するっつんなら、てめェの提案を受けた方が効率がいいってェのはわかる話だぜ?――だァが、絶対に嫌だ』

「...どうして、急に……」
エミリアが首を傾げる。
前回は上手くいったのに、何故なのか。
「……死に戻りが魔女のせいなら」
ラムには、ガーフィールの行動の理由がわかった。

『わ、私が頑張るから、スバルは無理しなくて大丈夫よ。ちょっと……そう、ちょっといきなりだったから驚いちゃっただけで、なにが起きるかわかってれば……』
『いや、エミリアたんの方こそ無理しなくていいって。あの頑固野郎は俺がどうにか説得してみせっから。そうすれば『試練』なんて……』
『スバルは……ううん、スバルも、私に任せられない?』
『……え?』
『わ、私がダメなところ見せちゃったから、『試練』を任せられないって……そんな風に思ってるから、代わりに』
『違う。そうじゃないよ』
『ううん、スバルが不安に思うの、わかるもの。スバルはちゃんと乗り越えられたのに、私は乗り越えるどころか……む、向き合う覚悟だって決まらなくて……『試練』なんて名前の、『過去』に……』
『思い出さなくていい――!』
『でも向かい合わなきゃ、『試練』は越えられないの!そう、そうよ……『試練』を越えなきゃ、『過去』を越えなきゃ……王様になれない。村の人たちも、『聖域』の人たちも外に出してあげられない……』
『スバルに甘えてばっかりじゃ、いられない。いられないもの。ほんの少し前に、スバルがあれだけ傷だらけになって、それでも私のために頑張ってくれたのに……私、またスバルに、なにもかも背負わせるつもりで……』
『いいんだよ、それで。言い方悪いかもしれないけど、持ちつ持たれつだ。適材適所の方がいいか?この『試練』に関しちゃ、俺の方が相性がいいんだ。ただそれだけのことで、それ以上の意味なんてない。俺ができそうだから、俺がやった方が確実で早い。俺にできそうなことなんてそうそうあるもんじゃない。エミリアたんがエミリアたんで頑張らなきゃいけない機会なんて、これからいくらでもまたある』
『その機会の大事な一つが、今なんじゃないの?嫌なことから目を背けて、逃げ続けて……それで、私、どうなるの?』

「エミリアの言うことはもっともかしら。でも...」
「スバルは、私のために言ってくれてるのよね。わかってる」
「過去を乗り越えるのは、簡単ではありませんわ」

『ハッ。そうやって言い合い押し合いしてんのは勝手だがよォ、傍目に聞いてる分にゃァエミリア様の方に分があるように聞こえんぜ? 実際、『試練』はエミリア様が挑むために用意されてるもんだろが。そこを横っからしゃしゃり出て……』
『うるせぇよ!お前は……お前はまだ、なにも知らないから……っ』
『あァ?』
『そうやって押しつけて、結果どうなるかお前はわかんのか?傷付いて苦しんで磨り減って、そうなるとこ見て平気でいられんのかよ。……俺がどうかしてたんだ』
『条件だのメリットだの、そんなのありきで考えるばっかで、肝心のエミリアのことなにも考えてなかったって言ってんだよ。『試練』を乗り越えて、それで得られる成果ってのはでかいだろうよ。でも、それまでの間につけられる傷は、流す涙は、勘定に入ってない。……本人の意思もだ』
『なに、を……知ってるの、スバル』
『エミリア?』
『知ってるの?スバル、わ、私の……私の『過去』を、知って?』
『ちが、違うの……私、そんなつもりじゃなくて……私は、ただ……ただっ』
『みんなが、私を……だから、母様も私を……でも、違う。ホントは違う。本当は違ったの。あのとき、私は……本当は……っ』
『エミリア、なにを……』

「...痛ましい限りですわ」
「フェリちゃん的には、エミリア様に味方したい気持ちですね〜過去を知ってるような口聞かれたら不安にもなりますし」
「...フェリス、そのような言い方は……」

『ラム。エミリアを部屋に寝かせたら、ロズワールと話がしたい。いけるか?』
『ロズワール様は静養中よ。しばらくは誰も入れるなと……』
『『試練』について話がしたい。こればっかりは、俺やお前みたいに役職が低めの奴らで話し合ってても埒が明かねぇ。頭脳の意見が必要だ』
『... 待ってろ、エミリア』
『今に俺がなんとかしてやる。君がもうこれ以上、泣くことも苦しむことも、しなくて済むように。きっと』

「ナツキさんは一人で背負いすぎなんですよ。いつもいつも」
「……スバルが気負ってる時、べティー達が助けてあげられない...その弱さが悪いだけかしら」

『墓所の『試練』はエミリアに『過去』を見せてる。あの子が見て苦しんでる『過去』ってやつに、お前は心当たりがあるか?』
『それを直接、エミリア様に聞かずに私に尋ねるというのは、卑怯なことだーぁとは思わないのかい?』
『姑息だ卑怯者だと罵りたいなら好きにしろよ。俺だって、できるんならエミリアのことはエミリアの口から全部知りたいさ。けど』
『俺があの子のことを知りたいってのもあるし、知らなきゃいけないってこともある。そのために利用できるもんなら、藁でもなんでも掴むさ』
『今まで色々なことを周りに言われたものだが、藁扱いされるのはさーぁすがに初めての経験だよ。……さぁーて』
『エミリア様がハーフエルフであること。そーぉして、ハーフエルフという存在が『嫉妬の魔女』の影響で、ひどく差別意識を持たれていること。こーぉれらは、さしもの君でもすーぅでに知っているお話だーぁよね?』
『……ああ。エミリアがそれで不当な扱いを受けてきたんだろうってのも、あの子の王城での振舞いとか見てたらわかる。胸糞悪い連中とも、顔合わせたしな』
『確かに特にひどい弾圧を受けたのはハーフエルフだったんだーぁけど……ことはそれだけに収まらない。時にスバルくんは、王都でエルフを見かけたりしたかーぁな?』
『エルフ?ハーフじゃなくてか?……いや、たぶん、見てないと思う』
『厳しい弾圧を世界各所で受けたのはハーフエルフだけじゃーぁない。そのハーフエルフが生まれる原因の片割れでもある、エルフにもその矛先は向いたんだから』
『……!いや、いくらなんでもそれは見境がなさすぎるだろ。それにその理屈で言うなら……』
『人間の方も根絶やしにしなくちゃって?残念だーぁけど、この世界においては亜人より人間族の方がはーぁるかに数も多い、国家も大きい。そうした亜人と人間族との溝が広がりすぎた結果が、『亜人戦争』に続いてくるわーぁけだけど、今はその話は関係ないからね』
『王都のような場所にハーフエルフが顔を出せないのはもちろん、その親種族であるエルフもまた方々に顔を出しづらい。君が王都でエルフの顔を見かけることがなーぁいのも、その影響が大きいだーぁろね』
『ハーフエルフ差別の延長で、エルフもまた各所で弾圧を受ける憂き目に遭っていたわーぁけ。そうなってくると、エルフたちはどこで暮らせばいーぃんだろうねぇ』
『エルフっていや……お約束なら森の中とかに集落を作ってるイメージだ。人が足を踏み入れないような森の中で、狩りとかしながらひっそりと』
『どこで知ったか知らないけど、おおよそはそんな感じの考えでいーぃとも。エルフたちは町を追われ、そうして森の奥地でひっそりと暮らすようになるわーぁけ。――エリオール大森林、その場所もそんなエルフたちの住処の一つだった』

エミリアの瞳が大きく揺れる。
「...ロズワール」
その声には怒りはなかった。
ただ、動揺だけは滲んでいたが。

『エリオール大森林の凍結が始まり、そして広がったのは記録上は九十年以上前の出来事になる。全てを凍てつかせ、あらゆる生き物を凍えさせる絶対零度の世界。――彼女は、そんな世界でたった一人で生きていた』
『――エリオール大森林の奥、そこを住処にしていたエルフ族は集落ごと氷漬けになって今も時間を止めている』
『たった一人、その過ちを犯したハーフエルフの少女を除いて……ね』

「エリオール、大森林……」
ユリウスの声が響く。
「...エミリア様」
「……事実、だもの。でも...」
こんな形で知られたくなかった、とエミリアは悔しそうに。

『聞いたことを、後悔している……そうかーぁな?』
『ちょっと、驚いただけだ。なんつーんだ……思ったより、エミリアが俺よりちょっと年上だったもんだからよ』
『おや、知らなかったのかい?ハーフエルフであるエミリア様は、エルフ族ほどでないにせよ長寿族だ。エルフともなると、殺されない限りは死なないとまで言われるぐらいだーぁしね』
『最低でも六十歳差か……お姉さんキャラ好きの俺でも、さすがにこれだけ攻略対象と年齢差があるパターンは経験値が少ねぇぜ』
『イマイチ要領を得ないけど……その口ぶりだと、エミリア様以外にも長寿族と接したことがあるのかーぁな?』
『まぁ、不死者とか吸血鬼とかはギャルゲーなら基本パターンの類型だしな。ロリババアってリューズさんカテゴリーもあるし、業が深いんだよ』
『でも、あれだけ可愛けりゃなんでも許せる。問題なし。エミリアたんが俺の一番星なことには変わらないさ』

「スバル...」
その言葉は本気で嬉しい。が、それだけで済まないのが現状だ。
「...大丈夫、よね」

『……『試練』は過去を俺に見せた。きっと、エミリアにもそれを見せてる。だとしたらあの子が見てる過去ってのは』
『自分がもっとも目を背けたい過去と向き合わせるのなら……エミリア様が見ているのは間違いなく、エリオール大森林が凍結した日のことだろーぉね』

「...うん」
エミリアが悲しそうに笑う。
「……エミリア」
ベアトリスがそれを憂うように。

『エミリア様の中ではそれが事実なんだよ。そして、その事実を踏まえた過去が墓所でエミリア様に降りかかっている――さーぁ、どうすべきだと思う?』
『お前は……なにを考えてやがんだ?』
『エミリアの抱えてる過去に同情しろとか、共感してみろとかそんな話じゃねぇ……背負ったもんの重さがわかってて、苦しむこと知ってて、乗り越えられるかどうかもわからない『試練』に挑ませるのに、どうしてそんな楽しそうにしてられんだ?』
『おかしいだろ!?お前……お前は、エミリアを王にしたいんじゃないのか?あの子が王様になるのに手を貸す立場なんだろ?お前の狙いはわかってるよ。エミリアが『試練』を乗り越えて『聖域』を解放すれば、それで『聖域』の住人からもアーラム村の人たちからも支持がもらえるかもしれない……それはわかってる』
『それをさせようとしてる一方で、お前は肝心な部分じゃエミリアを突き放してる。『聖域』の解放ができなきゃ成立しない賭けだってのに……どうしてそれが頓挫しようとしてる今、そんな風に余裕でいられるんだよ!』
『エミリアは、王様にならなきゃって言ってる。俺だってそれを叶えてやりたい。……お前は、本当にあの子を王様にする気があるのかよ』
『――あるに決まっている』
『彼女を王にする気があるのか?あるとも、もちろんある。――私以上に、エミリア様を王にしたいと焦がれる存在などいるはずもない。エミリア様本人はもちろん、君風情などお話にならないほど、私にはそれをする理由がある』
『ろず、わーる?』
『その私を捕まえて、やる気があるのかとは笑わせてくれる。笑わせてくれるよ、まったく。――まだそこにすら、辿り着けていないのか』
『スバルくん。残念だーぁけど、今夜はここまでだ。私もまだまーぁだ病み上がりなもんだからねーぇ。少し、ゆっくりさせてもらいたいんだーぁよ』

「...ロズワール」
エミリアが少しだけ目を細めて視線を向ける。
「何でしょう、エミリア様」
「……ううん、いいわ。今それを言っても、仕方がないから」
飲み込んだ感情は、静かに空気を蝕んでいた。

『――スバルくん』
『資格を、得たのだね?』
『あ。ああ、言ってなかったか。そうだ。俺も『試練』を受けられる。一度、あの洗礼を受けるのが条件なら、お前もひょっとしたら……』
『――いーぃや、それはないだろう。墓所が私を受け入れることはおそらくないよ。こうして拒絶の傷を刻まれて、それがはっきりとわかったからね』
『……最善を選びたまえよ、スバルくん』
『なに?』
『この場において、君はもっとも自由に動ける存在だ。『聖域』に縛られてもいない。かといって王選へのしがらみに組み込まれているわけでもない』
『君の望みは、君自身が動いて足掻いてもがいて、手にしたまえよ。悩み苦しんで惑い迷って、そうして得れば……満足はいかずとも、納得できずとも、決着は見れるだろうから』
『らしくないことをしたくなった、それだけの話じゃーぁないの。――どうやら、私は間に合わないようだからねーぇ』

「い〜やぁ、何ともまあ」
「...どういう意味かしら」
「オットーくんなら分かっているんじゃないか〜ぁな?」
「...ええ」
「オットーくん、どういう...」
「この会話は、おそらく消えた世界での会話です。ナツキさんは……」
オットーが目を伏せ、悔しそうな声を出す。
「...大将……」

『ラムはロズワール様の包帯を取り替えて、それから休むわ。バルスは昨日と同じ大聖堂で眠ること。いくらバルスでも、場所ぐらい覚えているでしょう?』
『案外方向感覚はまともなんだぜ。それにここで一番でかい建物だしな。見落としようがねぇよ。灯りがないのは厄介だけどな』
『迷った挙句に森に入り込んで、たまたまケダモノとエンカウントしてBADEND――なんてこともねぇだろう。大丈夫大丈夫』
『あるはずのない可能性が今の発言で発生率を上げた気がするけど、いいわ。バルス、大聖堂はここを出て右へ真っ直ぐよ』

「...ラム」
「ラムの記憶が正しければ、このような会話はしておりません」
「……じゃぁ、やっぱり」
エミリアの心は、軋み続ける。

『第一の『試練』を受けたあとなら、気になることがわんさと出てきやがった。また俺を茶会に招いてもらうぞ、魔女……いや、エキドナ!』
『よォ……くるんじゃねェかと、そう思ってたぜ』
『こんな夜更けに走り込みたァ感心したぜ。男に生まれたからにゃァ、強くなる努力をする義務がある。『ウィンブルックは戦士の資格』ってェもんだ』
『あー、悪いんだけど走り込みなんて熱心な真似してねぇよ。今、お前とここで駄弁っててやるつもりもねぇしな。別に時間制限があるわけじゃねぇが、善は急げってやつだから……』
『わかってねェなァ、オイ』
『今ここで引き返すってんなら、ちっとばかし遅い時間の走り込みだったってことにしてやるっつってんだろがよォ』

「...スバル……」
「……大将……」
ガーフィールの、絶望したような声が聞こえる。
どうか、もう誰も傷つきませんように。

『だからそこをどけよ、ガーフィール。俺を墓所に入れろ。ひょっとしたら、全部をどうにかする名案が浮かぶかも……』
『悪ィが、絶対に断る。てめェを墓所には、絶対に、入れねェ』
『お前だって、そう思ってたはずだろうが。だからああして俺に。それだってのに』
『わっけのわっかんねェこと言ってんじゃァねェよ。俺様ァ決めたことは絶対に曲げねェ。てめェは通さねェ。『聖域』のことに、関わらせねェ』
『そこまで言いやがるか……いったい、俺のなにが気に食わねぇってんだ!!』
『――臭いだよ』
『墓所から出てきて以来、てめェの体から魔女の瘴気がぷんぷんと臭いやがる。――魔女臭ェてめェと半魔を信用しろだ?でっきるわけが、ねェだろうが!』
『ここは『聖域』!強欲の魔女の実験場!混じりもんと半端もんが集められて、行き場を失った先のねェふんづまりだ!!』

「魔女の、匂い……」
レムと同じ、スバルにとっては理不尽すぎる理由だ。
「スバルは死ぬ度に、魔女の匂いがする……なら、死ぬ回数が増えたら、ガーフィールは...」
エミリアの瞳が揺れる。
ガーフィールは苦しそうに息をする。
聖域にいた時よりもよほど、息がしにくい。

Comments

  • シン
    May 19, 2025
  • like

    私は、上映会の発想、好きですよ

    November 24, 2024
  • しいゆ
    November 12, 2024
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